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第33話 リネハン伯爵邸の夜会の後始末

 国王の御前を辞して、別棟の地下にある牢に向かう。宰相と連れだって歩いた。


「強いですね」

 宰相はぼそっと言う。

 なんだか、カチンときた。まだ私の中に怒りの感情があることに驚きはしたが。

 私は強くない。今だって、やっと立ってる。中身は空っぽだ。


「気に障りましたか? でも、わたしが最初に他人の人生を決めてしまえる地位にいると実感したときは、とても立って居られませんでしたから」

 そういう宰相を私はガン見する。


「先程の話ですが、私が下した決断はどうなるのですか?」

 実行されなければ、意味が無いのですが……とまで言わなくても分かってくれる。

「こちらで引き取ってそのように取りはからいますが……。それが、例え両方助けると言う決断でも」

 驚いた。

「信じられないと言う顔をしてますね」

「それは……そうでしょう。だって、それは……」

「どういう決断でも、こちらは受け入れます。国王の言葉として」

 なるほど、公的にはそういう扱いになるんだ。




 そうしてるうちに、地下にある牢のあるところまで降りてきた。

 牢番は、宰相はともかく貴族令嬢が降りてきたことにギョッとしたようだった。

 宰相が話を付け、私には「ここでの言動は、公式記録に残りますから」と念を押した。


 私は程なくデュークがいる牢の前に立つ。

 顔を上げたデュークは私をみて少し驚いたが、一緒に居る宰相と牢番を見て無表情になった。

言伝(ことづて)を伝えます」

 誰からと言わずとも、デュークは跪いて礼をとる。

「そなたの願いは叶った」

 と、私が告げたら、パッとその顔を上げ、一瞬嬉しそうな泣きそうなそんな顔になり

「有り難き幸せに存じます」

 と言った。礼をとったままの、デュークを残し、私たちは牢を出た。


 ほどなく、リネハン伯爵及びその関係者の斬首刑が執り行われた。

 彼が願ったとおり、その中に彼の妹たちは入っていない。

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