第ニ十話 解答
転校生―――いい加減、佐藤と呼ばせてもらおう。
佐藤が、教室に入ってきた時、
当然の如く『数字』があることは確認した。
校内で見かけた『数字』がもの凄く大きい生徒ほどではないものの、
クラスメイトと比較すると、大きめの『数字』である。
その後、担任に自己紹介を促されるまで『数字』に変化はなかった。
この時は、佐藤に注目していたからな、間違いない。
そして、佐藤が自己紹介をし、頭を下げて、頭を持ち上げた時には
『数字』が1増えていた。
これは、もう正解に辿り着いた、と言って良いのではないだろうか?
佐藤の『数字』が増える時に、佐藤がした事は2つ。
・自己紹介をした。
・頭を下げた。
そして、もし正解が「頭を下げる」であるならば、
俺らの学校では、授業前に必ず日直が、号令をかけて、
起立して、礼を行っている。
一人・二人していない奴がいたりする時もあるけれど……
毎回という訳ではない。
2人、その辺にうるさい先生がいるからな。
全員がちゃんと礼をしていないと、やり直しさせられるのだ。
であるから、今までクラスの中に『数字』が増えなかった者が何人もいるのは、
さすがにおかしい。
よって、「頭を下げる」が間違いである事は、確定である。
つ・ま・り「自己紹介をする」が正解となる。
答えは「自己紹介をした回数」である!
Q.E.D.
って、やつだ!
[ 自己紹介をした回数 で決まりでいいですか?
はい いいえ
次の問題 開始まで 111時間 46分 ▼]
突然、目の前に、ウィンドウが開く。
よくフィクションの世界にある、透明な板が宙に浮かんでいて、
そこに文字が表示される感じのやつだ。
驚きのあまり、声をあげそうになったが、どうにか堪えた。
よくやった、俺!
自分で自分を褒めてやりたい!
いや、既に褒めているけど…
周りの奴等が、何の反応も示さないところを見ると、
やはり、このウィンドウは俺にしか見えていないようだ。
とりあえず、落ちつこう。
俺にしか見えていないだろう事、
俺が直前までに考えていた事から、
このウィンドウは『数字』に関連していることは間違いない……と思う。
正解だと思うなら「はい」を選べばいいという事か?
これ、触れるのか?
いや、触ってしまったら、解答したことになってしまうのか?
本当に、いいのだろうか?
でも、目の前で『数字』が増えたのだから、
間違っている訳が無い!
覚悟を決めて、「はい」を右手の人指し指で触ってみる。
触った感触は全く無かったが、
目の前にあったウィンドウが消えた。
…と思ったら、数秒も経たずに、またウィンドウが表示される。
[
不正解です。
]
ウィンドウ全体に大きな「×」が表示され、
その真ん中に「不正解」の文字が表示された。




