予想していた通りだが、本当に起こるとこっちが傷付くよな
奥に進むと、トラップの数がどんどん増える。
何度か俺、リヒト、アルカがトラップを踏んでしまいゴブリンや蝙蝠が現れたけど、何とか乗り越え広場にたどり着くことが出来た。
周りを見ても、ワイバーンはいない。
ここは中ボスか?
広場は岩壁に囲まれ、天井は高い。
奥を見通すと、両開きの扉がある。
ここは、初めてワイバーンを倒した時の場所と似ているかも。
でも、ワイバーンはいない。モンスターもいない。
「ここって、中ボスエリアじゃないのか?」
「そんな感じするが……」
アルカも不思議に思い周りを見回しているけど、いくら見回しても光景は変わらない。
上にまた何かが張り付いているのかとも思ったが、何もいない。
本当に、ここに何が……。
「チサト様、モンスターの気配を感じます」
ロゼ姫が冷や汗を流し、目を至る所に向けている。
モンスターの気配を感じるだって?
目を閉じ気配を探ってみるか。
「────あっ、本当だ。地面から、微かなモンスターの気配を感じる」
視線を下に向けてみるけど、んん??
何も変化はない。
もう一回集中してみると――うん、やっぱりする、モンスターの気配。
でも、さっきより移動しているみたい。
気配が強いところに移動してみるか。
「カガミヤさん?」
「微かに気配を感じるんだよ、地面の下。移動しているみたいだから、ちょっと追いかけてみようと思って」
歩いていると、徐々に気配が近くなる。
――――あ、止まった。
「この下が一番強い…………」
地面に触れてみるけど、感触とかは他の地面と変わらない。
「アビリティ、この下に何かいるか?」
『モンスターの気配を察知、Aランク、ガンブラーの可能性大』
「ガンブラー?」
何それ、聞いたことないな。
「まぁ、モンスターがいるということは、攻撃を食らわせれば出てくるだろう」
地面に手を触れ、魔力を集中。
「flame」
地面を抉るくらいの強さになるまで魔力を高め、放った。
――――ドカン!!
さて、どんなモンスターが現れる!!
爆風が広がる中、耳をつんざくような鳴き声が地面から響き渡った。
――――キシャァァァァァァアアアアア!!!!
地面を抉った時とはまた別と音が響く。
同時に姿を現したのは、天井を覆い隠すほど大きな体をしている、コブラ?
「あ、あれがガンブラー? 確か、岩で体が出来ているから、防御力が他のモンスターより高いと聞いたことがあるぞ」
「防御力に全振りしたモンスターってことか? それなら、全力で魔法を放てば削ることができるな」
改めて見てみると分かる。
確かに体は岩で出来ているみたいだ。
頭も岩で出来ていて、黒い目が下にいる俺達を見下ろしていた。
「どれだけ体が硬いかわからんが、一発食らわせればなんとなくわかるだろう」
「そうですね、お願いできますか?」
「今まで任せてきたからな。少しはかっこいいところ見せねぇとならん」
威力重視なのは炎、flamaArrowか|Dragonflameが適正だろうな。
んー、よし。
今回は一点集中型でflamaArrowにするか。
まだ俺達を見下ろしているガンブラーは動こうとしない。
何かを企んでいるのかもしれないけど、動かないのなら好都合。
炎の弓矢を作り、狙いを定め放つ。
まっすぐ、俺の作り出した弓矢はガンブラーの額へと吸い込まれるように向かって行き、ぶち当たる。
爆発音と共に爆風が吹き荒れ、視界を覆っちまう。
あいつは動く気配無し、倒れているわけではないということか。わかっていたけど。
爆風が晴れると――最悪。
予想はできていた、わかってはいた。
でも、やっぱり直面すると気分が下がる。
「うそ……。カガミヤさんのflamaArrowをまともに当たったのに、無傷?」
「みたいだな。威力を限界まで上げていたわけではなかったが、傷一つ付けることができなかったのは、結構堪える」
しかも、表情──という物はないだろうけど。
なんか、”何か当たりましたか?”みたいな雰囲気を出すのやめて。
傷付かなかったことより、その顔を浮かべられていることの方がすごく傷つくんだよ。
「そう簡単に倒せそうではありませんね。攻撃を簡単に当てることは出来るとは思いますが、傷付かないのなら無駄に魔力を使うだけ。次にラスボスであるワイバーンを倒すということを視野に入れるのなら、数回の攻撃だけで倒したいところ」
グレールも険しい顔を浮かべているな。
あそこまで硬いんじゃ、無駄に魔力を使わないは厳しくないか?
「それでしたら、私がガンブラーを一瞬で溶かします」
え、ロゼ姫? そんなことできるのか!?
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