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第60話 黄金桜への帰還!

一区切りっぽいサブタイになった。

 短期ログアウトから復帰して、まずは全員の装備を相互点検だ。

 今回はいつもと違って、薬入りのでっかいリュックという大荷物を背負っているからね!


 玉兎:よし全員問題なし。冒険者仕様だからバトルがあっても大丈夫、か。

 ミケ:戦闘や短期ログアウトで割れるとかあったら流石に運営にクレームだろ

 ひまり:それもそう。リアリティ的にはどうなのかと思わなくもないけど。

 北斗:半分透けてモンスターから見えなくなる時点で今更だな!

 ミュー:ここはリアリティより利便性でしょ!

 アン:ですよねえ。じゃあ出発ですね!

 ひまり:はーい!


 リアリティより利便性の優先自体は私も理解はしてるよ!

 そして実際こういうクエならその方が現状ではいいだろうってこともね!


 何せ失敗した時の時間ロスが大きすぎる。

 エリア跨ぎレベルの大掛かりな時間消費のあるものに、変な失敗要素は入れない方がいいというのには私も賛成だよ!


 高難易度は製品版でレベルがもっと解放されてからでいいんじゃないですかね!



 黄金桜エリアに入ったら、時々レベリングしている人たちを見かけるようになった。

 ドングリの森にはパーティがそこそこ。七面鳥クエやってるっぽい人たちも見かけた。


 草原2の草原区域まで来ると、もう第二陣の人たちも大半が抜けていったあとらしく、ぽつぽつとソロの人が兎を追いかけまわしている、そんな感じね。


「あれっ?リーダーたち帰って来たんですか!あっホントに服に色付いてる!」

 そこに声を掛けてきたのは、リーダー達、って言い方から察するに、うちのクランの新人さんっぽいですね?


 皆でそちらを見たら、玉兄さんと同じ、白髪白うさ耳と白い瞳に黒肌の、すらりとした兎女子。

 それに黒髪黒うさ耳、黒い瞳に白肌の、気持ち小柄な兎男子。

 リツカちゃんと真守まかみさんですね!


「そう、ここにアイテムを運ぶクエがあったんで丁度いいから戻って来たんだ」

「ただいま戻りましたー!第二陣後半組の人はキャラと会うのははじめましてだね!」

「はい、リツカです、はじめましてです!宜しくお願いします!」

「はじめましてー、見た目で判ると思いますが真守ですー」


 そんな風に一般会話で挨拶していたら、銀色の竜の翼を背負って、銀色の尻尾、更に頭にすらりとしたこれまた銀色の角のある黒髪ストレートの美少女ちゃんがやってきた。


「あ、リーダーたちだ!改めてはじめましてー、ミステルです!」

 ああ、槍蛇そうじゃの子か。ここでレベリングしてたのかな?


「今日はここでレベリング?」

「いえ、お札の紙用の草むしりです!経費節減!」

「キリカさんに、作れるようになるまでにメッテ探しついでに少し貯めておくといいって教わりまして!」

「成程、備えあれば憂いなしねー!いいこと!」


 そんな風に喋っていたら、気が付いたら周囲はノの字ばかりになっていた。

 皆クランメンバーですね?


 いや、そうじゃない子も数人いるな。第二陣後半にも、ノの字は15人くらいいて、全員収まりきらなかったもんね。

 そういう子達は玉兄さんと私と北斗さんとキリカちゃんとで、分散してフレンド登録している。



 その子達とも挨拶したら、いよいよ黄金桜の町に帰還だ。

 まだ時間が早めなので、ノの字勢はみんな草むしりやレベリングに散っていったよ!


 玉兎:いやぁ、増えたもんだねえ、ノの字も。

 ひまり:作れる機会が少ないのが周知されたせいだから、製品版ではもう少し増えそうよね。

 北斗:問題があるとすれば、ジョブとしての発展性がなさそうなとこか。

 ミケ:転職不可はでかいよなあ

 ミュー:それなー。ジョブセレどころかジョブ表示がないのに気付いてキャンセルしてエルフにしたら何故か呪符作成士がデフォ職になったのは笑ったけど。

 アン:そういえばミューさんって『生産職』じゃなくて最初から『呪符作成士』なんですよね。


 どうやらパーソナライズ種族、具体的にはノの字を一度セレクトしてからキャンセルして特定の種族を選ぶと呪符作成士だけが選択可能になるというバグだったらしいんだよね。


 通常種族だと戦闘職、魔法職、生産職からセレクトして、そこから更に戦闘職と魔法職がそれぞれいくつかのジョブに分岐して初期ジョブを決定するんだそうだ。

 生産職だけは販売可能レシピをゲットして作成成功するか、希望の職能の職人さんへの弟子入りができるまで生産職表示のまま、らしいけど。


 ノの字?符術師しか選択できないからそもそもそんなセレクト出てきません。

 それどころかジョブ表示自体がキャラクリ画面にはなかったね!



 北に向かう最初の日に出てきた、北門の見覚えある門番さんに手を振りながら町に入る。

 門番さんも笑って手を振っているので、私たちはちゃんと覚えてもらっているらしい。


 門を潜った途端に、わあっ!と大歓声が響いた。なになになに?なにごと?


 玉兎:何この人数?!

 ミケ:プレイヤーかと思ったらこれNPCばっかりじゃね?

 ひまり:冒険者組合の人たちだよこれ!

 ミュー:え?なに?ポーション問題そんなに逼迫ひっぱくしてたの?!

 北斗:あ、そこらにプレイヤーもいるぞ。

 アン:まあ歓迎されてるのは確かですから気にしないで行きましょうか。


「白金樺から薬品運びをしてくださったパーティさんですね!お待ちしておりました!」

 いつもなら冒険者組合の受付にいるお姉さんの一人が、全員を代表するようにそう述べる。


「え、そんなに在庫逼迫してたんですか」

「錬金術師が随時作ってはいるんですけど、ちょっとそろそろ過重労働で」

「まさかのブラック労働?!」

「そうならないように手配を掛けていたんですよ!

 ただ、青山欅の状況がおかしいという話でそちらに白金樺の手が取られてしまってて、なかなか越境配送してくれる人が見つからなかったそうで」


 あー、第二陣が結構早めに送り込まれたし、彼らは我々第一陣の出した情報を得た状態でやってきたから、まず金策して初級系セットを買うとかの準備万端プレイをしている人が多い。

 そのために一般的な在庫だけでは完全に間に合わなくなりつつある、んだな。


 そりゃ白金樺側も緊急放出するかってなるわね!

 冒険者組合の支部同士での連絡とか何か手段があるんだろうなあ。

 我々みたいにクランチャット的なものがあったり?

 青山欅の様子がおかしい話も流れて来てるようだしね。


「それでは早速ですが組合支部の方で受領したいので、移動をお願いします!」

「はい、さっきチェックしたんで中身は大丈夫なはずです!」


 受付のお姉さんについて、組合支部まで速足で歩く。

 NPCの冒険者さん達も私たちの周囲を囲むように付いてくる。


「いやあ、ありがとうありがとう!システム上しょうがないんだが、値上がりが酷くて、そろそろ俺らの収入だと厳しい感じだったんだよ!」

「俺等が買えない金額だとヒヨッコたちだともっと買えないだろう?改善できそうで良かった」


 NPCの皆さんも我々を褒めたたえてくれますね!こそばゆい!


「ちょうどいいクエがあったから受けてきただけなんですよー。

 ここしばらくは紅玉椿の方でレベリングしてたんだけど、あそこDだと受けられるクエすらなくって!」

「あー、第二階位は厳しめだからなあ!第三はどこも共通仕様で緩めだが」

「あそこCでも碌な依頼ねえぞ!海が見たいなら白銀百合か、いっそ代々柑子目指す方がいい」

「依頼は今は白金樺でもいいが、多分暫く青山欅が増えるんじゃないかな。

 少し遠回りになるが、白金樺経由で行けばポンチョヒヒの多い地帯は回避できるし」


 こんな感じでNPCの冒険者さんは、話しかけるとちょこちょこ情報をくれるのだ。流石先輩!


「先輩がたありがとーございます!白銀百合はちょっと遠いんで、一回代々柑子行ってみます!狸も見たいし!」

「青山欅はなかなか大変そうですね?」

「ああ、君らには基本後詰め系か俺等が手の回らん依頼を受けて貰う感じになるから、ヒヒどもと直接対決はしなくていいと思うぜ、やりたいなら止めはしないがな!」

「あー、そうそう、あそこ狸とセリーテが名物だったなあ!

 こないだ君らが暫く一斉にいなくなってた時に、芋虫とイタチの変異体が溢れてえれぇことになってたけど、一掃しといたからもう落ち着いてるはず!」


 私だけじゃなく、玉兄さんも情報収集を始めたのでちょっと一般会話がカオス気味。

 後でログ見てチェックしよう。


 玉兎:VU(バージョンアップ)の時の代々柑子のトラブルってそんなのだったのか。

 ひまり:あー、GMさんが言ってたあれか!

 アン:……はらぺこ系芋虫の大行進……ちょっと嫌かも……

 ミュー:我々都会人なんでそういうのはちょっと^^

 北斗:刺さなきゃ無害。

 ミケ:はらぺこ系なら針はないだろ

 ひまり:つまり問題ないね?


 実際には芋虫大発生で畑も草原も食べつくされてセリーテがご飯なくて隣エリアに逃げ出したり、イタチの変異体のオオイタチが大発生してセリーテや芋虫を食べて更に増えたりしてたらしい。なにそのカオス。


 北斗:それにしても青山欅、詳細がなかなか流れてこないがどうなってるんだ。

 玉兎:ワールドクエスト相当のポンチョヒヒ変異体の襲撃があったらしい。

 ひまり:ひえぇ……つまり我々が間に合ってなかった?

 ミケ:実装済みの分が暴発したとかでは?


(仕様通りじゃな。青山欅は失敗例として提示されるエリアのひとつじゃから)

 そして朔夜の情報は、割と、酷い。


(知り合いが死ぬのは嫌じゃろう?だから最初に目指されなかったうちの一か所で異変が起きることになっていたのだよ)

 白金樺を目指さない奴はいないだろう、という事でそういう流れになっていたらしい。


 話している間に冒険者組合には到着して、クエスト報酬もエクセレントで結構がっつり貰ってしまった。

 でもCランク昇格クエストにはあと一歩、足りないらしい。先は長いな?


 増加:

 SP+4。

 ボロボロになる本命は黄玉橘だったんだけどイノがやらかしましたので……

 なおいちばん阿鼻叫喚になるのは翡翠山茶で敗北イベ発生した時、でした。

 あとミューちゃんのバグはもう一つ必要要素がある。

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