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第98話 宰相様の執務室でアボット侯爵の抗議の報告をした

 アボット侯から呼び出された翌日、私は宰相の執務室に連れて来られていた。

 宰相は自分の机で仕事をしながら私の話を聞いている。

 私はソファーに座って、お茶を飲みながら昨日あった事の報告をしていた。

 このクッキー、美味しい。慣れって怖いなぁ~、くつろいでるよ、私。


「って感じで、しばらくは黙認してくれると思います」

「それは、よかった。アボット侯爵閣下に呼び出されてお小言だけですむなんて本当によかったですよ」

「そうなんですか?」

「暇じゃ無いですからね。宰相時代よりはマシでしょうけど。まぁあの方は、誰にとっても、煙たい方です。でも、ああいった場合は私かホールデン侯爵閣下を伴って行って下さい。推薦人なのですから」

「迷惑だと思って……。すみません」

 やばい。最初(ハナ)から頭の中にありませんでした。


「こういうことを迷惑だと感じるのなら、頼まれたからといって推薦人になったりしませんよ。これは、ホールデン侯爵閣下も同じだと思いますよ。実際、その日のうちに、お詫びと忠告を兼ねて、アボット侯爵閣下に会いに行ってますしね」

「忠告?」

「派閥が違いますからね。自分を通して抗議をしてくれと言う忠告だと思いますよ。逆の立場なら私もそうします」

「そう……なんですか」

「自分の派閥の子どもくらい守るでしょう」

 宰相があきれたように私を見た。


 そうか、そういう認識。わたし今、誰がどう見ても第二王子派に居るんだった。

「推薦人。サイラスがねじ込むきっかけを、リナ様が与えたんだったですよね」

 あ……あの件、ちゃんと謝ってないや。

「すみません。セドリック様にも怒られました。取り込まれるつもりなのかって」

 ふう~って感じで宰相が聞いてくる。


「油断しちゃいますか? サイラス相手だと」

「はい」

「リナ様に対して、良いお兄さん演じているんでしょうね」

「そう……ですね」

 サイラスのアレが演技だと思うと、少し寂しいけど。

「あの二人は似てますからね。戦略が。セドリックには手に取るようにわかるんでしょう。サイラスの思惑が」

「戦略ですか」

「相手にあわせて油断させ。誘導して自分が思っている結果を出させる。もしくは状況を利用して結果を出す」

「セドリックとの事でも、思い当たることあるんじゃ無いですか?」

 あ……。

「あります」

 考えてみたらそうだ、心当たりがありまくる。セドリックも。


「彼の愛情を疑わないでやって下さいね。傍目から見ても、貴女の事大切にしているの分かりますから」

 あ……いや……えっと。

「サイラスは今は利害の一致で、セドリックからの頼みを聞いているに過ぎません。あまり信用しないで下さいね」

「はぁ」

「納得してないようですね」

「すみません」

 納得してないというか……、何だかサイラスに対しても警戒心が働かなくなってる。

「これ以上は、私の仕事では無いので言いませんけどね」

 そう言って、宰相はまた書類作成に戻っていった。


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