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第111話 ホールデン侯爵邸 第8部隊との戦い……私は、まま子扱い

 ホールデン侯爵邸は結構な警戒態勢で、外には私兵が大勢いた。

「これ、7部隊全員で来た方が良かったんじゃないか?」

 サイラスが独りごちる。


 私は、サクッと袋から煙り玉を出してる。マッチで火をつけてっと。

 思いっきり別々の方向に転がす。ゲームの曖昧設定最高。

「合図したら全員屋敷の入り口に向かって走って下さい」

 シューっと音がして、辺り一面煙が充満する。


「走って!」

 ダーッとみんなで走る。私はセドリックから抱えられたけど。

「うわー」とか、「何が起こった!」とか叫んで、パニックになりかけてる。

「セドリック様、止まって下さい」

 途中で止めた。本当は、足の遅い私が、投げながら走るはずだったネズミ花火もどきを二人で火をつけ投げる。

 煙の中、足下、火花散らしながら何かが走って行くって感じになり。

 パニックが更にひどくなった。


「なるほど……こうやって戦うわけね。リナ嬢は……」

 サイラスは、感心したように言う。

「誰が戦闘能力無いって言ったんだよ」

 とは、セドリック。

「剣なんかいりませんねぇ~」

 クリフォードまで……。

 なんか、色々呆れられてるけど。

 全員、屋敷に入ったところで扉の鍵を閉めた。



「サイラス様。案内してください」

「う~ん。どこにいるかなぁ~。とりあえず、親父の執務室目指すか」

 階段を上ろうとしたら、第8部隊に出くわした。

「当たり……かな?」

 みんな剣に手をかけてる。私は丸腰だけど。


 だって、無理じゃん。訓練の時でさえ手加減されてるんだよ。

 ガチ勝負で勝てるわけがない。

 セドリックが私を自分の背に隠してくれている。


「誰の許可を得て動いている。騎士団は全員待機を命じられているはずだろうが」

 団長がいう。本来なら、私が言わないといけないセリフだ。

 一番狙われている私を、いないことにする方針らしい。


 外の煙は見られちゃってるだろうからなぁ。二回目は通じないんだよね。あれって…所詮子どものおもちゃの応用だし。

 団長が、剣を抜かないまま隊員をなぎ倒しながら進み出した。

 部下に甘い人だから、戦いになったら辛つらいだろう。

 ましてや同じ派閥だし。


 後ろの方でも戦いが始まった。こっちは剣を抜いて戦ってる。

 私は、戦いの横をすり抜けるように、一生懸命階段をあがってるのだけど

「きゃう」

 足滑らせた。お……落ちる。背中に衝撃を覚悟してたのだけど。誰かに受け止められた。

「へ? リナ嬢? なんで……って、剣は?」

「使えないんで、置いてきてます。ってフィル様?」

 やばい。敵に捕まってしまった。

「あ……あの。上に行きたいです」

 とっさに言ってしまったけど、連れて行ってくれるわけ無いじゃん。

 アホか、私は。


「階段の上?」

「はい」

「捕まってろよ」

 へ? 片手で庇われながら上にあがっている。足着いてないけど。

 当然のように連れて行ってくれるんだ。


「リナ嬢いるんだ、よけてくれ」

 第8部隊の人なのに、みんなよけてくれる。

「なんでリナ嬢いるんだよ」とか「マジかよ」とか色々言われてるけど、非戦闘員の緊急避難的な処置?


「ここで良いか?」

「ありがとうございます」

 階段ではまだ戦いが続いてる。そろそろ、けが人も出てるレベルだ。

 さっき、同じ派閥の団長の制止も聞かなかったからなぁ。

 まぁ、最悪たどり着くのは私だけでいいか。

 そんなこと、思いながら。ごそごそと懐から袋を出す。


 横でフィルが、ギョッとしてる。

「リナ嬢? それ、何? どうするの」

「へ? ハバネロ+α、ぶちまけますよ」

「まって。やめて! ストップ。みんな戦いやめー! リナ嬢が敵も味方も一緒くたに()ろうとしてる!!」

 さすがにみんな動きが止まった。

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