第18話 死に戻りと称号と福引。
「死に戻りしすぎると変な称号が付いて住民の好感度が下がる可能性があるそうですよ」
休憩ついでにまたトイレ、と思ったら、またもトイレ前で鉢合わせた花枝さんにそう告げられた。
「わあ。まあそうよね、リスポンって地元民から見たら不審現象だよね……」
私だってリアルで死に戻りできますとか聞いたら多分引くし!
「むしろ既に解明されているのが驚きですが」
「そうかなぁ?エルリさんとか率先してやってそうだけど」
掲示板の検証スレが一番爆速だからねえ……次点は今はワークエ感想かな、普段は雑談と質問が同程度に走ってるけど。
特殊種族スレ?通称ノの字族のジョブ不遇が知られてからは割と静かよ。
「称号システムも謎よね。チュートリで秘匿称号とか出たし」
「そうなんですか?私はそういうのは出ていませんねえ」
「特殊種族だからかもしれない……朔夜のチュートリ、狐ノ命限定っぽいって話だし。あ、でも北斗さんも似たようなイベントあったっぽいっけ、失敗したって言ってたね」
「うー、羨ましいぃ……」
トイレ前で話していたら、藤垣内さんから唸られた。ごめんて。
「あれどうも、同一住所には二人まで、って制限があったらしいんですよ」
そこで花枝さんが新情報だ。
「そんな話どこから?」
「これは外部掲示板です。VRベータ外れた奴集まれってスレッドがありまして」
なんでも、兄弟3人で申し込んだら最年長の一人だけ外れたんだそう。
で、他の外れた勢からも、同一住所だと年齢下から順番に二人だけ当たるシステムではないかという考察が出ていたそうな。
親子3人で申し込んだら一番年上の奥さんだけ外れた、とか逆に一番上の旦那さんだけ外れた、とか出てきたんですと。
「つまり……あれ?花枝さんが一番下なんですか?!」
ごめん完全に藤垣内さんが下だと思い込んでた!
「誕生月が違うだけで同年齢ですよ」
「誤差の範囲内デース」
二人からは学年は一緒だから、という簡単な説明が飛んできた。
いや私もそれは初対面の時に聞いてるから覚えているよ!誕生日まで知らないだけ!
「小夜子だけは留学したんで本当なら1学年上だけど、早生まれだから誕生年自体は同じね」
へー。
というかこの二人はそこまではしていないのか。
実質同居になるからって、引き合わせ前に履歴関連書類も多少見せて貰ってるけど、皆結構なエリートさんなのよな。
なお非番時の三人はこのマンションの別の部屋に寝に帰っている。
流石に部屋数の関係で三人ぶんの寝室、は無理だったのだ。主に簡易ジムのせいですね!
そんな話をしていたら休憩時間をちょっと超えたので慌ててログインだ。
ひまり:あれっまだパーティ組んでたっけ?
ミュー:おはー。目標レベル15だからねー!今日もがんばろーぜー!
アン:遅くなりました。
玉兎:ああ、大丈夫、ミケがまだだ。
北斗:あーメール来てた。電話入ったんでちょっと遅れるとさ!
どうやら北斗さんとミケさんはリアフレでもあるらしい?
そして前回のログアウトは荷物整理のせいで結構時間ギリギリだったから、眠気で詳細がすっ飛んでいた……
玉兎:じゃあミケ待ちついでに、ちょっと福引券の使い道調査するか。
ひまり:あれ?まだ使いみち決まってなかったの?
ミュー:引き換え場所というか福引やってるところが見当たらない、らしいのよね。
(うん?福引所は既に実装されておるはずだが……)
朔夜曰く、もう福引所はできている、らしい。
「おねーさんおねーさん、福引券貰ったんだけど、福引はどこでやってるの?」
ならば場所だけが判らん状態ってことだから、まず冒険者組合の受付さんに聞く!
「福引ですか?屋台が出てているのは商店街ですよ、あちらが主催ですからね。
福引補助券の福引券への引き換えは冒険者組合でもできますが、右端の特設窓口のみでのお取扱いになりますね」
受付さんの答えに、周囲にいたプレイヤーさん達がなんだと!と目の色を変えて指定された窓口にすっ飛んでいった。
ひまり:わあ?
ミュー:補助券組が持て余してたな?
玉兎:もうちょっと目立つ窓口にしとくべきでは?
北斗:それは受付に直接言ってやれw
そんなわけで、本券しか持ってない我々はさっさと商店街へ向かいます。
ひまり:そういえば職人街はアンと合流するのに行ったけど、商店街はまだだったなー。
玉兎:初期服無理に買い替えなくていい+ジョブ固定だと、初期の所持金だとほぼ用がないからな……
ミュー:そういわれてみれば、商店街、プレイヤー全然見ないなあ。そもそも初期の所持金で買える服は露店市場の古着屋の奴くらいで、お店のは無理だからかな。
アン:最初から生産系目指す人くらいですよね、いるのって。
北斗:俺はこの初期服は早めに替えたいがなあ。鱗が擦れる服あんまり着られないらしくて選択肢がねえが。
あー……北斗さんの初期服、革のショートパンツと上半身は革紐、脚はサンダルでこれも紐っぽい、みたいな感じだもんな……銀の鱗の派手さと長い尻尾に気を取られて、目立たないけど……
ひまり:物価が割と高く感じる。
玉兎:物資の流通が滞り気味だという設定だからだろうか。
アン:滞ってなくてもそこそこだそうですよ。輸送費の問題があるそうで。
ミュー:世知辛い……
北斗:むしろアンさんこのメンツだと金持ちな方では?
アン:NPCの皆さんからは材料持ち込み割引はしましたが、かなり頂きましたからねえ。
ひまり:胃袋掴むって強いね……
喋っている間に、さっくり商店街に到着だ。
これは噴水広場から、冒険者組合を見て左手、つまり北側に行けばすぐ商店街なので、歩いてれば普通に着く、のよね。
一番広場に近いお店は冒険者向けの、初歩の武器や防具も扱う総合雑貨店で、三階建てのでっかい建物だけど、そこから先の商店街は、街の住民の皆さんも使う普通のお店が並んでいる。
これが反対側、つまり冒険者組合の右手、南側の路地を入ると、露店の並ぶ、昼間だけ賑わう市場がある。
そっちも冒険者も住民も使える市場だけど、食品と消耗品しか取り扱いがない。
例外は吊るしの古着屋さんくらいね。
いや、所有者固定じゃない衣服は損耗が発生するから、古着も消耗品枠ってことか。
私の服は所有者固定なので、損耗はしない。
汚れはベータ版ではオミットされてるそうなんで、どんな服でも汚れたりはしないそうだけど。
玉兎:お、あれか。半端に目立つ屋台がいるぞ。
商店街の中ほどより奥にも、中央広場程じゃないけど小さな噴水のある広場があって、その片隅に、黄色く塗られた看板のある福引所の屋台が出ていた。
ひまり:屋台なんだ。
玉兎:福兎のポップ条件を前提にすると、ワークエの後の一定期間だけ出現するショップ、って事か。
北斗:つまり福兎のいる間しか出てない屋台だな?
質問スレで福兎の事を聞いたら、ワールドクエストの後にだけ出現するレアポップ兎だという回答があったそうで。
ミュー:ふむ……お店の解説読めた。ワールドクエスト遂行記念福引:ベータ版。期間が終わると次のワールドクエストの準備が始まってお店も福引券も消えます、だって。
玉兎:解説?どこにそんな?
ミュー:技能!【顧客判定】ってのでなぜか店の解説も読める!
玉兎:なるほど!検証スレに福引屋台の情報は流しても?
ミュー:もちろん!消えものだからね!情報流してあげないと!
ミューちゃんによれば、期間はワールドクエスト完了からリアル一週間だそうだ。
当然ゲーム内だとその3倍になるから、要するにワールドクエストの始まりの町攻防戦はゲーム内で月1回くらいの間隔だと思えばいいな?
ミュー:……なんか称号生えた……[商店街の解説係]ってどういうこと?
玉兎:商店の情報を一定数のプレイヤーに流すと貰える奴だな。エルリが第一号だ。
ミュー:なんだと……技能ないプレイヤーに先を越された……?!
アン:我々レベリングを最優先してましたから、そこは仕方ないのでは?
ひまり:称号システムもなんか隠し要素とかあるのかなあ、ステ補正とかあると面白そうだけど。
玉兎:面白そうだが、現状でそういう報告は上がっていないな。
ミケ:お待たせ!!!商店街とは珍しいところにいるな!そっち行くか!
称号の話に逸れたところで、ミケさんがやってきて合流することになった。
ミュー:福引所見つけたんよ。
ミケ:おお!スタック束少ないからちょっと邪魔だったんで助かる!
福引補助券は50枚スタックだそうなのに福引券は10枚スタックなんですよね……
まあ福引引いたら割とガチめに雑多なアイテムが出てきて、全員のかばんの空きがなくなって悲鳴を上げるってオチになりましたけど!
食材はアンに、引き取り手のある素材はそれぞれの引き取り手に物々交換したけど、その結果、私の手元には誰も使わない素材と飴ちゃんとかのお菓子が……あと大福……美味しいけど……
あと全員に[福引マスター]って称号が付いた。15回以上回すとマスターらしい。
我々30回ちょっと回しましたからね。
ミュー:大福乱獲しすぎた……今気づいたけど[大福を狩るモノ☆]ってのまで増えてる……!
玉兎:いやだって他の兎より経験値旨いっぽかったしさ……
ひまり:おそろい称号だー!
北斗:あ、そういう意味だと嬉しいかなw
ミケ:称号って詳細見られるんだな……『いつか運に補正が付いたらいいね』ってのはどうかと思うが……
いやまあベータ版では運は実質未実装だし、それはしょうがないんじゃない?
称号追加:[福引マスター]
商店街、冒険者は一番手前の店でだいたい事が済むので奥行かない+福引券所持経験ないと屋台が見えない(補助券不可)。
なおベータ版という事もあって、商店街や露店で売ってるもの+大福しか出ません<福引
福引称号はパーティ割がないので☆付いたのは玉兎だけ。




