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過去が重い奴と話すのは予想外なところに流れが行くから怖い

 先程の気配が少し気になるが、歩かなければ進まないし歩く。

 大自然を歩き、ベルクヴェルクを目指すしかない。


 アルカとリヒトが不安そうにしているけど、アマリアは平然としている。

 何だったら、欠伸まで零している。


 余裕か、余裕なのか?

 さっきの気配を感じてなお、余裕なのか?


「…………アマリア君?」

「なに?」

「余裕すぎませんかね?」

「慌てたところで意味、ある?」

「…………それもそうだな」


 考えたところで意味はない。


 俺達の反応を楽しんでいるだけかもしれないし、考えるだけ無駄無駄。

 気にしない、気にしない。


 そのままアルカ達と進むと、木の隙間から大きな山が見え始めた。


「あれが、ベルクヴェルク?」

「いや、こんなに近いわけないと思うよ。多分、ベルクヴェルクではない鉱山だね」


 だよねぇー。


 地図的に遠かったもん。

 こんな、数時間歩いただけでたどり着くとは思っていなかったよ。


「そういや、ここまで歩いたんだから、もうそろそろユウェル族の探知、できるんじゃないか? なぁ、アビリティ」

『探知可能。しかし、リトス様の仲間である保証ができません』

「え、なんで?」

『前方に見える鉱山にもユウェル族が住んでおります。そちらの気配が強く、リトス様の仲間の探知が難しいです』


 マジかよぉ~。ちっ、仕方がねぇなぁ

 なら、次はあの鉱山を通り過ぎ、気配が小さくなった頃合いを見て再度聞くか。


 もう、足がパンパンなんだが、仕方がない。

 歩くかぁ…………。



 ――――ピキッ



「ん? なんか、足がしずっ――わぁぁぁああ!?」

「え、カガミヤさん!?」

「カガミヤ!?」



 ――――ガラガラ



 いってて…………。

 え、なに? 足が沈んだかと思えば、穴に落ちた……だと?


「カガミヤさぁん!!」

「大丈夫か、カガミヤ!!」


 体に走った衝撃、痛み。

 腰などを擦りながら上を向くと、リヒトとアルカが穴を覗き込み名前を呼んでいた。


 アマリアだけは空中を自由に動き回れるから、俺の元に降りて来る。


「大丈夫?」

「さすがにビビったけど、何とか…………」


 なんだよこれなんだよこれ。

 ふざけるなふざけるなふざけるな!!!


 何で俺は落とし穴に落とされないといけないんだよ!! 

 誰だ! こんな所に仕掛けたやつ!! ぶち殺してやる!!!


「ねぇ……」

「なんだ…………」

「道、続いているみたいだけど、どうする? 引き上げるのなら、リヒトのchain(チェイン)があるけど」


 確かに、リヒトのchain(チェイン)があれば上には戻れる。

 戻れる……けど……。


「…………風、吹いているな」

「みたいだね。奥は外に繋がっているのか、それとも――……」


 アマリアの予想は恐らく、鉱山への道。


 この道は、俺達が見たベルクヴェルクではない鉱山へ続いているのかもしれないし、外に出るだけかもしれない。


 …………なんか、この道。

 なんとなく、嫌な予感が……。


「…………アルカ」

「なんだ!?」

「俺達は穴に出来ている道を進んでみる。どこに続いているかわからんが、お前らは変わらずベルクヴェルクに向かってくれ」

「大丈夫なのか?」

「俺の方は問題ないだろう、アマリアもいるし。不安はお前らだ」

「え?」


「え?」じゃねぇんだよ、当たり前だろう。


「いいか? 絶対に何があってもベルクヴェルクに向かえよ。変な事に首を突っ込むな、考えるな。真っすぐ、前だけを見て、進め。絶対にだ、いいか?」

「……………………ワカッタ」


 これだけ言えば、途中何かあったとしても、ベルクヴェルクに進むだろう。

 流石に不安はまだあるが、もう信じるしかない。


「それじゃ、行こう」

「うん」


 アマリアと奥に進む道を歩き始める。

 暗いから炎を手に灯し、足元を照らしながら。


 足元を照らしているとはいえ、油断はせず気を付けないといけない。

 もう、腰を打ち付ける訳にはいかないからな…………。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 コツ、コツ…………。


 じめじめした道だな。

 前から冷たい風が吹いて来るから、ちょっと肌寒い。


 いや、ちょっとでは無い。だいぶ寒い。


「知里、体震えてない? 大丈夫?」

「いや、ちょっと、寒くない? 風が冷たすぎると思うんだけど…………」

「そのローブ、保温効果とかないの?」

「そこまで考えてなかったし、ないんじゃないか? 実際、寒いし」


 フードをかぶっても寒いし、体が震える。

 この先って、雪国に繋がっているとかないよね? 寒いの苦手なんだけど……。


 …………暑いのも辛いけど。


「はぁ…………わぷっ! え?」

「それ、重ね着してもいいよ。僕は平気だから」


 いつの間にか青年姿に変化しているアマリアが、俺に向かって自身が羽織っていたローブを投げてきた。

 俺と同じくらいの身長だから、普通にちょうどいい。


「アマリアの服と体ってどうなっているの?」

「秘密」

「はぁ……。まぁ、ありがとう」

「うん」


 体が大きくなったからかな、俺の隣を浮いて今まで移動していたのに、今は歩いている。


 歩幅も俺に合わせているのか、元々俺と同じくらいのスピードで歩いているのか、一緒。


「…………なに?」

「お前、女にモテてただろう」

「え? なんで?」

「なんとなく」

「そう。よくわからないけど、モテてはいなかったよ。逆に嫌われていた。もし、好かれていたら管理者になんてなっていなかったしね」

「そういう流れになるのかぁ……」


 こんな事、ナチュラルにされたら女だったらすぐに落ちそうだけどな。

 俺は男に興味ないからときめきもくそもないけど。


 くそぉ、話の結末が変な方向に向かってしまった。

 なんと返せばいいのな悩んじまったじゃねぇかよ、ちぇっ。


「…………あっ」

「っ、おい。歩くの慣れていないのなら、普通に浮いて移動しろ」


 アマリアよ、何もない所で躓くでない。

 歩くのに慣れていなかったら飛んでもいいから…………。


「歳には勝てないみたいだ」

「その見た目で言うな、歳について触れるな。悲しくなる……」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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