ミッション 7 強化訓練 2
朝、理不尽は始まっていた。
夜中から朝に至るまで俺は苦痛をともなう腹痛毒を受け、かれこれ2刻(4時間)おき続けている。
日が出る前に最後のトイレに入った。
出る物はもう何も無い。
ただ、何かトイレに入り、腹痛が治まるまでウンコ座りをし続け、ようやく腹痛が治まり、トイレの外を出ると、親父が居た。
親父は、『! ックリした~。まぁ丁度いいちょっと裏庭に来い』と裏庭に来るように言われた。
正直、俺は眠かった。眠かったから、断ろうとしたら、腹痛がぶり返しそうに腹の中に何かが燻り始めた気が直ぐに裏庭に向った。
俺にはどうも休む暇はくれないらしい。
裏庭に着くとまず父親の一声が飛んだ。
「お前はこれから、コレを使って薪を一杯にしておけ・・・」
コレ=斧、を渡してきて、暖炉・竈の薪を作るように示してくるが、薪を割るにしても薪大本が足らない気がする。
それを見て、思った事を言おうとすると、父は、
「納屋に鋸があるから使って、木干し室から木を運びきり、割れ、終ったら二回家に入る前に大きな音を立てて扉を叩け、
父さんはあれだ! ・・・・・なっ、わかるだろ」
ソワソワ、いそいそしながら最後の方言うべきことを言って、足早にその場をさっていくのだった。
俺は朝から精神にも苦痛を伴うことに成った。
俺は父親から言われたことを聞きダラダラしながら、斧を薪割り板に叩きつけていた。
俺が真面目に仕事をするのは理由がある。
おなかの爆弾がうごめいているのを感じ取れる俺は恐怖しか生まれない。
あの夜の時のような腹痛は苦しく、つらいからいやだし、本能が叫んでいるのを感じ取っていたりした。
ちなみに叫ぶ本能はこんな感じだ。
『受けろよ!! 受けなければ、又あの鬼が来るぞ!!!!
あの、鬼は本当に遠慮なく俺にぶち込んでくる。死にたくなきゃ必死でやるしかない!!!!』
つまり、俺は死なないために強くなるしかないんだ。
だらか、俺は無心で薪を割った。
割って、割って、割りまくった。
時折、休憩を挟み、鋸で乾燥した丸太を等間隔で切り、斧に持ち替える。
恐らく3時間は立っていたが俺は、4度目の休憩時にもっと効率良く、切れないものかと考え、同時にもっと体力回復しないかな~と悩みだし、ふと思い出した。
俺、魔法仕えるじゃん!
ファンタジーなら、魔法で6等分に斬る事や魔法で自分の力を回復できるじゃないだろうか? なら、やってみるが吉。
俺は手を翳し、「風よ!」とか言ってみたが何も出なかった。少し恥ずかしい。此処を誰かに見られていないことを願う。
が、家の中から僅かに盛れる声を拾うと何か嫌な気持ちに成ってくるから、首を振り何故魔法が出なかったのか考え出した。
で、結論は魔法を放つのにはきっと呪文が必要なのである。
その上で、どんな呪文が必要なのかと考えを巡らし見ると俺の体で、おれ自身(心)は見ているだけの状況の神様憑依の戦いを思い出して解かった。
ウィンドだ。
そう、そう思って手を翳し、「ウィンド!」と声を発すると小さな問いっても直系30cm位の小さな玉が出て、目の前の薪に当り、砕け散った。
「おっ! ・・・・・・おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
凄まじい感動が俺の心を振るわせる。
じゃ、じゃあ、今度は・・回復魔法をっ! と俺はカミナリ様が言っていたあの言葉を口にする。
「風の恵」
自分にアイコンをセットするように言葉を紡ぐと、身体の回りに風が纏い優しい風が身体の中にしみこんでいく気がした。
すると、どうだろうかさっきよりも身体が軽くなった。疲労が一部取り除かれる感覚に襲われる。
おおおおおおおおおお!!!!!!!!! と感動する俺は、この時僅かに興奮し始めていた。
そして、楽しくて的をたくさん用意しウィンドを撃ちまくったのだ! といっても、10発くらい撃ったら気絶した。
マインドダウンしたのだ。
「・・・・ウウッ・・・・」
俺は、少しボーっとする頭をゆっくりと動かし始める。
顔に掛かる零れ日が木々の小波の間から零れ俺に振り注ぐ、その視界の中に妙な陰を捉えたのはこのときだった。
先ほどまでゆっくりとPCが再起動するような感覚から、新品のPCのように簡単に感覚が開花する気持ちを覚える。
ガバッと身体を起こし其処に居たはずの陰を捜す、この何か知ったる得意な気配。目を閉じガッ! と開き、後ろを振り返ると其処に居たのは、ゴブリンだった。
【ミッション 7 強化訓練 2】
1人眠れぬ夜を過ごした。
別段化物が出るハウスに居た! 訳ではない。
ただの、寝不足だ。
寝起きに一種の顔だけの化物を見た。
それが何なのかは言明しない。俺は命の方が大切だから。
腹も痛かったからトイレにたちそのまま数時間過ごし、いい加減足が痺れたから出てきたら親父が居た。
そのまま、既に話がすんである特訓に強制参加し、鉈を振るい、魔法を使い気絶。
起きたら気配がし、飛び起きたら普通民家に一匹では近づかないと言われているはずのゴブリンが倒れている俺を襲わず当りを物色していた所に遭遇した。