時間が無いから、ひとまず信じるしかないな
────っ、くそ! アマリアとグレールの話を聞きたいのに、ワイバーンが動き出しやがった!!
「これに閉じ込められてろ!! siegeflame!」
炎の鳥籠でワイバーンの動きを封じる。
だが、長く持ちそうにない。
何度も体当たりして抜け出そうとしているし、嫌な音が響く。
すぐに破壊されそうだな……。
「アマリア様の音魔法は物体がない。風属性に巻き込まれるなんてことはないはずです。なので、音魔法でワイバーンの脳みそを沸騰させることは出来ませんか?」
あ、俺が苦労しているのは無視で話を進めるのね、はい。
「出来るとは思うけど、それには僕がワイバーンの頭に手を添える事、相手が動きを止める事。この条件がそろっていないと難しいよ」
「わかりました。聞いていましたか、チサト様」
つまり、ワイバーンの動きを封じ、アマリアを送り届けるようにサポートしろって事だな。
「送り届けるのは俺達でやるか。リヒトはタイミングを見てchainを頼む」
「わかりました」
緊張しているみたいだが、最初の頃と比べるとだいぶ落ち着いている。
杖を強く握り、ワイバーンを見据えていた。
もう、siegeflameは、あと数回のタックルで壊される。
壊されてからが、作戦開始だ。
グレールの戦闘は、何度も模擬戦したから頭に叩き込まれているし、グレールも同じだろう。
お互い目を合わせ、武器を構える。
────ドンッ、ドンッ!!
あと一回で、炎の檻は壊れる。
「行くぞ」
「はい」
最後の一回、突進されたら――……
――――ドンッ!!!
「壊された!」
炎の檻が突進を食らい壊れた。
「スピリト! 魔法を操れ! |Dragonflame」
『ご主人様のご命令とならば!』
頭の上にまで上げた手から、渦を巻くように炎の竜が出現。
スピリトが操り、ワイバーンへと向かわせた。
けど、ワイバーンは大きな翼を羽ばたかせ風を起こす。
巻きとるつもりだろうが、もうそれは見てるんだよ。
「icicle!!」
グレールの出した氷の柱が、ワイバーンの一枚の翼を掠め、バランスを崩した。
炎を巻き取る事を諦めたワイバーンは、空中で立て直し逃げ纏う。
スピリトが何とか追いかけているが、スピードはこちらの方が遅いな……。
魔力を込めれば早くなるか?
それか、体が大きくなるだけか?
「なぁ、カガミヤ!! ワイバーンと戦うんじゃなくて、下に行かせるようにすればいいんだよな!?」
「っ、はぁ!? アルカ!? ロゼ姫はどうした!」
一瞬考え込むと、後ろからアルカの声。
ここに来ていいのか?!
「追い出された。というか、行かないと俺の首がはねられそうな雰囲気で睨まれたから、ここまで来なければならなくなった」
アルカの顔が青い。
ちらっとロゼ姫を見てみると、壁に寄りかかり俺達の戦闘を見ている。
怒っているような表情だ、アルカの言っている事は本当らしい。
「ロゼ姫様!」
「グレール! 今はロゼ姫を気にしている時間はない!! アルカ、何か手はあるのか?」
グレールが駆け寄ろうとしたが、今離脱されては困るんだよ!!
腕を掴むと、潔く止まってくれた。
「ある!! スピリト! 俺がワイバーンの周りを駆け回るから、合わせてくれないか? 俺が合わせるのはさすがに難しいから」
言うとアルカはリヒトと頷き合った。
まさか、あの連携技を出すつもりか?
「リヒト、大丈夫なのか?」
「出した後、倒れてしまうかもしれないけど、何とかしますよ!」
もし、これで失敗したらリヒトの拘束魔法と回復魔法が使えなくなる。
それは大きな痛手だ。
「さすがに賭けに―――っ、アマリア?」
「ここは任せよう」
アマリアに口を封じられてしまった。
隣を見ると、自信満々な表情を浮かべているアマリアが真っすぐ、リヒトを見ている。
「…………わかった」
真っすぐな紅色の瞳と、目があっちまったなぁ。任せるしか無さそうだ。
「任せたぞ。急降下して来たら、グレールが何とかしてくれる。全力でやってくれ」
「はい、任せてください。アルカ!! やるよ!!」
「おう!!」
リンクにもリヒト達がやる事を伝え、ワープゾーンを使いアルカを援護するように伝えた。
「準備はいい? アルカ!」
「おう!! 任せろ!!」
頷き合うと、アルカは緊張しつつも笑顔を浮かべ、ワイバーンを見上げた。
「アルカをワイバーンの元にワープさせろ、リンク!」
『しょうがないわね! 私に感謝して頂戴!!』
右手をアルカに向けると、地面にワープゾーンが現れる。
吸い込まれるように消えると、次に現れたのは、ワイバーンの頭上。
「――――chain!!!!」
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