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第七話 発見

いや、まずは落ち着こう。


俺は、間違いなく写真を撮った。


うん。


それは間違いない。


実際、俺のスマホには、突然スマホを向けられて慌てている、

我が母の姿が、確かに保存されている。


そう、確かに写真を撮ったんだ。


だが、その写真の母には…………『数字』が表示されていなかった。


ひょっとして、『数字』が消えてしまったのか。


いや、それは無いだろう………とは思いつつも万が一という事もあるので、一応確認を。


階下に降りて、こっそりと母の『数字』が表示されているかを確認してみる。


うん。


やっぱり、表示されている。


ほら、見ろ!


消えてなかった。


いや、決して消えていなかった事を、喜んでいるわけではないからな。


単に、こんな簡単に消える訳は無い――という根拠の無い予感が当たっていたことが

ちょっぴり嬉しかった………のか?


まあ、いい。


そんな事より『数字』の件だ。


とりあえず『数字』が表示されなくなったという可能性は無くなった。


となると、普通に考えると『数字』は写真に写らない?


いや、いや、そう考えるのは早計だ。


たまたま、撮るのに失敗したのかもしれないし、

母の『数字』のみが写真に写らないのかもしれない………まあ、こっちは無いな。


とにかく、検証してみるしかないか。


しかし、今現在この家には、俺と母しかいない。

父が帰って来るには、まだ時間が早すぎる。


となると、家の窓から、前の道を歩いている人を撮るしかないか。


まあ、撮影して、確認したら消せば問題ない………事にしておこう。


窓を開けずに撮影すれば、シャッター音も聞こえないだろうから、

バレる事も無いだろう。


広義で捉えるならば、これも一種の盗撮に当たるかもしれないが、

犯罪になりはしない………と思う。


万が一、難癖付けられたら、外の風景を撮ってみただけだ、と言い張ろう。


おっ、丁度よく、犬の散歩をしている男の子――小学生(高学年かな)――が通りかかった。


『数字』は………表示されているな。


ちなみに、『数字』は人間限定のようで、犬には表示されていない。

これは通学中に見かけた、他の犬や、猫、鳥などで確認済みだ。


早速、スマホを構えて、写真を撮る。


そして、写真を確認。


うん。


やっぱり、写真に『数字』は表示されていない。


今のところ、サンプルはたった2件と少ないが、

『数字』は写真に写らない は確定でいいのではないだろうか。


そこで、ふと考える。


通学時に見かけた、全ての人に『数字』が表示されていた事を考えると、

テレビの出演者全員が、偶々『数字』が表示されない人ばかりだったとは考え難い。


むしろ、テレビカメラを通していたので『数字』が見えなかった 

と考える方が自然ではないだろうか。


そこで、スマホのカメラを動画撮影モードに変更して撮影してみる事にする。


俺の考えが正しければ、動画であっても『数字』は表示されないはずだ。


都合よく、学校帰りの高校生カップル(死語か?)が通りかかる。


くそっ、リア充め、モゲロ!


いや、今は呪い(そっち)ではなくて、『数字』を確認だ。


よし、どっちも表示されている。


では、死刑執行……ではなくて、撮影開始だ。


『数字』を確認するだけなので、別段長く撮影する必要もない。


早々に撮影を切り上げて、動画を再生してみる。


ビンゴ!


『数字』が表示されない事が確認できた。


続けて、何人かを写真と動画、両方で撮影してみるが、

撮影されたものに『数字』は表示されなかった。


一応、ネットの動画や、テレビでも確認したが、

『数字』が表示されることは無かった。


更に、念のため、録画と生放送では違いがあるかもと思い、

生中継されている、スポーツ番組、ネットの生放送なども確認したが、

変わりは無かった。


これにより『数字』は機械を通すことなく、自分の目で直接見ないと見えない。

というルールがあるのでは、と推測した。


ちなみに、窓ガラス越しでも確認できたように、

ガラス越しでも問題はないようだ。


これまた、念のためと、サングラスをかけて、

母の『数字』を確認している時に、

母に見つかり、指をさされて笑われたのは、

俺の中で 黒歴史 認定されたので、記憶から抹消しておく。


その後も、母の『数字』が変化することはなく、

父が帰宅した際には、父にも『数字』が表示されている事を確認した。


父も母も、お互いの『数字』について触れることは無かった。


それとなく、二人の視線を追ってみたが、

『数字』に注目している様子もなく、

お互いに『数字』は見えていないようであった。


こうして『中二病』を発症した一日目は無事(?)終了した。


そうそう、父と母の『数字』はちゃんとメモしておいた。

父の『数字』の末尾3桁が「777」とフィーバーしていたのは………ただの偶然だな。


ちなみに、父の『数字』は母の『数字』より、はるかに大きかった事も明記しておく。


クラスメイトの『数字』は男女でそんなに差が無かったので、それには少し驚いた。


でも、クラスメイトではないが、異様に『数字』が大きい女子が何人かいたので、

てっきり、女子の方が大きい傾向があるかとも思っていた。


しかし、改めて考えてみると、本日最も『数字』が大きかったのは、

バス停に並んでいた、くたびれた感じの(多分)サラリーマンのオッサンであった。

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