第65話 解放!翡翠山茶!!
リポップする虎をしばきつつみんなで前進だ。
セイル::おのれ!時間切れログアウト!!ってなんでここまで虎ァ!?
ミケ::前線押し上げてるから虎も追い込んでしまってるなこれ
ひまり::先にログアウトした勢は大丈夫だったのに。
うーむ、虎をノンアクエリアに押し込んだのは失敗では?
と思っていたら、町の方から物凄い大音声の……これは、鬨の声ってやつ?
ディ::なんだ?
ユー::装備を見るに、翡翠山茶の冒険者NPCではないですか?
サルガル::最前線だとバフかかるぞ今の叫び!
玉兎::ウォークライあるんだ。
ひまり::かかったけど符術は非対応の予感!
ミケ::生産職にかからないのに符術師はかかるんかい
北斗::魔法使い系も一応戦闘職だよ!!
シング::この分類もなんか微妙に違和感あるんだよなあ?
なんか物理攻撃バフがかかったよ!我々符術師だから意味ないけど!
そのあとは、なんか物凄い勢いであちらの冒険者さん達が乱入して、押し込んだ虎の、誰もタゲを持っていない奴があっという間に駆逐されて、我々と位置が入れ替わる。
最前線より後ろに配置していた後衛陣も、レベルが上がった人は順次前に来ていたんだけど、その人たちのところまで、NPCの皆さんが走り抜け、リポップした虎を剣と槍、時々魔法が襲う。
魔法が時々なのは、符術と違って走りながらは撃てないからかな。
ミケ::おっし!こっちの虎は、これで終わり!
ユー::結局最後まで盾組やりきりましたね、ミケさん……
テッケ::石人ほんまどうなってんのその硬さ?
グレナ::中の人補正な気がするなぁ。
ディ::流石にリアルで盾ジョブはなくないか?
ミケ::俺盾も持てねえけどな!ワハハ!
テッケ::え?あれ?マジだ。あれ素手で捌いてたの?
ユー::もはや理不尽ですね?
北斗さんのバフが優秀なのと、石人、実は種族特性に〈強靭〉がデフォで入ってるから、そのせいかなー、とは思う。
ミケさん本人が盾役としての立ち回りが上手い、の可能性も充分あるけど、さすがにファイトファンシーの経験が役立ってるとかじゃないよね、あっちはVRじゃなくてコントローラーで遊ぶタイプだし。
我々は完全に安全地帯まで来て、討伐終了っぽい雰囲気になったので、みんな揃って町に向かいますよ!人数が!やばい!
玉兎::ここの羽根兎もLv15か。
テッケ::黄玉橘の兎はLv1からいたぜ。
ディ::なら第三陣はそっちからスタートの奴も出るかもなあ。
エルリ::スタート地点の分散を第三陣でテストか、有りうるね。
あれ?エルリさんまだいたんだ?ってそういや2回目のミサキちゃんたちのログインの時にいなかったな?
自分の足で町に入りたくて時間調整したなこの人?
町の入り口である門に近づいたら、開いた門の前に、さらに一列に、今度は軽装だけど鎧装備だから多分兵士さん達が並び、その中央に騎乗した立派な鎧姿の人物がいるのが見えた。
こういう時に視界を制限してあまり遠くから見えないようになるのは多分これがイベントだから、かな?ゲームらしいところよね。
集団から、少し距離を開けて、いったん止まる。
ミケ::じゃあ言い出しっぺが口上よろ
ひまり::はーい。
「私たちは黄金桜から翡翠山茶周辺の威力偵察を請け負った漂流者にして冒険者です!
皆様のご無事が確認できて何よりです」
取り合えずこんな感じかな?
最近はシステムのアシストは台詞には入ってくれないので、文章を考えるのが難しいね!
馬上の鎧姿の人は、年配の男性だ。
その人が一瞬大きく目を見開くと、呵呵大笑。
「ハハハ!その人数で偵察!漂流者とは、愉快な事を考えるものだな?」
「我々はまだレベルが少し心もとないので、数を頼むことにしたのです。
黄金桜の先輩方は青山欅への応援で出払っておりまして」
「むう、あちらも溢れたのか?」
「小耳に挟んだ程度の情報ですけど、ヒヒの変異体の襲撃があって、町自体にも被害が出ているそうです」
青山欅の話を出したら、笑いを引っ込め、真面目な顔になる騎士様。
そうか、黄金桜と連絡が取れていないってことは、他所の情報も持ってないんだな。
とりあえずわかる範囲で教えようね。
「そうか、代々柑子で溢れたものが、そこまで異変を拡大させたか……
我らも虎の出没範囲が広がりすぎて、籠城の構えを取っておったところよ。
大規模結界術を使用できるものはおるので安全自体は確保できるのだが、術式が古いとかで、魔力通信まで妨げるようでな……」
わあ、音信不通の理由、そんなところに?
(あー、神殿の使う古式結界術じゃな。儀式魔法版というやつじゃ)
珍しく朔夜から即時解説が入る。
「我々が個人で使う結界術とは仕様が異なるのですね?」
「うむ、神殿の儀式魔法の中でも古式のものでな。新式だとそんなことはないのだが、この町には新しい方の習得者が今はおらぬのだ」
ディ::そろそろアラーム出る奴がまた出るだろうから、そろそろ中に入れてもらいたいかな?
ひまり::あっそうだね!あとは中でお話させてもらいたいよね。
シング::そういや護法師で範囲結界使える人まだいないね……?
テッケ::中級なんだけど、黄金桜だと教えてくれる人がいねーのよ!
アラチャでツッコミが入ったので、話をまとめよう!
「そのようなことになっていたのですね。
最初にも申し上げましたが、我々は漂流者で、死者はまず出ないのですけど、そろそろ休憩しないといけない人間がいますので、可能であれば町への出入りをお許しいただけますか」
「おお!これはしたり!随分と働いてもらった者にすっかり立ち話をさせてしまったな!
我ら翡翠山茶の民は勇気ある者たちを、我、獅子果フェルデンデール勝能の名において歓迎しよう!!」
獅子果?ひょっとしなくても領主様か、この方!
「ありがとうございます!皆さん、移動ですよー!」
玉兎::ご領主自ら参陣?ここも人数的に割と切羽詰まってる?
エルリ::都から遠すぎる場所は過疎が進んでいると書物にあったがそれだろうか。
ゴノダン::竹林は竹に追われて元の町を捨てて今の場所に町を作ったがそれでも過疎ったと聞くぞ。
ひまり::アラーム鳴った人先に入っていいですよー。
テッケ::そんな理由でワーファー貰うのはちょっと^^
なんか気が付いたらひまりちゃんが先頭きって歩くことにされていた。
いやまあいいか、多分ワールドファースト称号は今アライアンスにいる全員につくと思うんだけどね?
りんごんりんご~ん!と、システムメッセージのチャイムがダブって鳴る。
門を潜った瞬間が、クエストクリアでもあるらしい。
《南東の町:翡翠山茶に到着したプレイヤーが現れました。これにより、黄金桜ー翡翠山茶間の物資流通が徐々に改善されます》
《全ての第三階位の町が解放・開通されました!これにより新たなクエスト、新たなイベント、新たな魔法・技能・スキルが解禁されます!》
『クエスト:翡翠山茶威力偵察を完了しました。評価:Exellent!スキルポイントとランク貢献度にボーナスを得ます。
また、アライアンス参加者全員に、称号[威力偵察完遂者☆]が順次付与されます』
ディ::お、全員にワーファー称号か!いいな!
ミケ::SP10!大盤振る舞いキター!!
ひまり::順次ということは今ログアウトしちゃってる人にも付きますね!
エルリ::町に入るのだけはすまない、といったところ……おや?
町に入ったところで、[翡翠山茶到達者☆]という称号が付く。
続々入ってくるプレイヤーたち全員に、☆付きだ。
そして我々と入れ替わるように、今度は神殿の神官さん達が数人飛び出していった。
何かあったっけ?と思ったら、なんと、外の隠蔽陣で無理やりログアウトした半透明組を引っ張って町に突っ込んでは転がして次の人を拾いに行ってる!
北斗::おー、死に戻り回避までしてくれるのか!親切だな!
アン::どうなることかと思いましたが、良かったですねえ。
ミュー::既に死に戻って戻り間に合わなかった人だけはごめんなさいかなぁ。
テッケ::そこは自己責任かなあ、実際一回も死んでない奴の方が多いんだし。
ユー::リアルラックだけはごめんなさい感は否めないですけどね。
なお、町に入ったものの、まだ門近くにいた人たちが神殿からクエを貰って、同胞を仮眠室まで運ぶお仕事が増えたそうです。私は先頭にいたんで聞かれなかったけど。
騎乗したまま、領主さんが町の中に戻り、私たちの前に再び立つ。
「では改めて、翡翠山茶の民は其方等、勇気ある漂流者を歓迎しよう!
本日は疲れもあろう、神殿設備も古いなりに整っておるゆえ、自由に利用されるがよい!」
そう述べると、領主様と兵士さんたちは南に向かって去っていく。
そして、横合いからお役人さんっぽい人と、冒険者組合の人らしき人がひとりずつ、こっちにやってくる。
「漂流者の代表の方でよろしいですか?」
「言い出しっぺではありますけど代表はしてないです」
我々はあくまでも個人単位で遊んでるだけだからね、ひまりちゃんが代表なんて無理無理カタツムリー!
「後日お話を伺いたいのですけれども」
「それでしたらこちらで何人か選定しておうかがいしますね。漂流者の性質の関係で、全て通しでずっといた人がいないので、こちらも情報のすり合わせが要るんです」
「わかりました。では冒険者組合にて調整致しますので、都合のよろしい日時をお教えください」
というわけで、クエは終わったけど事情聴取があるっぽい?
まあ悪いことはしてないから、いない間の話ができる人連れて、普通に乗り込みますけども!
増加:SP+10
というわけでユーザーレイドイベントはこれで一旦おしまい。
掲示板挟んで次回は事後処理を少しだけ。




