俺の安息の時間はどこ行った
無事に報酬ゲット!!
今回は精霊ではなく、普通のお宝。
いやぁ、嬉しいわぁ。
精霊も、使い勝手はいいけど、やっぱり宝だろ宝。金だ金。
この世は全て金で出来ている。幸せだぁ。
今はグレールを部屋に寝かせ、ロゼ姫も自室に行き体を休めている。
俺達は城のいつもの部屋で休んでいた。
通帳にはさっき、ギルドから頂いた金が振り込まれた。
それをベッドの上で横になりながら眺めているんだが、自然と笑いが込み上げ口角が上がっちまう。
「なぁ、帰ってきてから一時間以上、カガミヤは通帳から目を離さないのだが、大丈夫か?」
「うーん、カガミヤさんの事だし、大丈夫だとは思うけど……。あそこまでなんだ……」
おい、聞こえているぞ餓鬼ども。
俺は一日中通帳を見て過ごす事が出来るくらい、通帳マニアだ。
しかも、今は大金が入っている通帳を眺める事が出来るんだぞ。
一日二日では俺の欲は満たされない。
せめて、一週間は見ていなければならん。
「ねぇ、知里。通帳を眺めるのもいいけど、他にやる事があると思うよ?」
「ないな、俺には通帳を眺めるという事以外にやる事は存在しない」
「ふーん、それならそれでいいけど」
よし、アマリアは離れた。
これで俺はこのまま通帳に集中出来る。
「なぁー!! カガミヤ! いい加減こいつの事を考えようぜ!!」
「そうですよ、カガミヤさん。早く通帳から目を離して、リトス君について考えましょうよ」
…………あぁ、とうとう動き出しちまったか餓鬼二人。
まさか、アマリアが簡単に引いたのって、こいつらがもうしびれを切らしていたからなのか?
「あー……、あともう少しな」
「なぁー!! カーガーミーヤー!!」
「カーガーミーヤーさーんー!!」
無視無視。
「「ねーねー!!!」」
~~~~~~~~~~~~!!!!!!!
「うっるせぇぇぇぇえ!!!!」
まったく、なんなんだよ!!
こっちは通帳を眺め至福の時を楽しんでいるんだよ!
体を起こし大きな声で二人に怒鳴るけど、全く効果なし。
二人も二人で、餓鬼のように頬を膨らませて怒っている。
「確かに休憩は大事だが、次の行動も話し合っていかないといけないだろ! 次はユウェル族の住処についてやリトスについて。色々考えた方がいいじゃんか! 考えてからでも通帳は眺める事が出来るんだぞ!」
「通帳を眺めるだけでしたら、話し合いが終わった後でも出来ますしね……」
うっ、二人からの冷たい視線。
おじさんの心が抉られるような冷めた目を向けないでくれよ。
くっそ、俺には安息の時は訪れないのか。
俺には、休む権利すらないのか。
Sランクのダンジョンをクリアしたんだぞ。
少しくらい休んでもいいじゃないか……。
涙が出そうになっていると、アマリアが哀れみの目を向け、肩をポンと叩いて来た。
なんだよ…………。
「僕が一言言った時、素直に動いておけばよかったね」
「…………先に言え」
にやけているのも腹立つけど、無表情も腹立つ。
どっちにしろ、哀れみの目を向けられるのは腹が立つことがわかったよ。
「はぁぁぁぁぁああ、まったく…………。つーか、俺が話し合いに参加したところで意味は無いだろ。ユウェル族やらリトスについて全く知らないんだぞ? それなら、少しでも情報を知っているアマリアと話した方が有益だと思うが?」
俺の視線を追うように、アルカとリヒトも一緒にアマリアを見る。
よし、意識を俺からアマリアに移す事が出来た。
「え、そこで僕を見るの? 出来れば見ないでほしいんだけど」
「あの、アマリア様が知っているユウェル族の情報を教えていただいてもいいですか?」
アルカがみんなの意思を汲み取って質問をしてくれた。
ダンジョン内でも少しは聞いたけど、もっと詳しく知っているのなら聞きたいよな。
さて、アマリアが話している時、俺は適当に通帳を眺めていよう。
――――バッ
「あああぁぁぁあ!!!!」
「別に話してもいいけど、通帳は禁止。これは僕が代わりに預かっておくね」
「なんで!!」
「話し合いに通帳は必要ないし、片手間に聞かれると腹が立つから」
結局、自分が嫌だから俺の通帳を奪っただけじゃねぇかよ!!
もう、いいよ……。
リヒトに抱えられているリトスをどうにかすれば、通帳を眺める事が出来る。
逆転の考えをしろ、俺。
問題があって安息が現れないのなら、問題をすぐに解決して安息の時間を作る。
無理やり時間を作るより、こちらの方が絶対に楽。
俺は、こいつらと行動して学んだ。
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