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10話
どうして、なんでこうなったのかよくわからなかった。
混乱する頭で辛うじて理解できたのはもう昨日までの何の変哲もない日常には戻れないということだけだった。
どうして。なんで。誰が。
馬鹿みたいに同じ言葉だけが頭の中を縦横無尽に埋め尽くしていく。
嘲笑という名のBGMがうるさくてガンガンと鼓膜に響いている。頭が痛い。心臓の音がうるさい。顔が熱いのに、それとは裏腹に急速に血の気が引いていく感覚。
何かを言わなければ。今ならまだ聞いてくれる誰かがいる。今ならまだ間に合うから、なんでもいいから何か言葉を紡がなくては。言葉を紡げ、紡げ、紡げ。
そうは思うのに声帯から出た形を持たない何かはひゅっ、と奇妙な音だけ奏で、風になって誰に届くこともなく消えていった。
震えも冷や汗も止まらない。頭が痛い。居心地が悪い。ここにいたくない。昨日に戻りたい。助けて。誰か誰か誰か。
そんな祈りは届くはずもなくて、学校のチャイムは無情にもいつも通り空気を読まない音量で鳴り響いた。
それはまるで私の平穏だった日々が終わる音のようだった。




