イケメンな俺が悪いのか周りの人が悪いのか……
それからは本当に最悪だった……。
「はぁぁぁぁぁぁあああ」
「お疲れ様です」
「グレール、あれか、あれが作戦という物か。なんでお前は玉座の間に入らなかった、知っていたんだろう? 説明しやがれ……」
「その身で経験したことが全てです」
「お前を殺す…………」
あれが、グレールが避けたかった、作戦。いや、作戦ではない、結末。
確かにあれは、俺も避ければよかったと今更ながらに後悔した。
婚約破棄まで話を持っていく事ができ、王妃から開放された俺は、部屋に戻っている途中だった。
ロゼ姫も申し訳ないという顔を浮かべ、グレールは俺の肩を担ぎ支えてくれている。
ヒュース皇子はホッと胸をなでおろしてはいるが、お前の安心のために俺が犠牲となったんだぞ、そこに関しては何も思わないのか。
部屋に辿り着くと、中では落ち着きがなかったであろうアルカとリヒトが俺達に気づき近寄ってきた。
「どうだったんだカガミヤ!!」
「お話は出来ましたか!?」
二人の質問にすぐ答える事が出来ない。
目線だけで一番冷静であろうヒュース皇子に訴え、ベットにダイブ。
「あぁぁぁああ……」
「相当疲れているみたいだが、本当に何があったんだ?」
「それが…………」
ヒュース皇子が代わりに話してくれた。
さっきまでの出来事を……はぁ。
「実は、王妃は面食いらしく、イケメンや可愛い人には目がない。そのため、見た目だけはいいチサトは、頬や髪などを揉みに揉まれてしまい、体力がなくなったようだ。それだけでなく、王も王で、何故かチサトを怒り『人妻に手を出すなど!!』とぶちぎれていた。何とか宥めたのだが、チサトはぼろぼろ。最後の力を振り絞って婚約破棄の話だけをして終わった。ちなみに、婚約破棄は成功。私が女性というだけで論外、チサトの見た目のおかげで機嫌も良く何もお咎めがなかった」
簡単に話せば、まさにヒュース皇子が話していたような内容だ。
はぁぁぁああ、俺の見た目で助かったが、俺の見た目のおかげで散々な目にあった。
女からしたら俺ってイケメンの部類になるのかぁ、悪い見た目をしているとは思っていなかったが………。
…………モブでいいよモブで。俺は、悪すぎる見た目じゃなかったらいいよ、目立ちたくなんだよ。
「なぜ、婚約破棄が成功したのか謎ですが、成功したのなら良かったです」
「よくわからないな……。そんな適当に婚約破棄だのなんだのと決めてもいいのか?」
リヒトとアルカの疑問はもっともだ。
俺も、よくわからない。
「今回は無事に終わったけど、また次がありそうじゃない? 冗談抜きに、知里をロゼ姫の婚約相手にしようと考えているみたいだったし」
「え!?」
アマリアの言葉にいち早く反応したのはリヒト。
慌てた様子で俺とロゼ姫を交互に見ている。
これは、やばい!! リヒトが暴走する!
「それは絶対にありえません」
「それは絶対にありえない」
おっと、ロゼ姫と声がかぶってしまった。
俺とロゼ姫がアマリアの言葉を否定すると、周りの人がポカンと口を開け唖然。
アマリアだけが珍しく大笑い、口に手を当て体を震わせている。
「はぁ、はぁ。まぁ、ぶふっ。あ、ありえないよね」
「笑い過ぎだぞアマリア、ふざけるな」
まぁ、いいだろう。婚約破棄は出来たのだ。
これをグランド国の王に言えば、報酬がやっと手に入れる事ができるはず。
ギルドからも、護衛任務の金がもらえるはずだ。
はぁぁぁぁああ、疲れた。
疲れたけど、金を手に入れるまでは生きていなければならない。このまま、死ぬわけにはいかない。
生きろ俺、生きるのだ!
………………フェアズとの戦闘よりきつい。
「あの、チサト様。冒険者とは、危険と隣合わせなのですか?」
「え? いきなりどうしたんだ? まぁ、ダンジョン攻略は命を賭けてやるものだし、管理者に目を付けられている俺と共に行動するとなると、今回のような。アマリアとフェアズみたいな化け物を相手にしなければならない時もある。命がいくらあっても足りないくらいだ。それがどうしたんだ?」
なぜ、ロゼ姫がそんなことを聞いてくるんだ?
「あの、私も冒険者になってみたいです!!」
「え、な、なんで? 命の危険があると言っただろう。何で、そこまで目を輝かせているんだよ」
助けを求めるようにグレールを見ると、肩をすくめていた。
「ロゼ姫は、今まで皆に守られ生きてきたため、刺激のある事をしたい願望があるようです」
つまり、遊び感覚で入りたいと言っているの?
それは、さすがに無謀だと思うんだけど…………。
「…………あっ、もしかしてですが、ロゼ姫様。前にお話ししてくださったことでしょうか。あの、私達が羨ましいと言っていた…………」
「え、羨ましい? なんだそれ」
前にお話……? あぁ、そういえば、リヒトとロゼ姫は一度、二人で話していたことがあったな。
まさか、その時に話していたという事か?
「あら、覚えてくださっていたのですね、リヒトさん。やはり、可愛らしい方は心も澄んでおり、他人のなんてことない言葉すらも覚えてくださるほど心優しいのですね、素敵です」
「え、い、いえ。ロゼ姫様のお言葉だったので、覚えていたと言いますか…………」
「それは、リヒト様は私の事を少しでも意識してくださっているという事でしょうか」
「い、いや、それはまた別といいますか…………」
リヒトの手を取り無表情で目を輝かせているロゼ姫に、たじたじのリヒト。
めっちゃ困っとるやん、辞めてあげて。
「それで、羨ましいとは一体なんだ。詳しく教えてくれ」
リヒトが助けを求めるように俺を見てきたから、本題に無理やり戻すため、ロゼ姫の肩を叩き問いかけた。
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