表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラ・サクセスストーリー~私、やらかしてます~  作者: 松本せりか
キース・シャーウッド編 (リナの一人称。多少色々変わってます)
152/169

第22話 リナの憂いと王子たちのお見舞い

 私は自分の部屋のベッドで大事を取って寝ていた。

 寝やすいからと、ふんわりとした上下に分かれたパジャマを愛用している。

 本当は、寝ている必要は無いのだけれどね。

 

 もうすぐしたら事件の後始末も終わって、セドリックもお城から戻ってくる。

 そうしたら少しは、私が帰った後の事を訊けるだろうか?


 マリユス・ニコラから刺されたお腹は、傷が全くついていない。

 キースから貰った血のり袋が裂けて、派手に血のりが飛び出しただけだ。

 でも、周りは私が大けがを負ってしまったと思っているだろう。

 セドリックに、私が無事な事を伝えられて本当に良かったと思う。

 また余計な心労を、かけるところだった。


 さすがだわ。マリユス・ニコラは、王室の暗部の人間だけあって、殺気も何も感じさせず、笑って私を刺していた。

 フィルが私の側にいなかったら、誰も気付かず取り逃がしていたかもしれない。


 マリユス・ニコラは、アンセルム王太子殿下を主と定め忠誠を誓っている。

 彼が命令したことなら、何のためらいも無く実行してしまうのだろう。

 今回のように、自分を含めた、使節団を全滅させるための行為でも。

 だけど、アンセルム王太子殿下の方は何とも思っていない。

 彼が死んでしまっても、もう記憶の隅にすら残っていないだろう。


 そう考えると哀れにも思うけど、私にはどうする事も出来ないわ。

 だって、彼を放置したらまた同じことを繰り返す。

「バカね。私って」

 思わず口に出てしまった。

 こんな言い訳をしても、人を殺してしまう事に変わりは無いのに。



「リナちゃん。ちゃんと寝てるか」

 セドリックが帰ってきたわ。

 だけど、なんだか機嫌が良いというよりは……。

「どなたか、いらっしゃっているのですか?」

 私は、2人の時の話し方はしないで、ベッドに上に座り直した。


「元気そうじゃない。良かった」

「女性の寝室にお見舞いに行くものでは、無いと言ったのだけどね」

 大きな花束を持った、アラン殿下とジークフリート殿下が室内に入ってきた。

 侍女が花束を受け取り、飾るための準備をするために退出している。

 他の侍女たちも、王子殿下たちの席を作り、紅茶の用意をしてから退出していった。

「それじゃ、俺も自分の部屋へ戻るから」

 え? セドリックまで、行っちゃうの?

 引き留める間もなく、セドリックもいなくなってしまった。

 目の前の王子殿下たちはにこやかにしているけど。


「あの、ご心配かけてすみませんでした」

 私は2人にベッドの上でペコンとお辞儀をして謝った。

「本当に大丈夫なの? 女の子なのに、傷でも残ったら」

 アラン殿下が、心配そうに言ってくる。

「ああ。ケガしてないです。お腹見ます?」

 私は、パジャマの上をたくし上げてお腹を見せた。


「うわ~っ! 何やってんの。リナ」

 アラン殿下は、赤くなって腕で顔を隠しながらそっぽを向いた。

 ジークフリート殿下の方はまじまじと見てるけど……。

「本当に、綺麗なもんだ。傷一つ無い」

「でしょ?」

 私たちは普通に確認していた。

「なんなんだ、お前ら。何で平気なんだよ」

「意識する方が、やらしくない?」

 初心(うぶ)なアラン殿下に、ジークフリート殿下はからかうように言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ