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第5話 始まりの町と冒険者組合!

 ひまりちゃんをてってけ走らせて、町に向かう。


 案の定、壁に囲まれた町の門に到着した時にはすっかり夕方になっていた。

 門番さんが立っているので、まずは挨拶だろう……ってコントロールが持ってかれたな?


『チュートリアル3を開始します』


「こんにちは!初めて来たんですが入れますか!」

「おう?……ああ、漂流者さんか、今日は多いなあ!ようこそ、『黄金桜こがねざくら』の町へ!

 お金は持ってないだろうから、この札を貸すから、町の真ん中の噴水の東にある冒険者組合に行ってきな。

 登録しちまえば出入りは自由になるんで、札だけ……そうだな、夜は閉門するから明日の朝、返しにおいで」

 私の想定通りにひまりちゃんは元気に挨拶をしてくれた。

 そして門番さんは、門の横にある詰所の窓から別の係員さんに渡された、紐の付いた小さな木札を渡してくれる。


 木札の表面には、桜の花を図案化したもの、裏面には2枚重ねた小判の柄がそれぞれ焼き印でされている。

 成程、小判と桜で黄金桜。始まりの町って名前じゃなかったんだね!


「ありがとうございます!漂流者って?」

「君のように、称号の最初にまんま[漂流者]って出てくるひとたちさ。

 この世界にどこかから流れ着いて来た異界の民って奴だ。

 俺が称号を見る技能を持ってるのも、そういう御先祖がいたかららしいんだ。

 おかげで神殿は無理でも、門番の職を得られたからありがたいことだね!」

 門番さんの解説を聞く限り、漂流者たちはこの世界の民にとってはいいもの、っぽいな?


「ほえー、すごいんだ。ありがとうございます。冒険者組合、行ってみますね!」

「おう、あっちは終夜営業だから何時行っても大丈夫だが、宿が埋まってるかもだから気を付けてな!」

 門番さんはどこまでも親切だ。

 再びありがとうございます!と返事をして、ひまりちゃんはてってけと走り出す。


 この町はど真ん中に広場と噴水があって、その広場の周囲に各種施設やお店がある、そんな構造らしい。


 うん、入っていくときにちらっと町の構造を描いた看板が出てたから、私はそれを一応見ておく。

 録画してるから後で確認できるのよ。


「えーっと、東……夕方のお日様の反対側、こっちね!」

 さっくりとひまりちゃんは正解の方向を選び、でっかい二階建ての、間口の広い建物の前に辿り着く。


 おお、建物横の囲いに馬やらラプトルやらでっかい蜥蜴やらが繋いであるぞ!騎乗システムもありそう!


『申し訳ありません、ベータ版では現在未実装です。来月のバージョンアップで実装予定です』

 あるんだ!どうせすぐには無理だろうから、来月でも全然大丈夫!


「こんにちは!冒険者組合はここであってますか!」

「いらっしゃいませ!こちら冒険者組合で間違いございませんよ!

 木札をお持ちですから登録の方ですね、こちらの窓口で受け付け致します」

 ここでもひまりちゃんは礼儀正しく元気よくあいさつしてスタートだ。

 そして、受付のお姉さんの営業用スマイルが本気の笑顔にふわっと変わる。


 そうだろうそうだろう、ひまりちゃんはかわいいからな!

 それにしても、チュートリアル、思ったよりプレイヤーの動かすところが少ないな?


『チュートリアルで住民の信用度を下げるプレイはして欲しくないんですよ……』

 あーあーあー、ヤンチャ防止!そういうプレイするひねくれものもいるよなあ、多分。


「冒険者登録はこの町では無料です。文字の読み書きはできますか?名前と種族と年齢を書いてくださいね。

 ……あら、動物をお連れですね。従魔でしたらこちらにも登録が必要ですが、従魔登録には最初に白銅貨1枚、つまり100エンが必要になります」

 おおっと!いきなり試練が来た!ポケットのお金はコンソールから見られるけど、きっかり100エンだ!


 つまり、従魔登録するといきなり文無し!


「ひゃくえんですね……はい」

 しかしひまりちゃんは、迷うことなくお金を渡す。


「はい、では従魔さんのお名前もこちらに。種族は判っていたら、で構いません」

(我は……ええと、現状では黒獣、としかなっておらんな)

 ちょっと考えたひまりちゃんに、朔夜が自分の種族を教えてくれる。


「まあ、黒獣ですか!いろんな種族に進化できる種族ですから、今後が楽しみですね!

 では改めて、ようこそ冒険者組合へ!わたくしたちは希望の新人を歓迎いたします!」

 窓口のお姉さんはそう述べると、基本の規約を教えてくれる。

 この規約は一回聞いておくと、自動でリーフレットの形になってだいじなものという欄に格納されて、いつでも参照できるようになるんだって。


 冒険者組合はランク制で、漂流者は初めはみんなEからのスタートだ。

 そこからD→C→B→Aと上がっていって、AA、トップはAAAだって。

 この町にはCまでしかいないそうだし、AAAは世界で3人しかいないそうだけど。


 地元民には未成年限定のFランクもあって、これはご町内のちょっとした清掃や、迷子のペット探しとか、草むしりっていう簡単なおつかいクエストが中心だ。


 冒険者はクエストをこなしてランクを上げていく。ついでに町に関わるクエストをこなすと名声というものも上がるらしいけどベータでは割愛だそうだ。


「獲物の買い取りはしてますか?」

「はい、あちらの窓口で受け付けていますよ」

 文無しでは宿にも泊まれないので、ひまりちゃんは早速チュートリアルバトルで確保した兎肉なんかを売るつもりらしい。


「ですが、今は漂流者さんがたくさんおいでですから、少々荷受け口が込み合っていますし、引き取り歩合が最低まで落ちていると思います。

 今でしたら、直接商店や、料理人や加工職を目指す漂流者さん達に売るほうが実入りがいい可能性が高いですよ!」

 そして窓口のお姉さんからは、冒険者組合の買い取り窓口は需要によって価格が変動するシステムであることが明かされた。


 成程、つまりバザーやんないとだめか!


「初心者の方は、最初の3回だけ、競売所オークションハウスへの出品登録が無料になります。通常は出品希望額の1割を手数料として最初にお支払いいただきます。

 但し出品後一週間取引がないものは返却処理されます。返却処理自体に費用はかかりませんが、手数料の返却はされませんのでご注意ください」

 ほうほう、そういう手段もあるのか、でも今持ってるの確か肉が8個と毛皮が6個だから、多分中途半端よね?


「肉やウサギの毛皮のような小物は、10個、または50個のスタックでの取り扱いもありますから、数が半端なときや需要の低いものは自主バザーのほうがお得ですね。

 バザーにも出品額の1割の手数料がかかりますが、これは落札価格からの天引きですので所持金不足でも出品は可能です」

 あーやっぱりそうか。でもバザーって多分ログインしてないと無理よねえ?


『ベータ版ではこの3つに売買方式を絞っています。正式版では店舗や市場機能も検討中です』

 なるほど、お店や店番付きの自由市場マルシェで売ることも正式版では可能。


「漂流者さん同士であれば、直接トレードという手法もあるそうですよ。

 私も今日他の漂流者さんに聞いたばかりなので、詳細は組合ではまだ把握しておりませんけど」

 成程わかった!トレードは自己責任だな!


(其方飲み込みが早いのう……)

 従魔用の、名前の入った銀色のタグを首にかけて貰った朔夜が呆れ声だ。


 MMOをやるのは3つめだし、ここら辺のシステムは先達のゲームとそこまで大きく違わないのよ。

 このジャンル自体が、普通のシングルプレイゲームによくある機能を拡張しながら発展している、そんな感じだからかしらね。


『VRという大博打ですから、対人や金銭周りのシステムは初期段階ではあまりややこしいものを入れたくないのです。体感してほしいのはそこではないので』

 なるほどなるほど?商売ゲームじゃなくてマルチなロールプレイングだもんね!


 でも製品版になったら商人プレイする人とか普通にありそう。

 私は多分目指さないけどね!


「ありがとうございます!まずバザー周りを確認してから色々決めますね!」

 そうひまりちゃんが宣言して、町チュートリアルも無事終了だ。


『チュートリアル3を終了します。始まりの町チュートリアルには評価認定はありません。

 称号[Eランク冒険者]とスキルポイント5を得ます』

 なるほど、さっきの解説からも予想してたけど、この町でのチュートリアルは、ほぼ全員固定内容なのね?


 じゃあ次は……バザーを見ながら花枝さん……アンファルを探す感じね?


*****プレイリザルト*****

SP 9→14

称号追加[Eランク冒険者]

好感度はマイナスにもなりうる(クローズドベータでいきなり町を追い出されるプレイした奴がいた)ので、オープンベータの町チュートリは種族別とはいえ固定内容になったという。

リザルトはレベルアップ以外だと増えたものだけ記載。


そう、名声は未実装だが好感度は実装されている(


通貨単位……(最初ひらがなにしてたけど視認性悪すぎたのでカタカナにした

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