第九話 重要?
………あっ、でも一つ解ったことがあるぞ。
昨日、今日と数人の『数字』の変化を確認したが、
『数字』が減った人は一人もいなかった。
あれっ、これって何気に結構重要じゃねぇ?
『数字』は減らない、あるいは減ることは(あったとしても)稀である可能性が高い。
最初は「HP」や「MP」の類かとも考えたが、仮に「HP」だったなら、
赤ちゃん死んでるじゃん!
と思い、却下していた。
そして、今回の確認で、血圧とか脈拍とか体温の様に、
簡単に上下するような数値ではないことが、ほぼ確信できた。
また、昨日・今日と同じ『数字』でない奴がいる事から、
マイナンバーの様な個人識別番号でも無い………と思う。
そういえば、同じ『数字』の奴等もいたな。
2人の共通点は………って、そもそも性別が違うじゃないか。
しかも、1人は、今日『数字』が増えていた男だ。
やっぱり、この考えは外してよさそうだ。
この2人の『数字』が同じなのは、偶然としておこう。
そして、少なくともこのクラスには、他に同じ『数字』な人はいない。
う~ん。
駄目だ。
少しアプローチの仕方を変えてみた方が良さそうだ。
ゲーム的に考えるならさっき却下した「HP」や「MP」がすぐに思いつくが、
もしもそうであるなら、もっと変化があってしかるべきだろう。
となると……「能力値」とか?
いや、だとしたら1つだけって事は無いだろう。
所持金?
いや、いや、それこそもっと変化がないとおかしいだろう。
どんだけ倹約家なんだよ、俺のクラスメイト。
しかも、所持金が1円だけ増えた奴が4人とか。
ないわ~。
そうなると……レベル――とかどうだろう。
ちょっと、いい線かもしれないとも思ったが、
いくらなんでも、レベルが3桁以上違うとかはないよなぁ~。
仮にレベルだとしたら、昨日のサラリーマンどんだけ強いんだよ!
ん、いや、まてよ。
レベルではなくて、経験値ならばどうだろう?
RPGなどでは、レベルが高くなればなるほど、次のレベルに上がる為に必要な経験値はどんどん増えていく。
それこそ、高レベルと低レベルでは、持っている経験値が5~6桁ぐらい違ってもおかしくはない。
……経験値。
いいとこをついているのかもしれない。
この方向性でもう少し考えてみよう。




