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忠誠心は人の人格をも変えるのか

 リヒトがchain(チェイン)を唱えると、リンクのワープゾーンや壁から今までにないほどの鎖が勢いよくワイバーンを囲うように現れた。


 だが、簡単に避けられる――――が、それはお見通し!!

 それは、捕まえるために出したわけではなく、アルカの足場を作る為のもの。

 

 アルカが空中を駆け回り、スピリトが俺の炎の竜を操り、ワイバーンの動きを封じる。


 三人の魔法で、ワイバーンは絶対に落ちてくる。


 それを、待つ。


「グレール、ロゼ姫が心配なのなら早く方を付ければいい。急降下して来たワイバーンをすぐに――グレール?」


 グレールが顔を俯かせ、なにやら呟いている。

 腕を掴んでいる手を離しても問題はなさそうだから離すけど、微動だにしない。


 一体、何を呟いているんだ?


 耳を傾けてみると──……


「私が、この私が今、ロゼ姫を無防備な状態に? 短時間であろうと、危険な目に合わせている? この、私が? 駄目だ、そんなことは、駄目だ。私は、守らなければならない。ロゼ姫を、私の主を――――」


 な、なんだ、これ。

 グレールのロゼ姫への忠誠心は、ここまでだったのか?


「グレール?」

「…………お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません。もう、大丈夫ですよ。私は、落ちてきたワイバーンを殺せばいいのですね」

「お、おう…………」


 なんか、これ以上は何も言ってはいけない気がする。

 こちら側に飛び火しないように、ゆっくりと下がり、アルカの方を見てみる。


 …………あともう少しで、こっちに落ちてきそうだな。


 アルカがワイバーンを逃がさず、空中を縦横無尽に駆け回り。

 スピリトが炎の竜を操り動きを制限。徐々に下がってきている。


 あと、もう少し……。

 魔力を高め、大きな魔法を放てるように準備……。


「知里」

「ん? なに?」

「なんか、隣から強い魔力を感じない? 例えば、グレールの方から――とか」


 アマリアが目をアルカ達に向けながらそんなことを言っている。

 何も考えず、素直にグレールの方向を見ると――……


「――――もう、俺の出番はないかな」

「ないと思うよ。ついでに、せっかく考えていた僕の音魔法もね」

「はぁ…………」


 グレールの魔力が体からあふれ出てる。冷たい空気が辺りを漂ってんなぁ。


 地面が微かに霜張っているのは気のせいだろうか。

 自然と、今以上に離れてしまった。


「カガミヤさん!! 来ました!」


 上を見ると、ワイバーンが急降下してきた。

 反射的に魔導書を構えるが、それは意味がないんだったなぁ……


「――――死になさい、ワイバーン。frost(フロスト)


 グレールの足元から冷気が勢いよく放たれ、急降下して来たワイバーンを一瞬のうちに凍らせた。


 本当に、一瞬。

 巻き取る隙すら、与えずに。


「私は、早くロゼ姫の近くに行かなければならないのです。抵抗は認めません」



 ――――――――パチン!! ガシャーーン!!!



「え、ええ…………」

「チート魔力を持っているのが知里だったら、チート魔法を持っているのはグレールかもしれないね」


 指を鳴らした音が響くと、氷が弾けワイバーンの身体が氷と共に粉々に……。

 氷の破片がキラキラと輝きながら地面に落ち、すぅっと消えてしまった。


「…………終わったなぁ」

「終わったね」

「俺の構えた魔導書の出番は?」

「ないね」

「準備していた魔力は?」

「無意味だね」


 …………うん、無意味だね。

 だって、相手がいなくなってしまったのだから。


 ――――パタン


「あっ」

「まぁ、そうなるよね。ここに来るまでも、知里に魔力温存してもらう為、頑張ってくれていたから」

「そうだね」


 グレールが剣から手を離し、地面に倒れ込んでしまった。

 地面に落ちる前に氷の剣は消え、地面に張っていた霜も溶けてなくなる。


 倒れ込んだグレールに近付きしゃがむと、聞こえてきたのは寝息。

 魔力が今ので枯渇してしまったらしい。


「魔力の枯渇と言えば……。リヒトも倒れているんじゃ、あ、あれ?」


 リヒトの方向を見ると、アルカと共にこっちへ歩いていた。

 欠伸を零しているみたいだけど、強制睡眠はしていない。


 前は途中で体力が尽きて、強制的に眠ってしまっていたのに。


「カガミヤさん! お怪我はありませんか?」

「俺は大丈夫だが……。リヒトは大丈夫か?」

「はい、少々眠たいみたいですが、前回のように倒れる事はないみたいです」

「ほえぇ」


 同じ魔法なのに、なんでだ?


「筋トレをしたからだよ。体力が付けば魔力も増えて、魔法を今まで以上に使いこなす事が出来る」

「え、体力と魔力って比例しているの?」

「少しはね。体力を付ければ大幅に魔力が上がるなんて都合のいい事はないけど。リヒトの場合は、今までがひ弱だった。だから、ここまでの差が出たの。今更、知里やアルカが鍛えたとしてもここまでの効果は期待できないよ」

「鍛える気はないけど、そうなんだ」


 ひ弱と言われて落ち込んでいるリヒトは、隣で慰めているアルカに任せるとして、俺はグレールを運ばなければならない。


 はぁ、お宝をゲットしてすぐに帰るか。

 今回はSランクのお宝、めっちゃ楽しみだわ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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