ここまでスパルタだと、周りで見ている俺まで怖くなってくるな
「ダンジョン攻略、もうそろそろ再開していきますか?」
「そうだな。修行もひと段落ついて来たし、後は実際のモンスターに通じるか試していきたいな」
グレールが修行終わりにそんなことを言ってきた。
今日の修行は、前回行った二体二で模擬戦。今回はさすがに負けた。
グレールは元々強かったし、ロゼ姫も戦闘に慣れてきて動きがスムーズになっていた。
今まではグレールがロゼ姫に合わせることが多かったが、今では逆。
ロゼ姫がグレールの動きに合わせ、援護魔法を発動。
その連携が絶妙で、めっちゃやりにくかった。
逆に俺達は、個々の実力は高いが、連携は難しい。
アルカを主体にしたくても、俺の魔法は援護に向かない。
だが、俺を主体にすると、アルカの動きがぎこちなくなってしまう。
それでも、アルカの瞬発力や力技で対等に渡り合っていた。
だが、それは模擬戦だからうまくいっていただけ。
実戦でうまく連携できるかわからないし、力技が通じないモンスターが存在するなら今のままでは厳しい。
今の俺達がどこまで通じるのかを試す意味も込めて、ダンジョン攻略再開は賛成だ。
「でしたら明日、ギルドに行きましょう。そこでダンジョンを確認し、受けましょうか」
「そうだな。うん、そう、だなぁ…………」
うん、グレールとの話に集中したい、集中したいんだが…………。
流石に、これは難しいだろう。
だって、リヒトの泣き声が俺達のいる格技場に響いているのだから……。
「アマリア様ぁぁぁぁああ!! お許しくださいお許しくださいお許しください!!」
「だーめ。今回悪いのは誰? 誰が、僕の考えたトレーニングメニューを完遂出来なかったの?」
「私です私です!! 私ですがそれは難しいですよぉぉぉおおお!!!」
「叫ぶ余裕があるって事は、体力を温存していたんでしょ?」
「違いますぅうぅぅうう!!!」
あーあ……。
リヒトがアマリアの考えたトレーニングメニューを最後までできず、時間オーバーしてしまったらしい。
だから、リヒトは罰ゲームとして、天井からまた吊るされている。
しかも、床にはアマリアが準備したであろう肉食植物、ハエトリグサがぱかっと口を開き待機されていた。
「あれって、モンスターじゃないよね? いや、モンスターじゃなかったとして、あんなにどデカいハエトリグサなんて自然に無いだろう。どうやって準備したんだよ、こんな室内に」
「アマリア様に詳細を求めても、無表情のまま無言を貫かれ聞けなかったぞ。カガミヤが聞いてみたらどうだ?」
「こちらに矢先が向くのは避けたい」
あれは、人なんか簡単に丸呑みできるほど大きいぞ。
床に埋められているからその場から動けないみたいだけど、いつこちらに顔を向けてくるかわからないからマジで怖い。
あれは、どうやって準備したのかものすごく気になるが、細かく聞いてはいけない。
それを直感で感じ取ったから、俺達はアマリアとリヒトの修行をただただ蚊帳の外から見届ける。
どんまい、リヒト。
「ねぇ、今の話、微かに聞こえできたんだけど。ダンジョン攻略、再開するの?」
「あ、う、うん。そのつもり」
やっべ、アマリアに聞こえていたみたい。
こっちをちらっと見て、「ふーん」とリヒトの方に再度顔を向き直す。
なんだよ、その微妙な反応。
リヒトを吊るしているアマリアの姿を見ているから、普通に怖いんだけど。
「おそらくだけど、アルカのランクがAだからAのダンジョンに行かされると思うよ。でも、二回くらいダンジョン攻略出来たらすぐにランクアップしSランクのダンジョンに行くことが可能だと思う」
「お、おう……? ソウナンダー」
さ、流石、アマリアだな。
今までギルドの管理をしていただけに、こういう所は詳しいのな。
「Aランクなら、グレールとロゼ姫も加わったし楽勝だろう。すぐに攻略して、金を手に入れつつさっさとカケルの封印を解除するぞ」
カケルの件を解決するだけでは済まないとは思うけど、今はそれしか出来ない。
管理者の動きを探ろうとすれば、逆にこっちが首根っこ掴まれそうだし。
余計な事をして自身を追い込むより、警戒しつつ最初の目的を果たすために動いていくぞ。
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