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第97話 マーティンソン隊長とセドリック達の思惑

「申し訳ありません。ポートフェン司令官」

 アボット侯爵の執務室を辞した後、一緒に出てきたマーティンソン隊長が謝ってきた。

 今回はさすがに私も良い顔をするわけにはいかない。


「私のような子どもに言われたくないかも知れませんが、組織としての役割は守って下さい」

 私は、ちょっと(かた)い表情を作った。

 いつもの私と違う事に、マーティンソン隊長が少し驚いた顔をしている。

「あなたの隊は、アボット侯の護衛としてあの部屋にいたのでしょう?」

「はい」

「例えば、私が処刑されるような罰を受けた場合。強制的にあの部屋から退出。牢屋まで護送するのは、あなた方の役目だったのではないのですか?」

「おっしゃる通りです」

「ならば、次からはそうして下さい」

「なっ」

「そうでなければ、近衛騎士団の意味を成さなくなります。個人的な感情で動いていい組織ではないでしょう?」

 隊長と私は、にらみ合うような感じになってしまった。


「その通りです。申し訳ございません」

 マーティンソン隊長は、私の言い分の方が正しいのだと気付いて謝罪してくれた。相手が華奢な女の子の私で無かったら、自分の上官であっても私が言った通りの行動をしていただろうから。

 分かって貰えたことで、私は少し雰囲気を和らげた。

「私こそ、生意気言ってしまってすみません。私個人としては、庇って頂いて、嬉しかったです。ありがとうございました」

 隊長に、ぺこんとお辞儀して別れた。



 アボット侯が言ったことは、ちょっと真剣に考えないといけない。

 クランベリー公の守りはともかく、全てから守られているように見えてるんだ。

 部下として顔合わせしてるとはいえ、あまり接点のない近衛第3部隊でさえ、今日の失態。

 これが騎士団の連中だったら、私の制止も聞かない可能性がある。

 あくまでも、アボット侯の言ったように、最優先で私を守ろうとしているのであれば……だけど。


 とりあえず、近衛の事だからセドリックのところに報告にいくか……。


「あ~、悪い。それ、俺らの所為かも」

「は?」

 セドリックの執務室で報告したら、申し訳ないって感じで言ってきた。


「うん。騎士団みたいな男ばかりの組織では、リナちゃんみたいな紅一点はお姫様扱いして貰うのが、一番安全なんだよ」

「だから、サイラスと共謀してそういう風に持っていった。今日みたいに弊害があったら、その都度正していくしか無いかな」

 なんですか? それは……。

「一応、第三部隊には俺からも注意しておくし、サイラスにも報告するから。それで、勘弁してくれ」

「はぁ」

 よくわかんないこと考えるな。相変わらず。

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