第2話 キャラメイクと種族指定。
技術事情が荒唐無稽?そうだね^^
「あれ?種族は自由に選べるわけじゃないんだ?」
翌朝十時、うっきうきでログインサーバに接続可能、の緑ランプを確認し、ヘッドセットを装着してキャラクリエイト画面を早速開いたのだけど。
既にかわいい狐耳狐尾の白っぽい少女がキャラクリ画面に鎮座ましましておりましてね?
ああ、入力データに基づくパーソナライズでサーバ側が判定した推奨種族、か。
破棄してイチから作ることもできます、かぁ。
……いやでもこの子かわいいな?
くりっくりのおめめにつんとしたお鼻、愛らしい唇。狐の耳と尻尾はやや色の薄い感じだから、きっと光にあたれば黄金色に輝くタイプ。
前髪ぱっつんストレートヘアのバランスも非常によき!
服装は灰色のくたびれた感じのある狩衣風和ロリって奴だけど、これも初期装備だと考えれば悪くはない。袴っぽいのは膝下で括っていて、脛が半分見えている。
……自力でキャラクリしてこのレベルの美少女、作れる気がしないな?
あ、正式版だとセカンドキャラ作れるんだ。
じゃあ少なくともベータの間はこの子でいいな!!
色だけもう少し薄くしよう。銀髪ぎんぱつ!目の色もオレンジに。
キャラネームは……これも十五文字使えるのか。
あれ?日本語のみ?海外対応させる気ないのか。
えーっと、狐ちゃんだからなあ、お稲荷さん……イナリ、イナメ、ちょっとイメージ合わないな。どうせ日本語なら、もうちょっと現代的な名前がいい。
いやこれ姓名両方設定するんでいいな、読み仮名も付けられるし。
……稲見ひまわり……語呂悪いな、ひまり、かな?よし、こんな感じでいいかな。
ひまりちゃん、今日からの私の分身、よろしくね!
この段階で、キャラクター名と種族を書いたカード画像を生成することができて、これは外部メールで知り合いに送ったりもできる。
キャラのスクショも付けて、護衛兼お手伝いさんのうちの一人、花枝さんに送る。
これどうせなら写真入り名刺みたいにできたらいいのに。
接続している間に要望出しておこうっと。
今回は護衛の三人も申し込んだんだけど、当たったのは私と彼女だけだったのよね。
そう、ゲームでも護衛付き姫プレイだ!わはは!
狐の姫様、うん、いいよね。
ステータス表示もしたけど体力魔力が10台でステ一桁スタートだから種族差は最終的には誤差レベルになるかなあ?
ジョブ選択とか聞かれなかったから、そういう概念はないっぽいかな?
お、3ポイントだけ一部のステに振れるんだ。知力と敏捷かなあ。
早速ログインしようかと思ったら、プレイサーバのオープンは十三時からだった。
成程、じっくりキャラクリしたい人にもスタートダッシュの権利はある、か。
私みたいに推奨キャラがツボるとは限らないものね。
性別も変えられるみたいだから、その辺の調整で時間かかる人も……現に家にいるし。
いや、彼女は今回はハズレたから、推測だけどね。
花枝さんからのメールが戻ってくる。
おお!女ドワーフだ!!渋いとこくるなあ!名前はアンファル・アンフル。
この世界の女ドワーフには髭がある、把握。お髭、三つ編みにしてリボンで結んでるの、案外可愛いな。
よし、お昼ごはん食べて準備しよう!
って今日の食事当番、花枝さんだから、準備できてるかな?
全く問題ございませんでした!
「今日はログイン初日ということで、お昼は少し軽めに調整しましたよ」
時間も12時で、いつもより早いですしね、と花枝さん。
そうね、朝ごはんはいつも通り7時半に食べたけど、普段ならお昼は13時過ぎだもんね。
卓上に並ぶのは、推定三人前の、たくさんのサンドイッチ。
フィリングはぷるんぷるんの炒り卵と薄切りボンレスハムとこれも薄切りになったキュウリのピクルスの組み合わせ、分厚いベーコンとパセリ入りマヨタマとしゃっきりレタス、卵フィリングオンリー、見るからにふわふわの厚焼き卵、半熟卵にこちらは生のキュウリとトマト。
それとは別にワカメとタマネギ入りのかきたま汁と控えめな分量の唐揚げ、こんがり焼き目のついたソーセージが二本ずつ添えられている。
「美味しそうだけど、やけに卵多めですね?」
「すみませんわたしがリクエストしました。昨日からどうも卵の口でして」
正直に感想を述べたら、もうひとりの護衛、藤垣内さんが小さく手を挙げた。
「わざわざ卵を買ってきてまで依頼されましたので、流石に応えないとダメかな、と」
「花枝さんの卵フィリング、絶品だからしょうがないわ!早速ですがいただきます!」
花枝さんの説明に納得して、まずは私も大好物、卵フィリングから!
これにも推定パセリ……違うな、刻んだセルフィーユが隠し味程度に入ってる。
黒胡椒もバッチリ効いてて、絶妙!
花枝さんは三人のうちで一番料理が上手い。私も時々習うけど、あの領域には永久に届く気がしない。
教え方も上手いから、私も煮物は作れるようになった。
流石に一生ずっと、この護衛の面々と居られる訳じゃないだろうし、自分の口に合う物を自分で作れるのは将来的には大事よ、きっと。
「小夜子が不在なのがちょっとかわいそうになってきました」
「ああ、おやつ版を作ってしまってありますから」
小さく切ってピックに挿したピンチョス風のサンドイッチもあって、それが今日は朝から派遣元である政府機関での所用で不在の魚売さん用、ということらしい。
私専属の三人の護衛は、常時二人は家にいる。
休みは交代で取るのだけど、家の簡易ジムを日課通りの時間だけ使って、あとはそのままこのリビング辺りでダラダラしている事が意外と多い。
魚売小夜子さんは黒髪ベリーショートのスレンダー長身美女。
花枝明日香さんは茶髪のゆるふわセミロングヘアのいかにも温厚そうでカワイイ人。
藤垣内沙苗さんは、いかにも染めました!って金髪を何故か女学生風の三つ編みお下げにした、外見はギャル。
なお、この三人に囲まれる私は、茶髪に薄茶の目でなんか色素が薄い系だけど、割と普通の顔だ。
少なくともこの三人に囲まれてる時点で、いちばん普通になる。
三人とも、同い年の同期らしい。藤垣内さんがとてもじゃないけどそうは見えない……
ただ、言葉遣いは皆丁寧だ。見た目がギャルな藤垣内さんも例外ではない。
まあ私と一緒にいる時点でお仕事中みたいなもんだしね、しょうがない。
私も思考はともかく、喋るほうは原則として丁寧語一択生活だし。
「それにしてもベータ版、参加したかったなあ」
自分も応募してダメだった藤垣内さんがぼやく。三人のうちで一番言葉遣いが怪しいのが藤垣内さんだ。
ただそれは自分の感情を載せたいときだけなので、厳しい花枝さんにも見過ごされている。
「製品版も最初は抽選だそうですから、応募を頑張ってくださいね」
そして自分は当たった花枝さんが地味にシビアだ。
まあレンタル品で譲渡とか禁止なうえに、最初の申し込み時の住所氏名データ、どうもきっちり裏を取ってる、って三人が口を揃えて言っていたし。
彼女たちの派遣元で、実験的に住所は本物、人名だけ一部改変した応募をしたら不正扱いで受け付け不可だったらしいのよ。
もちろん、ゲームの入手までの話をしつつ、サンドイッチもしっかり食べるよ!
ベーコンのやつもボリューミーで美味しいけど、これはバゲットサンドのほうが合いそうだなあ。
「本当はバゲットサンドも作りたかったんですけど、何故か昨夜まであったはずの買い置きが消えてまして」
「あ、それ小夜子が朝出る前に一本丸かじりしてた」
魚売さん???
いやあの人そういうとこあったわ。この家でいちばんの美女なのに絶妙に残念系。
というかバゲットだけ一本丸かじりって普通に苦行な気がするんだけど、気のせいかな?
「バゲットだけで済ませてったんですか?」
花枝さんの眉が跳ね上がる。健康管理に良くないことには同僚にも容赦ないのが花枝さんだ。
「いや、冷蔵庫のスムージーがお供になってたし、最後はホットミルクで流し込んでた」
「……タンパク質が足りていませんけど、ギリギリOKとしましょうか……」
幸い、見物していた藤垣内さんのおかげで、おやつボッシュートはなしになったようですよ。
食べている間、キャラの話とかはしなかった。
しちゃうと藤垣内さんがもっと悔しがるだろうからね、しょうがないね。
美味しいから喋るより食べたい!ってなるのも確かだけども。
よし、腹ごしらえも済んだし、今日の日課の運動は後回しにして、ログイン待ちね!
*****プレイリザルト*****
プレイヤー:稲見ひまり Lv1
種族:狐ノ命
体力 12
魔力 18→20
SP 0
力 4
耐久 4
敏捷 6→8
器用 6
知性 8→9
知識 19
信仰 -
運 -
称号
[漂流者]
ベータ版なのでまだ音声ガイドが付いていない不具合。
藤垣内さんはふじがいと、です。ふじがきうちでもふじがいちでもありません。




