表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/169

第72話 リナちゃんは下町に行きたい 団長の警告

「なるほど…一矢報いる気満々な訳だな。クランベリー公を落としたのは伊達じゃ無いって訳か」

 雰囲気が団長に戻った。ーって言うか、今何て言った?


「こっち側の人間を今更どうのこうのしないさ。今のは、ものを知らない子どもへの単なる警告。派閥関係無く、親兄弟以外の男を信用するな。了解?」

「了解です。でももう、子どものふりは、限界ですかね」

「結婚適齢期には入ってるしな。あんたの親父さんが握りつぶした縁談も結構あるんじゃないかな」

 その辺は、世界を超えても変わんない訳ね、ゲームの中じゃ平気だったのに。


「それに、ホールデン侯爵家に取り込まれるんだったら、相手は俺だよ」

「レイモンド様じゃなくて?」

「レイモンドは……もう婚約者がいるからなぁ。だが、あんたがあっちの方が良いって言うなら」

「どっちも嫌です」

「そりゃそうか。残念だけど仕方ない」

 この辺、本当にどうでも良いんだな。この人たちって。セドリックと反応が似てるや。


「話に、ついて行けてないみたいだな」

「はぁ、結婚は、好きな人としたいです」

 団長は吹き出して、笑い出した。変なこと言ったかな?

 そんな中、コンコンってノックの音がして。


「セドリック・クランベリーです。入ります」

 セドリックが許可取るまでも無く入ってきたけど……。

 目の前の惨状……団長、まだヒーヒー言って大笑いしてる。そろそろ、呼吸困難が心配なレベル? ……を見て、私に訊いてきた。


「何? これ」

「さぁ」

 何が笑いのツボなのか分からん。

「あ……セド……リッ、ちょっと待て」

 笑いを必死で止めて、部屋に備え付けられてる水差しから水飲んでる。

「あ~、死ぬかと思った」

「何かありましたか?」

「いや……リナ嬢があまり見た目通りの可愛いこと言うんで、言動とのギャップがね」

「可愛いこと?」

 セドリックが、怪訝そうな顔になる。


「それは……まぁ。後から彼女に訊きたまえ。今、言ったら笑いを堪えられなくなる」

「ギャグを言った覚えはないんですけどね」

()()……にしてくれ。リナ嬢」

「はい。団長」


「それで……だ。セドリック。お前、リナ嬢に四六時中張り付いとけ」

「無理ですね」

「上官命令だぞ」

「リナ嬢の護衛依頼は、すでに宰相から受けてます。よって、団長の命令は却下できます」

「なるほど……宰相の命令の方が優先されるな。だけど、護衛だから仕事一緒じゃ無いか」

「四六時中、私が張り付いてましたら、リナ嬢がしてることの意味が無くなります。自由の確保も仕事に入ってますから」


「その所為で、危ない目に遭っても?」

「安全な場所を放棄してきてるのですから、自業自得でしょう」

 セドリックが、何かあったのか? って目で言ってきてる。

 何にも無いよ。セドリック呼んでた時点で、何もする気無かったんじゃん。


「勘違いしてるかも知れないので言いますが。近衛団長は純粋にリナ嬢を認めてます。あの近衛団長の殺気の混ざった威圧の中、優雅に笑って話し続けられる人間を自分を含めて、私は知りません。『剣が無くてもどうこうできる』と言われても『自分の見る目が無かった』と言い切ってますからね」


 あ~、そんな風に見えてたのか。過去の自分すごい。

「それは……すごいな。本気で参謀に育て上げる気か~。参ったね、こりゃ」

 騎士団全体敵にまわすとこだった……と、ボソッと言った団長のつぶやきは、しっかりセドリックに聞こえてるようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ