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お休み時間

 布団で横になった瞬間に意識を手放してしまった知里を見下ろし、アマリアは無駄に長い袖が隠している手を口元に当てた。


「…………知里、今回は本当にお疲れ様」


 ふわふわと知里に近付き、かけ布団をかぶせる。


 最初は顔をしかめてしまい、起こしてしまったかと思ったが、すぐに深い眠りに入り、アマリアは安堵の息を吐いた。


 知里を起こさないように気を付けながらベットに腰を下ろし、顔を近づかせる。


「…………顔色が悪い。元々肌が白いから、気づかなかったな」


 顔を離し、アマリアは海をイメージしている部屋の天井を見上げた。

 今回の出来事を思い出しつつ、これからについて頭の中で考える。


 アマリアの頭に浮かんでいるのは、管理者の頂点にいるクロヌ。


 あの老人が、このまま自分を生かしておくとは思っておらず、何か仕掛けてくると踏んでいる。


「管理者について知里に伝えられることは、全て伝えよう」


 そう考えるが、アマリア自身、管理者達にはあまり興味はなく、フェアズとアクア以外はどうなってもいいとさえ思っていた。


 クロヌがなぜ自分とフェアズを管理者にしたのかまだわからないが、今更考えたところで無駄。

 すぐに今の考えを消し去り、思考を最初に戻す。


「…………知里、これからは今まで以上に大変で、難しく、辛い戦闘が待っている。管理者の中で僕とフェアズは援護を得意とする魔法だったから、戦闘能力だけで考えると、弱いんだ。今話しても意味はないけど、今しか言えないと思うから言う。本当に、巻き込んでしまいごめんなさい」


 知里に背中を向け、小さな声で呟き謝罪。


 アマリアの声は誰の耳にも届かない。

 そう思っていたが二人、今のアマリアの謝罪を聞いていた人物がいた。


 部屋に繋がるドアの前、扉を開けることなく、立ち尽くしている二人が顔を見合せていた。


「…………アマリア様も、色々抱えているのですね」

「そうみたいですね。アマリア様の言うとおり、これからの戦闘は、今までの非にならないほどかもしれません。ロゼ姫、まだ間に合います。引き返さなくても大丈夫ですか?」

「何を言っているの、グレール。もう、間に合いませんよ。ここまで来てしまえば、もう引き返すことなど出来ません。仮に引き返す事が出来たとしても、私はもう後ろを向きません。前だけを見続けます」


 それだけを言うと、ロゼ姫はグレールの返答を待たずに歩き出してしまった。


 グレールも置いて行かれないように歩き出すが、その足はすぐに止まる。


 目だけを後ろに向け細めた後、何事もなかったかのように前へ向き直し、ロゼ姫に追いついた。


 ※


 …………ん、俺、寝ていたのか。


 意識が浮上、重たい体を無理やり起こすと体にかけられていた布団が落ちた。


 あれ、俺……かけ布団なんて被ってたっけ。


 周りを見ると、いつの間に戻ってきていたリヒトとアルカが椅子に座り、お互い支え合いながら眠っていた。


 普通にベッドで寝ても良かったのに。

 そう思ったが、二人が椅子で寝ていた理由はすぐに判明。


「珍しいな。というか、初めて見た。アマリアの寝顔」


 俺の隣には、体を小さく丸め寝ているアマリアの姿。

 俺が動いてもまったく起きる気配を見せない。相当疲れていたんだな。


 …………そりゃ、疲れるわなぁ。

 こいつは、管理者として動かなければならなかったけど、自分の気持ちにも嘘は吐きたくなかった。


 今まで生きにくかっただろう、辛い事が沢山あっただろう。


 今、寝息を立てて寝ているこいつが、本当に心身ともに休めているのか、俺にはわからない。


 もしかしたら、管理者として動いていた罪が、この小さな体にのしかかっているかもしれない。

 そう思うと、簡単に自業自得だと切り捨てる事も出来ないな。


 …………いや、こいつは見た目が少年ってだけで、俺より何倍も長く生きているんだったわ。


「はぁ……」


 まぁ、アマリアの事は気にしなくてもいいか。何かあれば自分で動くことが出来るだろうし、解決方法も考えるだろう。

 俺は次の動きを考えつつ、体を休める事を優先する。


 ロゼ姫達の準備が整うまでは、俺達の休憩時間だ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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