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第60話 卒業式の夜会

 今日は午前中、卒業式があった。

 入学式と卒業式は、在校生もつきあわされる。

 前世の卒業式とは違い、親は参加しないが……セキュリティ上の問題? ……式典が進むにつれ、別れを惜しんで涙する女性も多くいた。


 卒業式の後、送別の夜会が開催されてた。

 本当の夜会と違って、学園の夜会は、何かやらかしても噂にならない気楽なものだ。

まぁ、入学の夜会では、記憶が戻ってない私が、やらかしまくったわけだが……。


「おめでとうございます」

 エイリーンと2人でセドリックと兄に挨拶に行った。

「ありがとう」

「ありがとうございます」

 兄は、エイリーンがいるから挨拶が丁寧だ。

「卒業したらちょっと一息付けるんじゃないんですこと?」

 エイリーンが、卒業する二人に話を向ける。

「ああ、僕はそうですが」

 兄はチラっと、セドリックを見て言ってる。


「俺は明日から、仕事だっつーの。1日くらい休みくれって」

「仕方ないですわねぇ、隊長ですものね」

 エイリーンがクスクス笑う。


 セドリックが私と目を合わせる。

 スッと礼を執った。

 何? 気持ち悪い。

「リナ嬢。私と踊って頂けますか」

 ああ、曲の変わり目か。

「喜んで、お受け致します」

 そういえば、初めてだ。セドリックと踊るの。


「なんか、意外と上手ですよね」

「意外ってなんだよ。まぁ、いいか時間が無い」

「なんです?」

「3日後、空いてるか? その日なら親父と会えると思うけど」

「空けます。3日後ですね」

「じゃ、迎えに行く。護衛の仕事っていったら、何とかなるだろう。制服でな」

「制服?」

「一応、学園の制服着てる子は、子ども扱いが大人のルールだから」

 まっ、交渉内容によっては気休め程度になるけど……って、ボソボソ言ってもこの距離なんだから、聞こえてるからね。


「そういえば、セドリック様。レイモンド・ホールデン様って何でジークフリート様にくっついてるんですか?」

 私の言葉でジークフリートの方を見る。やっぱり、2人してくっついて雑談してるのが見えた。

「実はレイモンド様だけ、王太子派って事は無いですよね」

「最初はエイリーンの方に行かないようにジークが引き留めてたはずだけど。今はどうかな? あれも、見かけ通りじゃないもんな。兄貴の方がまだ落としやすいかな」

「そうなんですか?」

「俺たちいなくなるもんな。心配?」

「心配です」

「今日は素直なんだな」

「自分の事じゃ無いですからね」

「人の心配より、自分だろ? 交渉材料無しじゃ。正直俺でもつらい相手だぜ」

 無謀なのは、百も承知です。

「気が変わって、助けたりしないで下さいね」

「へぇ~。言うじゃねえか」

 言いますよ。はっきり、邪魔ですもの。

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