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チートスキル  作者: 雪将
第一章 引きこもりが昇天したら
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ミッション4 神様と鬼は紙一重

「にっ・・・・ニート・・・・?」

 突然凄まじい勢いでモンスターに襲い掛かる狂人ップリに唖然としている親父が居る。

 その間の俺は、『カミナリサマ、チョーコエェェ!!』と心の中で戦々恐々している中、突如魂が苦痛をあげ始める。『ギャアアアアアアア! 何か、辛い、苦しい、気持ち悪いぃぃぃ・・・・・』意識を失った。が、ナレーションはやめねーよっ!

「私はニートではないぞ、 私は神だ! 」

 シーンと静まる部屋の中、妙な空気がかもし出してくる。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 互いに見詰め合ったまま無言でいる。

「あなた・・・・ニート・・・・無事なの? もう・・・大丈夫なの?」

 そこへ、この家に住むもう1人が寝室の戸を開き、かけ毛布を巻きつけた状態で声をかけてきた。

 二人の視線がその人物に向き、妻の言葉に答える旦那が居た。

「あっ・・・・ああ、無事だが、

 ・・・・・・・・ニートは無事ではないかもしれない」

 その一言で神が乗り移っているニートはニート父を見る。

 そして、この神はこの神らしく・・・・・・。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」

 突然悲鳴を上げる父。

 それを見て、「あなた!」と駆け寄る若返った艶のある母。

 父は苦しみつつある事を叫んだ。

「な・・・・懐かしい・・・くるっ、くる、苦しみがーーーーぁぁぁぁ!!!!」


『おっ、お前もか!?』

 はっ! お、俺は一体何を・・・・・。

 右を見て、左を見る。真正面を見ると、ディスプレイ状に映像が写るように苦しんでいる父となんて格好をしているんだと思う母がなんか大変な事になっている。

 まっ、無視でいいな。俺はその空間の中で寝そべる事にする。


 ニート(神)は指を軽く弾く。

 小奇麗な澄んだ音が荒らされた室内に響くと、同時に父の悶絶響がピタリと止んだ。

 父は突然の苦しみから解放されて、いつの間にか自分の傍に来ていた妻を凝視する。

 父は驚愕した瞳で妻を見たか、と思うと直ぐにその視線をニート(神)に向ける。

 神は指をもう一度指を無言で弾く。

「ぎゃあああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・この理不尽・・・・・・・・・神様だーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 絶叫を上げ始めるニート父。

 オカンに至っては、親父の行動に驚き、親父の言葉に驚き、終いにはオトンと俺(神)を交互に見つめ、如何すればいいのか混乱していらっしゃる。

 でも、オカンは取り合えず混乱しながらもある意味最善を選んでくる。

「に、ニート・・・いえ、神様・・・なのですか? 私の身体を好きに使って下さっていいので、どうか! どうか!! 私の愛する夫をお救い下さい!!!」

 包まっていた毛布を脱ぎ全裸を晒し、その後膝を付き、手を組んで祈るように懇願してくる。

 しかしだ。

 カオス過ぎる。

 カオス過ぎる上に、俺単体にとってはただキツイだけ。だって、この人若返ったといっても俺のお袋なんだぜ! きつすぎて・・・・ツライ・・・・。

 それを、ディスプレイ越しに嘔吐感を覚える。 ツライ。

 ほんと、ツライ!

 それに対して俺の身体に憑依している神様は、

「いや、普通にいらん」

 簡単に拒絶する。

 オカンが、絶望している。この絶望は一体何に対してなんだろうか? と、邪推してしまう。いや、だってオカンからしたら若い身体の一世一代の勝負をあんなにあっさり、斬られたら、どう思うのか、ちょっとそれだけが気になる。

 でも、神は指をパチンと笑顔で弾く。そして、言葉を繋げる。

「いい女が惚れた男以外に身体を差し出そうとするんじゃない!」

 説教を付け加えた。

 オトンの絶叫は消えていた。

 オカンは上等の上下の衣服をいつの間にか着ている。

 何で? とか思っていると神様は口に出して答えてくれた。

「旦那の体力と怪我は治しておいた。それと、おオカンの服は、旦那を思う強い思いと優しさへのオマケだ。受け取っとくと良い」

 が、今なんか気がついたこの神様、女にすこぶる弱い気がす・・・ぎゃああああああああ!!!!!!

 精神体なのになんか痛い! 何処が! とかでなくてなんか痛い!! ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 俺はもう一度旅だった。



 

【ミッション4 神様と鬼は紙一重】

 セイシンタイ ノ ニート ハ ナゼカ イシキヲ ウシナッテイル。


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