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第80話 海へ行こう!!

 観光するよー。

 クエストも一段落したので、青玉槿の町に帰って、報酬を貰ったらアライアンスは解散です。

 例によってエクセレント!SPうまー!

 いや余ってるんだけどもさ……今後も何が出るかわかんないし、貯金するのだよ。



 そういやパーティはまだ残ってるけど、今日のログインもう1回ぶん、何かするのかな?


 ミケ:海行こうぜ海!白銀百合!!

 玉兎:今から行けばギリ☆称号取れるんじゃないか説。

 アン:いや待って、ログイン時間は……いや、町まで馬ならギリです?

 北斗:割とかなり、ギリギリじゃねえか?

 ひまり:まあ最悪野宿になっても短期ログアウトだし行ってみよ!!


 というわけで、変異体討伐報告で無事レンタル再開されたお馬さんでレッツ移動!

 って言ってもなー、ミケさんが相変わらず大蜥蜴だしなー。


 北斗:あっ。

 ひまり:あー……いや走竜なら速度は馬と大差ないから!

 玉兎:そういや馬にビビられるんだったな、北斗……

 北斗:種族適応下げてもダメなんだよなあ。切るのはまだ修正待ちで無理だし。


 まあどっちみちミケさんがいる時点で速度はどうでもいい!

 完全に間に合わない説有力だけど、もう気にしない!出発!


「うわ、チャレンジャーがおる」

「野宿乙?」


 通りすがりのサルガルさんとぎゅん太さんにそんなこと言われたけど!まだ判らんよ!!



 ……やっぱ無理でした!

 意外といいセン行ってたんだけどねえ、街道沿いの程々の空き地に隠蔽陣セットをばら撒いてログアウトだよ!



「おはよーございます!」

「おう、Cランクパーティか、全員初顔だな!ようこそ白銀百合へ、朝早くからご苦労さん!」


 翌ログインでさっくり到着、だよ!

 門番さんに挨拶して、町に入った瞬間に、甘い香りが漂ってくる。


 アン:百合の花、ですかね?

 玉兎:地名からすると、そうなんだろうけども……香りだけだと判らんなあ。


 そう、香りはするけど、街路沿いに花が咲いているわけじゃないんだよね、ここ。

 どこから香ってくるんだろう……?


 考えていたら、りんご~ん!とアナウンスの通知音が鳴り響く。


《北東部第二階位の町:白銀百合に到着したプレイヤーが現れました。但し条件の一部が未達につき、現段階での機能解放はありません》


 よっしゃ!!ワーファー!!

 短期ログアウトから復帰した瞬間からダッシュしましたからね、我々。

 タイミング的に先にアラ抜けてログアウトしてたイノさんが行ってるかと思ったけど、そういやあの人まだCランクになってなかったから馬に乗れないね!


 あれ?つまり、メインクエスト、EXの方だとCランクになってなくても受けられるんだ?


(今回のクエストは特例で奴の為にEXを振ったと聞いている)

 わあ、なんか運営側に便宜を図られてた!

 まあたまにはそんなこともある……あるのかなあ……?まあ済んだことだしいいか!


 取り合えず移動不可とはいえ、ポータル自体は存在するのでチェックしたら、また冒険者組合の騎獣乗り場で馬や走竜や大蜥蜴を借りる。

 今回の目的は海だからね!


 北斗:この辺まで来ると結構暑いね。

 玉兎:確かに。僕の恰好だとちょうどいい感じだけども。

 ひまり:ゲームだけあって汗かかないけど、熱中症の心配はしなくてよさそうね。

 アン:そこまで再現されると快適性から外れちゃいますからねえ。

 ミケ:あ、俺石だから汗かかないんだと思ってたけど、皆そうなんだ

 ひまり:そうですよ!


 流石にね、汗とか皮脂汚れとか、ゲームで気にしたくはないので!


 ……だってのに、ゾンビや蛟蛇みずちは臭うんだよなぁ……まあ索敵分類のデータだからしょうがないか。


 白銀百合の領域は、射干玉ぬばたま国の北東の隅、といえる場所にある。

 といっても王都エリアに接する境界を持つ、れっきとした第二階位のエリアだ。

 町は数分しか滞在しなかったけど、全体的に白くて細い列柱のある回廊を設置した建物が多い、白壁と赤っぽい屋根瓦が目立つ町だった。


 一番海岸線に近いのは東門から出てまっすぐ東、だそうなので、それに従ってみんなで遠乗りだよ!


 ミケ:モブは……パキケト?なんだそれ

 ひまり:えーっと……原始クジラ類?

 アン:クジラの仲間にしては小柄ですね?

 玉兎:パキケトゥスなら狼とかと大差ないサイズじゃなかったかな?

 北斗:化石生物の話までするっと出てくるな君ら?

 ひまり:化石はロマン。


 パキケト、という名が鑑定された動物は、ゲーム中の狼と同程度の大きさだね。

 頭がでっかくて耳が小さい以外はちょっとブチハイエナに似たところがある生き物。

 それ以外だと、どこからどう見てもスカンク!って感じのスカンクと、ケレンケンというでっかい飛ばない鳥。

 なだらかな草原というか丘が続く地形で、森林はぽつりぽつりと散在する、黄金桜北部と似た地形なんだけど、どうも低いところが湿地帯になってる気配がしますね?


 北斗:街道から外れるなよ。湿地で馬が足を取られるかもしれん。

 ひまり:やっぱり?なんか湿気た場所が多い気がする。

 ミケ:ちなみに薄墨柳方面は沼地だそうだぞ

 玉兎:そういえば誰か行ってたっけ。到達したんだ?

 アン:ああ、ディギーさん達ですね。道がなくて海にたどり着けずに引き返したそうですよ。


 うわあ、そんなことになってるのか、第四階位のエリアって人類に優しくないな?


 暫く走っていたら、未知の香り。

 臭い、って訳じゃないんだけど、いい匂いともちょっと違う。これ、なんだろう?


 アン:ああ、海の香りがしますね。

 ひまり:これが海のかおり?

 ミケ:ひまちゃんリアルで海行ったことないのか

 ひまり:山の中生まれでーす!今は地元からは離れたけど、やっぱり海は遠いかなー?


 修学旅行で海、行き損ねたからねえ……

 なので人生初の海だよ!ゲームだけど!


 海の方から、白くてでっかい鳥が飛んでくる。カモメっぽいな?


 ミケ:おおう、グンカンカモメ、Lv45!

 玉兎:流石に絡まれたらひとたまりもないな。

 ひまり:わあ、アクティブじゃん!

 北斗:だが海も!見えた!!

 ミケ:ウェミダー!!

 ひまり:ミケさんがなんか訛ってる……


 青い空の下に、走る馬の蹴る足下の、細りゆく街道のその先に、一面に広がる、紺碧の、海。

 写真では見てるからね、海だとは判るよ!!


 でもなんだろう、写真にはない、謎の解放感だ!海だー!!と叫びたくなる。なんでだろ?


 東の海へ向かう街道は、海岸にほど近い高台にある小さな村でおしまいだ。

 その村の手前から下った先は、白い砂浜。


 おや?砂浜にも何か生き物がいるっぽいぞ?


 ミケ:なんだあれ、アザラシ?いや暑いところだから違うか

 ひまり:ハワイにもアザラシはいるんだぞー!

 玉兎:うん、アザラシだねえ。後ろ足が前を向きそうにない。


 アザラシはどうも日向ぼっこしてたようで、我々の気配を察知したら、海中にもにゅもにゅした動きで逃げて行ってしまった。


 そういえば、ここはモブが多かったり荒れていたりって様子がないな。

 やたらアクティブ判定が多いだけで、どこまでも平穏な光景だった、気がする。


 ミケ:モブのレベル高いし今日は帰るかー?

 アン:戻るには騎乗時間が足りませんよ。

 北斗:久々に死に戻る?

 玉兎:それなら……どうせなら海に足だけでも浸かっていきたいな?

 ひまり:足突っ込んでも大丈夫かな?エリア境界で阻まれたりしないかな?

 ミケ:検証すっか!!


 馬と走竜で、ゆっくりと海岸に降りる。

 村の方から声が掛かったり人が出てきたりの気配はない。


 ひまり:あの村、人いないのかなあ?

 北斗:この時間だと漁が終わって昼寝中とか?

 アン:ああ、高台から岩場の方に向かって道が付いてますね!


 体高の高いでっかい馬に乗ったアンだけが、高台からの道を見つけたよ!

 つまり、我々から見えない方に漁港とかあるんだな?


 アザラシがいなくなった白い砂浜に降り立つと、馬たちはだだーっと元来た道を駆け戻っていく。

 この走っていくのは演出で、走って元の町に戻っているわけじゃあないらしい。途中で消えるんだってよ?


 砂浜は、歩くと足跡が残る柔らかさだ。

 つまり。


 ミケ:これは、ひどい

 玉兎:埋まったなあ?

 北斗:むしろ本来ならミケの重量だと、石畳舗装のない場所だったらどこでもこうなるのでは?


 はい!我々全員分より重いミケさんが見事に、着地と同時にふくらはぎ辺りまで埋まりました!

 北斗さんも歩けなくなってこそいないけど、足がサンダルの甲のあたりまで砂に埋まっている。


 アン:歩けませんねえ……!

 玉兎:アンファルさんもだめですか。

 ひまり:ドワーフ筋肉多めだから……


 あ、アンファルもだめか。ドワーフ意外と重量あるもんなあ。


 脱落した二人をおいて、波打ち際に足を踏み入れる。

 おお!ちゃんと海に入れる!


 と感動した瞬間、いきなりぐいっと波に引き込まれて足が滑る!


「どわわわわぶっ!」

 思わず素で声が出ましたがこれなんか足引っ張られてるぞ!!


 あっという間にどぼんと海に引き込まれるひまりちゃん。うっかり叫んでたから盛大にしょっぱい水を飲む羽目に!!


(むぉ、いかん、いかんぞ!呼吸が!)

 懐の朔夜も当然巻き添えです!息が!できない!

 といっても苦しいとかではなく、窒息ゲージが出ただけですが!1秒で体力が1減る!


 攻撃符は使えそうだったけど、目標不明だし死に戻り予定なんで、大人しく力尽きました!

 ぷかりと顔を下にして浮かぶひまりちゃんです。げふり。


 ひまり:どざえもんいっちょあがりぃ……

 ミケ:【悲報】ひまちゃんに[どざえもん☆]って称号が

 玉兎:なんでひらがな?

 北斗:川で溺れると[土左衛門]だそうだぞ。


 いやー!なにそのこっぱずかしい称号!でも手遅れ!!


 ひまり:なおこの海なんかいます。足つかんで引きずり込む奴。

 アン:妖怪じゃないですかやだー!


 結局そのあと玉兄さんも推定水妖に引きずり込まれてどざえもん2号に、他の3人はというと、動けないところをグンカンカモメにたかられて、予定通り全員で死に戻りました!


 ……白金樺、久しぶりに来た気がするなあ。

 というわけで海は魔境の気配。

 北斗も水没させようかと思ったけど、こいつ溺れないのでカモメにガジガジコースに。

 ついでに言えば石人も呼吸しないんで溺れませんね……砂地に沈むと地獄だな?

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