21話
「私の親友が昨年自殺したんです。その子、本当にいい子で明るくて頭も良くて美人で…。家庭環境にも問題がなかったみたいだし、クラスにいじめもなかった。それなのに自殺しちゃって。だからこんなの変だって思って、私ずっと叶の自殺した理由を探してるんです。それで、私と同じ学校なら愛崎さん叶について何か知らないかなって…。思って…。」
「ふーん、なるほどねぇ。いいんじゃない?愛ちゃんには同い歳の友達ができるし、ヒナちゃんは親友のことが聞けるかもしれないし」
ふむ。確かにそれでいくと僕としても別段断る理由はない。桜さんも言うように、愛崎さんには同い歳の友人が出来るしヒナちゃんには亡くなった友人の情報が入るかもしれない。
なにより僕は愛崎さんの不登校の原因が本当に潔癖症なのか確証が欲しい。それとなくヒナちゃんが愛崎の不登校の理由を探ってくれれば…。
「いいよ、僕から愛崎さんに言ってみるよ」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
ヒナちゃんにパッと可愛らしい笑顔が咲く。
「ただ愛崎さんが叶さんのことを知っているかどうかは分からないし、そもそも繊細な子だからヒナちゃんに会ってくれないかもしれないよ」
「わかってます!それでもいいんです!」
「あと、これは僕からのお願い。この前ヒナちゃんに会いに君の家に行ったこと、愛崎さんの不登校の理由を探りに行ったことは絶対に内緒にして欲しい」
ヒナちゃんはまっすぐと僕をみる。
「約束します」
そして柔らかく微笑みながらウインクをした。
「私、お姉ちゃんと違って口は固いんです」




