第55話 紅玉椿の町に入るまで。
という訳でまずは町。
紅玉椿の町が、思いのほか遠い。
いくらレベリングの為にモブ狩りしながらとはいえ、2回ログアウトを挟んでまだ着かないとは思わなかった。
レベル、ログイン直後に29になったから、ひょっとするとこのログインでカンストするかも?
玉兎:まさかまだ到着しないのは想定外。
ひまり:竹林の町はめっちゃ近かったらしいけど、翡翠と玉椿は逆に遠いってことかー!
北斗:そういやイノが黄玉橘は割と近場って言ってたなあ。
そんな話をしていたら、りんご~ん!とシステムメッセージの告知音が鳴り響く。
《東の町:青山欅に到着したプレイヤーが現れました。これにより、黄金桜ー青山欅間の物資流通が徐々に改善されます》
ミケ:お、欅かぁ、意外と遅かったなあ
ミュー:ゴブさん村でトラップ踏んで怒られた人とかいたらしいけど。
北斗:ウォーボアが多いのと、それにも増して嫌なモブがいるらしい。
玉兎:嫌なモブ?
ひまり:範囲スタンより嫌なモブっているかなあ?
アン:うわぁ……これは嫌ですね……
なんだろう?と思ったらアンファルが思わぬことを言う。掲示板かな?
……うわあ、う○こ投げてくるサル……それは嫌だ……ッ!
ミケ:ヒト型に近いモンスターは居ないんだと思っていたが違うのか
北斗:ゴリラ的な奴がいたじゃん。
玉兎:鬼っぽくもあったがベースはゴリラだよね、ロックミンチャー。
ひまり:マントヒヒ……じゃないんだ……
アン:ポンチョヒヒですって。時々妙な捻りが入りますねここの運営。
ミュー:マント系装備とか落としたら笑うんだけど。
ひまり:そういえば装備品落とす敵っていないねー。
ファイトファンシーだと特定の強めの固有名詞持ちのモブ、通称ネームドが装備品落としたりしたんだよね。
強くなくても装備落とす雑魚もいたけど……
この5D!の場合、現状でモブが落とすのは素材だけだ。
ベータなんだからそこら辺もうちょっとヌルくてもいいんじゃない?
(装備品を直接落とすものは現状ではおらんなあ)
まさかの:非実装。
(生活感のある世界としてのリアリティを優先、だそうじゃ)
……確かにそう言われれば、なんか納得はいくんだけども。
そもそも装備品って現状用意されてるものが少ないよね。
我々ノの字なんて着替えもままならないし。
そう、今の装備、脱げないんだ。
全年齢だからだと思ってたんだけど、装備変更自体ができなかったよね!
なおこの制限があるのはノの字と大聖だけらしい。
いや、聖なる絡繰の観音さんも着替えは項目自体がないと言ってたけど、着衣像タイプである石人2号のベルさん共々、生身じゃない装甲一体型、と考えれば、着替えが必要ないといえばないんだよね、あの人……
もっとも、着替えができる人たちの装備品も現状は実用品一択だ。
正直、おしゃれ装備的なものが予想以上にない。
私はファッション系ってもともと疎いし、ひまりちゃんの今の装備も嫌いじゃないんだけども、流石にそろそろ不満が上がってくる頃合いじゃなかろうか?
ミュー:装備品なー。職人勢がやっと弟子入り成功しだした辺りだからなー。
ミケ:服飾系と鎧職人はかなり手こずってるよな
玉兎:鍛冶もかなり苦戦しているようだが……ミケは金工か。
ミケ:順調っちゃ順調だが、確かにクエストが手詰まりになってきた感はあるな
北斗:ミケですらかぁ。
アン:調理も結局屋台のクエストは途中で止まっちゃいましたしね。
成程、職人勢が行き詰まりぎみ?
ひまり:もしかして:ベータ版そこまで作りこんでない?
アン:屋台はそうらしいですね。
ミケ:金工に関しては他の技術も必要なものはあるからそこそこでいいんで磨け、らしいからな
北斗:ってことはベルさんの方向性が正解なのか?
ミュー:ベルさんも生産職だっけ、って石人自体がそうか。
玉兎:初級の全生産技能をカンスト目指すって言ってたからなあ。
ミケ:確かに初級技能は全部取れるから、取っちまうのはアリなんだよなあ
ひまり:そういえば前に初級は全部取れて中級は3つ取れて上級はひとつ、って聞いたかも?
ミケ:そうそう、俺も初級は最初の技能だけは全部取れてる、鍛錬がまだだが
生産職の仕様の話をしつつも、狩りと移動は続いている。
もう駆け足しながら絡んできた鷲だけ叩いてるようなありさまだ。
……嘘ですハクビシンは相変わらず見敵必殺の勢いで確保してます。お肉!
サンバーもそれなりに狩ってるよ!というかだんだん鷲の降ってくる回数が減ってきましたね。
そうしてタイムリミットというか、強制切断までに3回ある、最初のログアウト警告が流れた丁度その時だ。
照葉樹の疎林で何気に見通しが悪い、カーブした街道の向こう側に、白い壁が見えた。
ひまり:町だ!
玉兎:村をスルーしてしまってたのかこれ?
ミケ:時々曲がりくねってたとはいえ、街道まっすぐ来ただけだよなあ?
北斗:振り返った時に枝道が見える時はあったんだが、前方見てると見えないんだよ。
アン:ああ、田舎にたまにありますね、全分岐が同じ向きに流れてる道。
ミュー:あれって防衛上の意味があったりなかったりするやつ?
ひまり:それは場所によったと思うー。
玉兎:車で行くと面倒くさいんだよなあ、こういう道……
道への感想を述べつつ、ここからは全力疾走だ。
ええ、時間が!!もうない!!
今日最後のログインだから、ここで寝落ちると死に戻り扱いで白金樺に逆戻り!!
「うぉ?!とまれ止まれ!!許可のないものはって冒険者か君ら!」
余りに必死にダッシュしてたので、門番さんから止められるという事態に陥ったのはほんとに、なんていうか、ごめん。
「すいま、せん、ねかせて」
「眠気が限界」
「やっべアンちゃんが見えねえ」
ひまり:アンちゃんだいじょぶ?
アン:今ログは私がログイン最後だったから余裕はある、はず。
「えーっと……?ああ、君たち漂流者か。眠くなるアレだな?
……取り合えずこっちで休みなさい」
そして門番さんは布の庇のかかった、荷物置き場らしき場所を指定してくれたので、速攻でその場に隠蔽セットをばら撒いてログアウトだ。
最後の警告と同時だったので、まあギリセーフ、のはず。
翌日はちょっとだけ早めにログインだ。
恐る恐る目を開けたら、ログアウトした荷物置き場だった。セフセフ。
「おはようさん、漂流者さん、いや冒険者さん、だな。
無理やり突っ切ってくるような無謀系かと思ったら、隠蔽セットをちゃんと用意しているあたり、意外と慎重なんだな」
「軽い気持ちで紅玉椿を目指したら、思いのほか遠くって、目測を誤った感じです」
おもむろに門番さんに声を掛けられたので、簡単に状況を説明する。
「ああ、ここと翡翠は境界から遠いからねえ……代わりに海が近いよ!」
おお、海か!!
「海ですか!見てみたいです!」
「見るだけなら町の防壁の上から見られるぞ、入れればだが」
さて、ここで問題です。『入れれば』、とは?
まさか、第二階位の町、予測と違ってレベルかランクの制限がある!?
「入っちゃだめなのです?」
「防壁はまだ無理だろうねえ、君らランクがDだし、レベルもまだ30になってないだろう?」
「あ、防壁の話なんですね」
「うむ、来た時にはチェック抜きで入り込みそうだったんで止めたが、町には入っても大丈夫だよ。君ら、ここに来る商人の若いのよりはレベル高いしな!」
続く会話で、町には入れることが確定したけど、どうも話しぶりからすると、レベル制限は越えてただけで、ないわけじゃなさそうだなあ。
もぞもぞと他の皆も起きてきて、今日もパーティが結成される。
ミュー:おはよー、なんとか間に合いそうー。
北斗:おはよ、町入れそうなら入ってみる?あとにする?
玉兎:ホームポータルの有無くらいは確認するか。
ひまり:おはよ、町には入っていいってよ!防壁に上がるとか特定の場所にレベルとランク縛りだって!
ミケ:おっは。情報が早い
アン:真っ先にログインしたのはそのためですか。
いや別にそういう訳じゃないよ!偶然だよ!
確かにNPCと話すの割と好きだけど。
ひまり:でも門番さんの話だと、レベル制限はありそう。我々が大丈夫だから25かな?
北斗:あー、イノも赤金到達時には25だったから、ありそう。
玉兎:入るのにランクが関係ないのは奴が証明済みだしな。
ミケ:まあランク無関係じゃないと商人が困るわなあ
ひまり:でも商人さんもレベル上げ自体はするみたいなんだよね。
ミュー:あんだけアクティブが降ってくる世界ならしないと旅自体無理だと思う!
確かにそうだ、と納得して、隠蔽陣を片付けたら、全員で門番さんに挨拶して中に入ることにする。
「おう、ドワーフの嬢ちゃん昨日は大変だったなあ」
あら、アンが特に声を掛けられてるけどなんかあったの?
「お恥ずかしながら……御手数をおかけしました」
「あのくらいなら気にしなさんな」
詳細は教えてくれなかったけど、なんだろね?
*****プレイリザルト*****
プレイヤー:稲見ひまり Lv28→29
種族:狐ノ命
体力 90→94
魔力 290→300
SP 148→153
力 17→18
耐久 17→18
敏捷 62→64
器用 33→34
知性 62→64
知識 43
信仰 -
運 -
呪符魔法 Lv26→Lv27
攻撃符:炎水雷土風光(枚数略)
中級攻撃符:炎水雷土風光(枚数略)
護身符:光x99
治癒符:光x45
一般魔法 Lv4
技能
【解体】Lv1
【初等呪符作成】
スキル
【観察】Lv10(Max)
【モンスター鑑定】Lv11
【植物鑑定】Lv10
【一念】Lv6
【動物鑑定】Lv7
称号
[漂流者]
[使い魔を労わるもの☆]
[聖魔のあわいを征くもの☆]※秘匿
[Dランク冒険者]
[大福を狩るモノ]
[福引マスター]
[ゴブリンの友☆]
[一人前]
[いっちょまえ]
[騎乗仮免]
[村の助言者]
[コボルトの友☆]
[白金樺到達者☆]
入るぞー、なので称号は次回、猿の話の掲示板回は次々回回し。
アンファルは門番さんの目の前で強制ログアウトのふらつきが出て門番さん二人に仲間のとこに運ばれました。




