効率よく修行は行っていこう
俺はアルカを相手に模擬戦を繰り返す。
アルカの場合は、ただひたすら模擬戦をして体に叩き込ませた方がいいだろう。
変に頭を使わせてしまえば、簡単な事でも難しく考えてしまうかもしれないし。
頭を使う事が苦手な人には、体に叩き込む、よし。
「それじゃ、アルカ、頼むぞ」
「ああ! こっちこそだ!」
魔導書を出し準備完了、アルカも剣を構えた。
あ、そうだ。俺もこの機会に接近戦に慣れておこう。
ちょうどアルカは近距離を得意としているし、お互い高め合えるだろう。
「それじゃ、行くぞ!」
「おう、来い」
お互い構えを作り頷き合うと、アルカが地面を蹴り一瞬で距離を詰めてきた。
「fistflame」
すぐさま炎の拳を作り出し、アルカの剣を受け止める。
右手で弾き、勢いを殺さず左手を繰り出しアルカの頬を狙う。
っ、膝を折り回避され、懐に入り込んできやがった。
剣を俺の腰に向けて横一線に薙ぎ払おうとしてきたが、地面を蹴り後ろに回避。
距離を取り、一度タイミングを計る。
アルカは一対一だと結構強い。油断出来ない。
俺が呼吸を整えていると、アルカが次の行動に移った。
剣を握っている右手を左側に回し、姿勢を低くしている。
何をしてくるつもりだ。
「|groundspada」
土の剣でリーチを伸ばしてきやがった!
炎の拳で砕く為、左手で弾こうとした。
だが――――
――――ガキン
「――――えっ、うわっ!!」
炎の拳で砕くはずが、うまく出来なかった。
固い物がぶつかる音が響くと、俺の首を狙い剣が振るわれる。
後ろへ倒れるように避けることが出来たが……危なかった。
驚いていると、アルカは隙を逃がさないように、俺の視界から外れ上から剣を叩きつけてきた。
「うりゃぁぁぁぁああ!!!」
「待て待て待て!!!」
しゃがんでいたが、何とか後ろに跳び避けることが出来た。
手を一度地面に突き、崩れた体勢を立て直す。
アルカに視線を向き直すと、目の前に剣先。
顔を横に傾け、同時に繰り出されたアルカの手を強く握る。
「いっ!」
顔を歪めた瞬間、さっきの仕返しをしなければならないと直感が働いた。
自身へと引き寄せ体勢を崩し、空いている左手でアルカの首を掴む。
力を込め後ろへと倒させ、跨った。
「って!!!」
「ふぅ、これで一戦目は俺の勝ちかねぇ」
アルカの両手は俺の右手と左足により動かすことができないだろう。
首は左手で掴んでいるから顔すら動かせないはず。
顔を歪め悔しそうにしているという事は、俺の勝ちを認めたという事だな。
アルカの上から避けると、上半身を起こし眉を顰めた。
「今回は勝ったと思ったのに…………」
「いや、マジでそれは思った。まさか、|groundspadaを砕くことが出来ないとは思わなかったぞ。あれでペースを乱された」
土の剣だから砕けると思ったんだけどなぁ。
やっぱり、魔法だから普通の土をイメージしていたら駄目か。
リーチを伸ばすだけかと思っていたが、考えを改めよう。
「まぁ、今回のが簡単に壊されたら今以上にへこんでいたよ…………」
「え、そうなの?」
「あ、あぁ。今回はリーチより強度を上げたからな。そこまで距離が離れていたわけではなかったし、カガミヤにも効くのかなって試したんだ」
「思いっきりしてやられたわ」
「今回はその言葉を聞けただけでも成果ありって事でいいか」
たははっと。アルカが笑いながら立ち上がる。
言葉ではそんなことを言っているが、明らかに元気がない。
今までも何回か模擬戦をしてきたが、ここまで落ち込んだことはなかったはず。
「なぁ、アルカ。今日は調子が悪いのか?」
「え、なんでだ?」
「いや、いつもと違うような気がして……」
「気のせいだと思うぞ」
あ、いつもの笑顔になった。
んー、これ以上は聞かない方がいいか。
「わかった…………」
「おう! もう一戦頼む!」
「あ、あぁ」
…………まぁ、いいか。
本人が気のせいと言っているのだから、俺も気にしなくて。
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