容姿に関して何か言われるとここまでショックなんだな、気を付けよう
なんか、天井を見上げると黒い目と目が合ったん……だけど……?
え、なっ、え?
思わずその場に立ち止まり、上に張り付いている二頭身のモンスターを見続けてしまった。
いや、モンスター、なのか?
モンスターだよな?
俺が立ち止まったことで、前や隣を歩いていたみんなも足を止める。
「知里? 天井に何が…………あれって、ユウェル族?」
「なにそれ、ユウェル族? 聞いたことないんだけど」
「たしか、人に危害を加えないモンスターのはずだよ。色々謎が多く、ひとまずモンスターの括りにしているだけだったはず」
「へ、へぇ…………」
天井に張り付いているユウェル族を見続けていると、視線に耐えられなくなったのか、体が急に震え始めちまった。
いや、天井に張り付いているのだから、体力的に限界が近い可能性もある。
「あれは無視してもいいのか?」
「僕が知っている限りでは無視してもいいはず。人に危害を加えない時点で、意識する必要はない」
よしっ、俺と同意見。
俺達はこのまま無視してダンジョンを進むか。
前を向きアマリアと共に歩き出そうしたんだが、その足は前を歩いていた女子二人の輝かしい表情により止まってしまった。
「あ、あれ! ロゼ姫様、あの子、プルプル震えています、可愛い!」
「確かに可愛いです。マスコットか何かでしょうか、触れてみたいです。グレール、あの子を優しく取ってきなさい」
「…………はい」
ちらっとグレールは俺の方を見たが、すぐに視線を逸らし返事をしやがった。
可愛い? え、あれ、可愛いのか?
困惑していると、グレールはすぐに動き出し地面を蹴り、跳ぶ。
手を伸ばし首根っこを掴んだ。
「ぐえっ!!」
「っ、グレール! もっと優しく扱いなさい!!」
「っ、す、すいません」
空中で持ち変え、首根っこから手を離す。
落ちないように片手で抱き留め、地面に無事着地した。
「グレール! ありがとう、見せてくれるかしら」
「どうぞ」
ロゼ姫の手に抱き抱えられたモンスター。
か、可愛い? 可愛い……え?
動物の耳部分は丸い石、鼻部分にも大きな石。
肌は薄茶で、目はくりくり。
…………女子なら確かに可愛いと言いそうだな。
いきなり抱きかかえられたからか、めっちゃビビっているけど。
体が高速で震えているが、大丈夫か?
「わぁ、意外と重たいのですね。子供を抱えているような感じです」
「近くで見るとものすごく可愛いですね。お話は出来るのかな、私達の言葉は通じているのでしょうか?」
ロゼ姫とリヒトの興奮が凄い。
頬を赤くして撫でまわしている。
目が回っているように見えるけど、そのモンスターは色々な意味で本当に大丈夫か?
────あ、目が合った。
「た、たたたた、助けて! 助けてなんだぞぉ! 助けるんだぞぉ!!」
うわぁ、俺に涙目を向けて縋ってきた。
うーん、めんどくさい。
けど、このままだとダンジョンを進むこと出来ないし、仕方がないか。
「おい、ロゼ姫、リヒト。そいつを貸せ」
首根っこを掴みロゼ姫から奪い取ると、ぶら下がりながら俺を見上げて来る。
「た、助かったんだぞぉ」
「んで、お前は俺達を襲うモンスターではないのか? アマリアの説明通り、お前はユウェル族って呼ばれる種族でいいのか?」
俺が問いかけると、何故か助けを求めたくせにビビり始めやがった。
な、なんで?
俺は普通に話しているだけなのに、めっちゃビビられるんだけど。
「アマリア、俺、普通だよな? 圧をかけているわけでもないし、怒っているわけでもない。何でこんなに怯えているんだ、こいつ」
「答えは一つ、知里の元々の顔が怖いから」
………………………………。
「アルカ、今はお前に頼るしかない。俺は、怖いらしい」
「え、カガミヤ!? なんでそんなにショックを受けているんだ?」
「俺だって、普通に話しているだけでビビられ、元々の顔が怖いと言われたらショックも受ける」
今まで容姿に関しては、プラスの感情しか言われなかったしな。
なんだか、うん。
心に傷がついたような気がするよぉぉぉ…………。
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