第59話 ランクアップに足りないもの?
レベル上げ終わったら次はランク上げ。戦闘職これと金策しかすることががが。
久しぶりに死に戻った白金樺の町は、明るい佇まいだ。
死に戻りを見慣れてなさそうなNPCの皆さんがちょっとびっくり顔になるのを横目に、噴水広場から冒険者組合へすったか走る。
ミケ:俺だけじゃなく皆死ににくくなったなあ
玉兎:種族適応下げないと回避しちまうんだよ。
ひまり:そこ忘れてたよねー。
そう、今回最後まで生き残ったのは、なんとひまりちゃんだ。
種族適応マックスにしてたら回避しまくり過ぎた……!
あっそうだ適応レベル戻さなきゃ。
適応マックスでの動きにもう慣れてるから、下げっぱなしはなんていうかパフォーマンスが下がる感じがするのよね。
(今回は早めに戻れた……丸呑みは即死なのだな……)
死に戻りだと高確率で置いてきぼりを食らう朔夜が、今回は新事実を発見していた。
ってそれプレイヤーにも適用ですかね?ですよね?
なお朔夜の現在のリスポン地点はひまりちゃんの服の懐です。
……そこ、塒なんですか???
ひまり:丸呑みされると即死だって。
玉兎:モフ情報?毛玉、呑まれたの?
ひまり:うん。多分プレイヤーでも?
ミュー:プレイヤーサイズを丸呑みする生き物とかやだなあ!
ミケ:大蛇辺りだと俺でも怪しくなるな
北斗:まず石像を飲み込めるのかどうかからじゃねえか?
ミケ:【ポージング】で姿勢固定したら抵抗できそうだなあ
なんすかそのスキル?と思ったら石人の固有スキルだそうだ。
そういや神殿で飾られてた時は、それらしいポーズ取って寝てたもんね……
なお飾られるクエは壊れてた石像の修復が終わって無事完了したそうだよ!
運よく1回だけ飾られているトコは観に行けた。
ベルさん共々、ちょー真面目顔でポーズを取ってるのに、ステータスは睡眠になってたから、ちょっと笑っちゃったのは秘密だよ!
そうそう、寝ている=ログアウトなのに石像姿が見えてるのは、神殿側でなんか細工してるって話もその時聞きましたね。
神殿、いろいろ特殊機能持ってそうだからこまめにお布施した方がいいかもしれないな。
「お久しぶりです、納品ですか……まあ、こんなにたくさん!」
組合で早速納品を開始したら、受付嬢さんが満面の笑顔になった。
「肉は相変わらずあんまりないんだけどねー、結構食べちゃったし」
「無補給連戦してたんで、消え物はなかなか」
「いえいえ、毛皮だけでも本当に有難いです!」
うん、全員で出したら、提出した品目全部、当日の納品上限いきましたね。
ミュー:あとはー……ランク上がったら1ログイン全部使ってお札の増産しないとだなあ。
玉兎:確かに……使いどころを忘れていた闇護符以外かなり厳しいな。
そう、ミューちゃんが作り貯めていたお札、ほぼ使い切ってしまったのだ!
今あるのは各人がセットしてる分だけだし、それも半分切ったのが多い状態だよ!
ただ、私は光護符は北斗さんにお任せだったんで、それだけたくさん持っている。
ひまり:あ、そうだ。私光護符全然使ってないから北斗さんに半分あげる。
北斗:お、助かる!そろそろ底が見えそうなんだ。
玉兎:北斗の護符適性は後付けだが、闇は使えるか?練習で作り過ぎた上に蛟蛇戦以外で使わなかったから、そこそこ余ってる。
北斗:行ける、そっちもちょっと分けて。
そんな感じでお札を一旦融通したりも。
光護符を半分手元に残したのは、自分でもソロの時には使う可能性があるからだ。
ソロるかどうかは現状だとちょっと謎だけどね。
なおクランの女子勢の治癒符は、今はキリカちゃんが頑張って作ってくれているらしい。
ランク上げ終わったらそっちも手伝わないとだね!
さて、納品が終わったらランクチェックだ。
「稲見さんのCランク要件のチェックですね……
レベルは申し分なし、納品も今日の分でクリアしましたね!
後はクエストを幾らかこなしていただければ試験を受けられますよ!」
これは全員がほぼ同じ評価になった。
まあだいたい一緒に行動してたからね、こんなもんでしょう。
ほぼ、だったのはアンファルとミケさんがクエスト数が我々より少し少なかったっぽい。
クエストを幾らか、ではなくクエストをそこそこ頑張って、と言われたらしい。
アンファルは居なかった日があったせいだけど、ミケさん?
ミケ:あー、好感度が上がる効果があるクエだと、貢献度が低めなんだなコレ
アン:そんな罠もあるのですか。
玉兎:多めにこなしておけってことだね。
残念ながら、白金樺での街中のクエストは、新たなFランクの子供たちが受け始めたということで、今回は受けられるものはなしだ。
納品で結構時間を使ったし、身内関係やクラン関係で使わない、納品上限を超えた分の素材はオークションに出して、まずは短期ログアウト、ですかね。
リアル側でトイレやあれこれ済ませてから再びログインだ。
ミュー:納品系クエは……集める方やってる間に納品制限切れるかなあ?
玉兎:むしろ納品がMAXの状態で納品クエは貢献度的に余り美味しくないのでは?
という訳で、改めて組合でクエスト一覧をチェックする。
常設クエストはステータス画面かオプションから開けば見られるけど、単発クエストだと掲示板にしかないのがあるんだよね。
ひまり:あ、これどうだろう。薬の運搬。行き先が黄金桜だからちょうど良くない?
玉兎:むしろそれをオファー可能なのが不思議だな?
ミュー:人間相手の護衛じゃないからじゃない?
「お姉さんおねえさん、この薬運びって?」
「ああ、ポーションや応急セットの売れ行きが黄金桜で激増しているので、うちの余剰在庫を出すことになったんですよ。
緊急輸送扱いなので、Dランクの方でも騎乗仮免さえあればオファー可能ですよ!」
冒険者が持ち歩く前提の品ですので、少々雑に運んでも大丈夫ですからね、というのでこれをオファーだ。
丁度よく黄金桜に帰れるしね!
ミケ:正直買ってるのが我々だと思うとマッチポンプ感が否めない
玉兎:我々が経済を回しているといえば聞こえがいいかな?
ひまり:聞こえというより事実だとおもいます!
ミュー:ですよねー!
アン:短期ログアウトで外出制限も終わっていますし、オファーして出ましょうか。
北斗:仮免必須ってことは、途中まで騎獣レンタルでいいんだよな?
問題なかろう、とオファーしたら、騎獣レンタルチケットが前払い報酬で貰えたよ!
というわけで、早速騎獣さんを借りて出発だ。
今回は荷物が多いので北斗さん以外全員大蜥蜴だ。
ただ、北斗さんはどうやっても大蜥蜴さんに逃げられるので、渋々走竜を借りていた。
北斗:種族適応そんなに強くしてなくてもだめなんだよなあ、その小心者。
ミケ:その分温厚なんだよ
玉兎:その走竜、さっきからこっち見てヨダレ垂らしそうになってないか?
ひまり:言われてみればなんかすごくこまめに後ろ見るねその子。
足の速度が違うので、走竜の北斗さんが先頭で、後の皆が荷物を背負って大蜥蜴、なんだけど……
ホントに走竜さんがずーっとチラチラ玉兄さんを見続けててですね!
本能!仕事中は仕事しないで!
白金樺のエリア境界までは、ゆっくり目の大蜥蜴さんの足でも、結構早い時間に到着だ。
仮免だと騎乗したままエリア境界は越えられないので、騎獣の皆さんとはこれでお別れ。
ドドドドド、と帰っていく大蜥蜴さん5体と走竜さんだったけど、走竜さんはまだ玉兄さんをチラ見していた。しつこいなあ!
ミケ:ここからは歩きか
アン:走ってみますか?
ミュー:アンちゃん置いてきぼりにならない?大丈夫?
玉兎:オオヤマネコは黄金桜側だと最大レベルが25のようだから、襲われはしないだろうが……
北斗:俺も足はそこまで早くないんだぜ!
ひまり:歩きだけだと、へんてこな場所でログアウトになりそうな距離だから、ところどころ走ろうか。
そんな感じで、歩いたり走ったりしながらの帰還だ。
Lv30になったから、黄金桜エリア内で絡んでくるアクティブはもういないからね!
それに我々自身もちょっと足が全体的に早くなってるっぽいんだよねえ。
個人差に関しては相変わらずなんだけど。
と思ってたら、またもやミケさんがウォーボアの尻尾を踏んづけて怒らせた。
格上にも怒ると向かって来るんですね、この子。
なおお札一斉射でさっくりキラキラになって、お肉と毛皮と牙をくれました。
玉兎:うーん、凄く半端な場所で短期ログアウトが必要だなこれ。
北斗:まあ長期じゃないから簡易で大丈夫だろ。
ひまり:そうだねー、簡易セット置ける場所があればよさそう。
アン:それでしたら例の遺跡の残骸が残っている辺りがよさそうな気がしますね。
ミュー:でもあれ自体にはモンスター忌避効果なさそうだよねえ。
ミケ:ノンアクには関係ないとかそういう奴な気がするなあ
そういえばそう、あの白い遺構のある辺りには、アクティブモンスがそもそもいない。
羽根兎は全然気にしてない様子で遺構の傍にもいたりするけど。
実際にいちばん端っこの遺構に辿り着いたら、周辺にいるのは兎だけ、だった。
つまり、刺す虫系も回避してる?いやこの時間はムカデはいないんだっけ?
よく判らないけど、一旦短期ログアウトすることにして、隠蔽セットを設置する。
うん、今2回目の警告が鳴ったところです!
次のログインで久しぶりの黄金桜だよ!
第二陣でどのくらい顔ぶれが変わってるのかな?
普通なら装備の為の金策の方が優先なんだろうけど、この人たち過半数が装備更新自体がないからね……




