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第35話 父の執務室 リーン・ポートのお話

 私は、来客用に置いてあるソファーセットのソファーに座る。

 父もテーブルを挟んで座った。


「これはある意味試金石なのだよ。太古の、それこそまだ我が国に魔法が存在してた頃の名残だ。名前はリーン・ポートと言う」

「女性の名に聞こえますが」

「そうだね。これを創り出した者の関係者だったのではないかと言われている。これは国王が在位中ただ1人にだけ与えられて、1度だけ次世代の国王から書き換えられるんだ。持ち主が死んだら、その者と共に消えてしまう魔法物だけどな。話を戻すけど、現王の時に、王位継承が揉めたのは何でだと思う?」


「お家騒動だったのでは? 首謀者の貴族は一族郎党処刑されたのでしょう?」

「表向きはな。第一王子も第二王子も現に亡くなってる。処刑された貴族は自らその役を買ってでたから、本当に処刑はあってるからな」

「一族郎党、みんな巻き込んで……ですか? 罪も無いのに?」

「そうだ。罪どころか、これ以上国家のことを考えてた人はいないと言うくらいの忠義者だ」

「なぜそこまで……」


「第一王子も第二王子にも、これを生み出すことは出来なかったからさ」

「即位前にどうして分かるのですか?」

「私のは前国王から賜った物だ。それを持っていると次代の国王が分かってしまうのだよ。国王以外、書き換えれないからな、このリーン・ポートを」

「書き換え……」


「ああ。リナは現国王から賜っただろ? でも、実際に仕える国王は次代が中心になるだろう。実質、リーン・ポートが選んでるんだ国王を」

 なるほどエグい話だ。第三王子が選ばれてしまったために、上の2人の王子は死ななければならなかった。

 後に禍根を残さないように……。


「それにリーン・ポートは、どうしたことか下位貴族しか賜ることが出来ない。そして、優秀な側近に仕立て上げられる。中身がどうであれな」

「バカには渡さないと言ってた気がしますが……」

「そもそも、バカはリーン・ポートが選ばないだろう?」

 ごもっともで……。


「それに、なぜかこれを持つ者には、ときに国王ですら逆らえないのだからな」

「現国王のお家騒動の時に決断を下したのは、お父様でしたか」

 それと多分宰相様……。

「そうだ。判断できる国王が不在だったからな。リーン・ポートのことは、国王と宰相、あとは所有者しか知らない。知れ渡ったら大事になる」

「そうですね。それが下位貴族にしか賜れないとなると……」

 考えまい、もっとエグい考えになるから。


「わかりました。誰にも知られないよう努力します」

 私は、ソファーから立った。

「やはり学園に戻るのかい?」

 それには答えず

「お父様、逃げた先に安穏はありましたか?」

 と言って執務室を後にした。

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