第76話 青玉槿という町は。
2戦目は軽く流して町到着です。
2回目のヘルマニビス討伐のあとは、時々イノさんがアライグマに突撃していく以外は平穏に進行して、夕方遅くに町を囲む壁が見える場所まで到着だ。
サウル::夜は閉門するらしいが、間に合うかな。
イノ::野宿セットは持ってる。
天童::これ3ログ目の奴いる?
ひまり::紅玉椿の時は門横に荷物置き場があって安地になってたよ。
レッキス::荷物置き場というか、なんかテントが複数見えるなあ。
むむむ?どういうことだ?今までそんな壁外設備のある町、なかったぞ?
わいのわいのと考察しながら接近したら、テントの中身自体は空っぽだった。
「そこの団体!本日はもう閉門時間を過ぎている!隠蔽陣の貸し出しはするから、そちらのテントで寝てくれるか!」
そして門番と思しき兵隊さんから声が掛かる。
まあ親切ではあるよね。隠蔽陣貸し出しとか他の町じゃ見たことないよ?
サウル::ではひまりさん交渉宜しく。
ひまり::なんで私!!やるけど!でも何を交渉する気なのか!
玉兎::ちっこい女子の方が髭のおっさんよりアタリがいいから……
サウル::髭はロマンだろ!!いやまあ自分もそう思うけど。
天童::野宿はまだ時間的に早いんだよなあ俺ら的には。
「はい!この町は初めて来たんですが、普段からこういう運用なんですか?」
「うむ、この町は他所と違ってアクティブなモンスターがこのあたりまで出没するのでね……」
背中を押されたので取り合えず質問からいくかー、と、しゃべりだしたら、門番さんの後ろから平服の、これも他所の町でなら普通の門番さんっぽい感じの人から何かが囁かれ、門番兵隊さんの回答が途中で止まる。
「いや待て?君たち、花蘭様の、弟子?」
「私と兎の人と和邇さんはそうです」
「少しだけ、待っていてくれ!使者だね?」
「はい、師匠からお手紙を預かっております!」
そして囁いた方の門番さんが私の言葉と同時にダッシュで戻り、門の横の詰め所に声をかけているのが見える。
そして詰め所の人たちもどたばたと動き始めた気配。
サウル::……ここまで劇的に動くの、君たちが関わると。
ひまり::おつかいクエ受けてるから!!そのせい!!
レッキス::普通このレベルで受けるクエじゃないんじゃ……
天童::わあ、板で運営が呆れてる。
玉兎::外れ値扱いされだしてるんだよな……。
サルガル::実際外れ値だろ君ら。
アン::好感度にカンストがあるの自体想定外ですよ?
そういうアンも、多分その☆付いた弟子称号、ごっついやつだよ?自覚?
暫く待っていたら、なんと、門が開いた。
えぇ?ルール曲げていい奴なの?
「失礼いたしました。
花蘭様のお弟子さんでメッセンジャーとなれば、このような場所で野宿はさせられません。
お連れの皆様も護衛扱いとして入場可能と上が判断致しましたので、どうぞ町にお入りください」
「ありがとうございます。では皆でお邪魔させていただきますね」
無事入場許可はゲットできたようなので、全員でぞろぞろと門内に入る。
まあ3パーティアライアンスだから比較的人数としては大人しい方のはず。
サウル::ついに好感度外れ値の恩恵を受ける日が来たかー!
天童::やったー!野宿回避!
サルガル::だが全員護衛扱いは草。
玉兎::とはいうが確かに我々1パーティでは踏破は難しいと思うんだ。
レッキス::あっちも現状の追認扱いだから気にすんな。
イノ::そろそろ抜け……いや、もうログイン時間あんまないから今日はいいか……
ミケ::イッノのソロ志向は習性なのか
イノ::ログ流れが速いと頭が痛くなる。
アン::今日はアラログもう切っても大丈夫だと思いますよ。
テッケ::その方がいいな。伝達必要な事項があったらフォローすっから。
アンもアライアンスログは時々切ってるらしいんだよね、同じ理由で。
体質ってやつもあるのかもしれないなあ。
なお会話が流れてこないと思ったらメレットさんが既にアラチャを切っていたそうだ。
頭痛勢案外多いんだな……
護法師の仕事は基本的にパーティ外には及ばないから、アラチャ聞いてなくてもパーティ会話やってれば動けるもんな。
ついに入れた青玉槿の町は、町全体が石造り、白っぽい石の壁を隠すように、屋根まで届く蔓草のトレリスが立てられているのがやけに目立つ。
屋根はスレート葺きかな?ブルーグレイかなあ?夕方だと流石に薄い色は判りにくいね。
町の木々はほぼすべて槿なんだけど、なんと、花が真っ青だという。ウルトラマリンとかそんな感じ?
いや槿の花は朝咲いて夕方に萎むから、我々は今、萎んだ花がらしか見てないんだけども、それでもとても青いことは良く判る。
ふつうは青い花って、萎むと赤みを帯びるんだけどね、そういうのも全然ないんだ。
玉兎::……こんな青いムクゲってあったっけ?
ひまり::ふつうは青紫まで。この色はどっちかというと朝顔!
レッキス::古代の文献だと槿が朝顔のことだったりするあれか。
ひまり::確かあれは未同定だったような……?
ミケ::俗説としてある、でいいんじゃね
玉兎::それはそう。参考にしたらこうなった感?
サルガル::町の名前に合わせてこの色だったりしてな!
サウル::町の名に合わせて植物を植えた話が前にあったね?
ひまり::うん、町の名の話は貸本屋で読めるよ!
サウル::あの情報も君か!
掲示板に書いたのは確かに私ですね!多分玉兄さんも読みに行ってそうだけど。
玉兎::読みたい本に限って触れないんだよなあ、あれ。
ひまり::解放されてない本は中身がまだないらしいよ。ベータだしね。
天童::むしろ本に地元民の認知できないFMの話があるっていうのは?
ひまり::多分今プレイヤーが読める本自体、殆どが我々にしか読めない本じゃないかな?
玉兎::確かに、システムの説明とかFMの件とか、地元民に関係ない内容が割と出てくる。
ひまり::町の名の由来とかの本は、同じ背表紙で触れないのがあったんだ。
サウル::なるほど……?
「使者殿はこの町は初めてでしたか?」
「はい!槿の木が多いですね!しかも青いですよね?朝見るのが楽しみです!」
「ありがとうございます。この地の槿は、この地でだけ青く咲く、特別な品種なのですよ」
すっかり丁寧語になった案内の兵士さんが、きょろきょろしていた私に声をかけてくれる。
そして本心を告げたら兵隊さんがにっこにこだ。
ひまり::愛されてるなあ槿。
ミケ::地元を褒められて嬉しくならない奴はあんまいねえよな
そのまま説明してくれた案内役さんによると、他所の土地に持っていくと普通の青紫の花しか咲かなくなるんだって。
土ごと持って行ってもだめだったそうなので、地質だけの問題ではないらしい。
(植物魔法で土地との結びつきを強めることでこの青を出しているのだというぞ)
何故か朔夜がそんな解説を補足してくれる。
(翠玉茶花の山茶花もそうじゃな、ゲーム内の秋にもなれば、手も空くじゃろう?花見に行こうぞ)
おお!朔夜から何か誘ってくれるのは初めてだよね!おっけー!絶対行こう!
玉兎::そういえば翡翠山茶の町にはあまり樹木がなかったような?
ひまり::緑の鮮やかなお茶の葉みたいな木があったよ。すごく背が低かった。
(そちらも山茶花じゃが、実が緑のまま熟すのじゃ。黄玉橘も黄色い実の橘から付いておるな)
ひまり::あれ?じゃあまさか、黄金桜の桜って?
サウル::鬱金って品種だって地元の人に聞いたけど、花は見損ねたなあ。
ひまり::知ってる!リアルにもあるよ!黄色い桜の品種だ!
玉兎::そういえば名古屋かどっかで見た気がするな?黄色い桜。
グレナ::いいなあ、あれリアタイしたいけど、春は忙しくってなかなか行けない。
ミケ::通り抜けにもなかったか?
グレナ::あるけど遠い;;
気が付けばアラチャが割とリアル話に寄っていた。実在する品種の話になっちゃったせいかな?
グレナールさんの居住地は名古屋なら近めで大阪が遠い?
新幹線通ってるとそういう感想にならなさそうだから岐阜から長野辺り?
アラチャでわちゃわちゃしてるのは地元の人には聞こえないそうで、一見整然とまではしていない、それでもパーティごとにまとまった動きで歩く私たちは、どう見られているんだろうね?
そして、町の北端にある、立派なお堀と、てっぺんに鉄柵のついた白い石壁に囲まれた、これも今までのどの町より立派な領主屋敷に到着だ。
但し、屋敷のつくり自体は、町のほかの建物と系統自体は同じだね。統一感重視?
なおそろそろログアウト時間なので、いったん神殿の仮眠室借りに行くかなぁ、と思っていたら、全員今日は領主邸にお泊りさせてもらえるそうだ。マジか。
夕食会とかないだろうな?時間足らんぞ?と思ったけど、さすがにそこまでの準備はできないとのことで、今日は簡単な軽食だけ出していただいて、それぞれ割り当てられた部屋でログアウトだ。
ひまり::ねえ。うちパだけ案内された部屋が違う疑惑。
サウル::当然だろう、使者と護衛が同じランクの部屋はこの世界でもナシよりのナシだろう?
グレナ::掲示板にレポートよろしくー眠い落ちるー。
玉兎::確かにそろそろ落ちないといけない系眠気が。
サウル::これが3ログ目の奴がいないなら次ログもアライアンス行動で。
ひまり::はぁーい!
さて、短期ログアウトの後はいよいよご領主様かその代理とご対面だね?
(代理のわけがなかろう。其方が預かった書状はだいじなものだぞ)
アッハイ。
到達称号のワールドファーストはフレクさん達が持ってます。
……暫くレベルアップないからステ更新さぼってたけどそろそろ書かないとダメか……




