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第7話 広がる友達の輪。

「た、助かりましたぁ……材料持ち込みでサンドイッチ製作してたらあのお爺さんに絡まれちゃって、騒ぎがすっかり大きくなってしまいまして……」

「あの爺、本気で耄碌しだしててねえ、おまけにドワーフと言えば鍛冶、それ以外は認めん!みたいな思想にかぶれちゃってて。

 昔っから轆轤師ろくろしも陶工もいるし、ドワーフ街の料理屋はドワーフがやるもんだってのにねえ!」


 アンファルが頭を下げたので、私もありがとうございます!と、料理屋のおかみさんだという恰幅のいい女性ドワーフさんに頭を下げる。


「いやあ、おおごとになる前に片が付いて良かった」

「轆轤師ってなんだっけ」

「確か木工職人さん!食器とか椅子の足とか作れるんだよ」

 そしてなんと、おかみさんを呼んできてくれたエルフさんが、ミューリィララさんだった。


「へー、ひまりちゃん物知り!」

「ほー……知識たっか!?僕16だよ?!」

 え、20って普通くらいじゃないのか。ステータスはフレンドとパーティメンバーのだけ見える仕様らしいけども。


「知識20?初期値じゃないですよね?」

 アンファルまで首を傾げたので、頷く。


「初期値は19だった……ああ、チュートリアルのレベルアップでかな?1増えてる」

 ログを辿ったらそんな感じだった。


「わたし12ですよぉ……エルフって知的イメージなのにぃ」

 ミューリィララさんがぼやく。


「あー、知識はナカノヒトの知識量がベースで、年齢補正で下がって、種族特性があると上がるらしいです。確か狐系種族は全般的に知識と知性と敏捷が高めだと」

 兎は体力と敏捷と器用みたいですけどね、と、玉兎一号さんが説明してくれる。


「ああ、ひまりちゃんは多分ナカノヒト補正が高いタイプでもありますね。

 暇なときに百科事典読むタイプですもの」

 アンファルが余計なことをフレンズに教えている……


 だって書籍はご予算と容量の問題があるから、物理も電子も、そんなに無制限に買い増しできないじゃん……百科事典なら一式あればずっと読める……

 ……流石に読み切る前に世間のバージョンが上がりそうではあるけど……


 なおうちの百科事典は、なんと官給品だ。

 勉学にご活用ください、ってどん!と図書スペースに置かれましたよね。


 そういうなんか大雑把なところがちょいちょいあるので、私の担当部署の事をちょいちょい政府ちゃん、って呼んじゃうのが最近のリアル事情だったり。



 私のフレンド二人とアンファルもフレンド登録をしたらしい。

 友達の輪というか、私の接触範囲はある程度業務上把握したいって奴だと思うけど。


(成程、合理的なフレンド登録のようですね)

 おお、フレンドチャットは念話式か。


(死ぬほどいっぱいフレンド登録依頼が来たから厳選しました)

(私もそうしますね……料理の研鑽がしたいって人は許可にするか……)

 ドワーフ女子を選択した人自体が相当レアだったらしくて、種族目当てのフレンド登録と、ごはんに釣られた人たちからも山盛り来たとかで、アンファルも相当数を拒否した様子ですね。


「フレンド登録、初期値が全部許可になってるのちょっと面倒だよね」

 玉兎一号さんも見た目の特異性のせいか、フレンド依頼ラッシュは食らった模様。


「ひまりちゃんとか凄かったでしょ?チュートリの合間に見かけた人の間で速攻話題になってたから」

「うん、メッセージないやつは全部蹴ったし今は依頼拒否モードにしてある」

「あ、それ、紹介モードってのが製品版で入るらしいよ。フレンドのフレンドからだけ受付できるってシステム。ベータでは未実装」

 フレンド登録周りの話をしていたら、玉兎一号さんから新情報。


 成程、他の人たちにも解説さんは仕事をしているのだな。当然だけど。


「お、いたいた。さっきは災難だったな、アンちゃん」

 そこに、プレイヤー表示のドワーフさんが現れて、アンファルに気安い挨拶をする。

 ドワーフとしても身長は低めなのに、かなりのガチムチ造形、これは拘りのキャラクリ組と見た!


「あ、ディギーさんですね。改めて初めまして、アンファル・アンフルです」

「おう、俺はディギングマシン、普段はディギーって呼んでくれていい。そっちがアンちゃんのフレンド?」

 赤毛の髭面のおっさんスタイルドワーフのプレイヤー、ディギーさんが名乗ったので、こちらもそれぞれ挨拶する。


「玉兎一号……お前さんクローズドにもいたか?」

「いえ?似た人がいたんですか?」

 首を傾げる玉兎一号さんは、本当に心当たりのなさそうな顔だ。


「違うならいいや。一号二号って名前に付ける奴が二組位いたから、どっちかの関係者かと思ったんだが」

「レアではあるでしょうけど、オープンベータの人数なら一人二人増えてても変じゃなさそうですねえ」

 クローズドで300人、オープンベータ第一陣は800人らしいからね。

 多分玉兎一号さんのイメージのほうが正しそう。


 ディギーさんは、アンファル同様料理人をメインにしたいらしくて、それで食堂のクエストを挟んでフレンドになったんだそうだ。


「もともと俺、作るより壊す方が得意なタイプでさ。

 料理は下拵えの段階が壊すに近いものも含まれてるんで、何とか適性がありそうだから」

 料理を選んだ理由が思った以上に想定外だったけど!


 このゲーム、職業システムもあるらしい。

 ただ、専門職を目指す為には職業用の技能やスキルが得られるクエストを発生させて、こなさないとだめなんだって。


「まあひまりさんや僕は種族特性で最初から符術師という職業を得ていますから、あまりジョブクエストには用はなさそうですね」

「あー、レア種族で職業選択なかった奴は、生産職に就けないぞ。正規版でセカンドキャラ作るのをお勧めするってさ」

 そして、玉兎一号さんの言葉へのディギーさんの回答で、衝撃の事実が発覚!


 ……いや私、生産やるつもり最初からないや。問題ないない。

 玉兎一号さんはショックを受けた顔してるけど。


「ひまりさん平然としてますね……」

「生産職やるタイプじゃないから私」

「ああ、これの前にやってたゲームでもどれも戦闘職一択でしたものね」

 感心するミューちゃんに答えたら、アンファルからネタバレされた。


「つまり、マジで呪符はミューさん頼りか……」

「最初から持っている術符なら自作できるらしいよ!」

 ミューさんによれば、初期状態で所持していた術符であれば、自作できるんだそうだ。


「つまり僕でも護身符:闇と攻撃符の光と雷は作成可能?作る系の項目はないが……」

「私が最初に持っていたのは攻撃符の火と護身の光と治癒の光」

 玉兎一号さんと私の持っていた呪符は、結構差があった。

 多分見るからに種族特性だろう。


「材料が必要だから、すぐに作るのは無理だけどね。

 ところでディギーさん、なんでそんなこと知ってるの?普通のドワーフだよね?」

 ミューさんが問題点を挙げてから、ディギーさんに突っ込む。


「正にその縛りが困るもんでノーマル種族に作り直したから、だな!」

 アルファ版やクローズドベータ版のキャラは引き継ぎ不可能だったんで新規作成したらそんなことになったらしいよ。


「そもそもパーソナライズ種族システム自体がオープンベータでの初実装だからなー」

「なるほど把握ー!私はひまりちゃんがすっごくかわいいから、現状満足してるけど」

「僕も今の種族自体に不満はないので、製品版でもこのキャラがメインになりそうです」

 生産職サブは絶対作るけど、と、玉兎一号さんは既に将来プランを立てている。


 私は現状だとひまりちゃん一択かなあ。かわいいんだもん。



「そういえばおなかがすいた感じとか特にしないけど、食事周りってどうなってるんだろう」

「ベータの間は完全に趣味状態。

 ただ製品版でエンプティポイント、つまりEPが設定される予定らしい。

 0になったら動けなくなる奴な」

 だから料理は覚えておきたいんだよな、とディギーさんが自分が食べ物に拘るもう一つの理由を教えてくれた。


「ああ、じゃあ今のうちに食事の習慣はきちんとつけた方がいいんですね」

「そのためにはお金を稼がねば……従魔登録あったから私すかんぴん……」

 アンファルが納得の面持ちだけど、私には!ご飯の為のお金がない!


 と言ってたらディギーさんとアンファルが兎肉を買ってくれました。いっこ100エン!

 いっぺんに800エンだ!やったー!


「料理の初歩の修行で兎肉はいくらでも使うからな。溜まったら買い取るぞ」

「アンファルにある程度回してからになるけど」

「あ、僕も手持ち売るよ」


 そんな感じでディギーさんともフレ登録して、それぞれ資金もできたあたりで、なんだか眠くなってきた。


『ゲーム内一日の活動時間制限を間もなく超過します。お宿を探しましょう』

 アッハイ。連続稼働に制限があるのね、把握。


 宿かー、アンファルにも相談しよう。

なおウサ肉、競売で1つ120エン、そのくせ組合買い取りは1つ20エンまで落ちていた(販売は競売と連動で120エンという罠)


サンドイッチは火を使わないレシピ+レシピツリーの外なので初期状態でも作れる。

修行になるのは火を使う方が大きいけど兎の塩焼きは売り先が微妙という罠。

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