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そこは、何も無い世界。
そこは、以前何かがあった世界。
静寂の中、ただ壊れた「物」だけが散乱した世界。
滅び。崩壊。破壊。混沌。
終末的な様子を示す言葉は様々あるが、この世界には、この言葉が似合うだろう。
ここは―――時の壊れた世界の果て。
果ての世に、一つだけ動く「命」の姿がある。
その命は壊れた世界を、ただゆっくりと歩いている。
時折足を止めては、悲しそうな瞳で何かを眺め、そしてまた歩き出す。
何度目か分からない回想。
何度繰り返したか分からない邂逅。
《《黒猫》》はただ想う。
終りの場所で、何時になったら終わるのかを、ただ想い続ける。




