第131話 かばん容量狂騒曲。
冒頭は40キャップの頃の話がちらっと出てくるけど、メインは50キャップ時代。
「ひまちゃん!ちょっと手伝って!!かばんの空きが足りねえ!」
「はいはーい。でも私も10個しか持てないよー」
「えっ何そんなに入れてんの」
「お札の予備とエーテルとごはんとおやつ!」
最近はすっかりこんな会話が増えた。
生産職のミケさんたちはいろんな初級生産の大半をカンストさせないとメイン生産職を次に進められないという仕様で……
その次は中級の必要な複数の生産カテゴリをカンストしないと上級に行けないんだけど、この中級が厄介らしくてね。
初級はそれこそ作ってはポイの使い捨てみたいな素材を叩いてればなんとかなる、らしいんだけど、中級になると全部上げる必要がなくなる代わりに、カテゴリごとの必要素材数が増えるし試行回数も増える。
しかも安くないものが混じり始めるから、完成したものをNPCにたたき売り、とかもよほどのお大尽でないとできない。
おまけにクランハウスやお店の資金も貯めないとだからね。無駄はできないのだ。
その結果が、かばん容量の逼迫、というわけです。
金策にバトルコンテンツもこのゲームでは定番なので、その分の空きも要るし……
ミケさんなんてベータテスター特典の3枠目のキャラを完全倉庫キャラにしてすらこれだからね。
セカンドを他所に作るんじゃなかったって嘆いてる。
そしてそんなかばんの逼迫状況は50キャップが来ても余り変わっていない。
うちがクランハウスを持てたんで、ミケさんがかばんの中身を預けに来る場所が路上からクランハウスに変わっただけだ。
なおレッキスさんも北斗さんを拝み倒してかばんの中身をやりくりしているね。
「結局さぁ、ライトバンの上位がいないのが問題なんだよ」
「別にライトバンじゃなくてもいいんだけどね、サンバーとかも車の名前ネタでしょ?」
「それもそう?あともういっこいなかったかそれ系?」
「ボンゴがそうだけど、流石に第一階位エリアだと変異体すらいないしねえ」
「ひまりさん、今度はこれをお願いします」
「わぁーい!美味しそう!!」
今日はディギーさんのクラン『SEADS』に併設されている店舗で、新作料理の試食会だ。
この結果でお店の方向性も決まるので責任重大だね!
ちなみにアンファルは同僚たちのセカンドキャラを自分のセカンド・サード共々倉庫キャラ扱いにしている。私も出そうか?と言ったら何故か断られたけど。
おもむろに問題提起しだしたディギーさんもどうやら状況は似たり寄ったりのよう。シングさんとユーさんが時々キャラ入れ替えに行ってるから、そう予想しただけだけど。
「アンちゃん、共有の小麦粉1スタックあるやつ借りていい?」
「共有に入れてあるものは自由に使っていいんですよ」
「今の中身は俺お金出してないしさあ」
「その分クランハウスの出資額が多かったでしょう?お互いさまですよー」
クランハウスの共有チェストも汎用食材で埋まっているとは聞いていたけど、ディギーさん、クランマスターにしては謙虚だなあ?
余談ですが、うちの共有チェストは低レベル向けのごはんと草の紙と初級符各種が詰まってます!支援用!
とはいえ新規も少なくなってきたので、そろそろ中級符増やそうかなあ。
いや、何でもかんでも支援しちゃうのは良くないな?
「おはよう諸君!お邪魔するよ」
「おじゃましゃーっす!あ、サウルっちもこんちー!」
「お邪魔します。ひまりさんが早いね?」
そこにこれもお呼ばれされたらしいサウルさんと玉兄さん、ティキちゃんが登場だ。
なお私は一番乗りしてダベり時間を確保した!
お店の入り口は今は指定した人しか入れない仕掛けだそうで、地元の人や知らないプレイヤーさん達は興味深げに寄ってきては、仕掛けに弾かれてぐぬぬったり諦めたりしている。
「既に随分興味を持たれているようだね」
「食堂形式はやめた方がよさそうですねえこれは」
「そもそも食堂やるとなると絶対店員雇わないとだけど、流石にそこまで店クエ進んでない!」
「どっちみちNPC店員は必要だと思いますよ、ログイン時間には限度がありますし」
「店クエ詰まってるの?」
「要求アイテムが多くて、今のかばん容量だと集めるの自体がしんどいんだよ」
そういえばディギーさんもアンファルも一般ドワーフだから、装備品枠でもかばんが埋まるって話は前にもしてたもんね。
おまけにディギーさんは複数ジョブをカンストさせているから、個人チェストはほぼそっちの入れ替え用装備品と食材で埋まると言ってたし。
確かに職人だと個人チェスト初期値の100件はちょっと少ないよね。
一応ディギーさんも私たち同様ライトバンの☆効果でかばんが20枠多いっちゃそうなんだけど、正直いって20は誤差だよねえ……!
「狐ちゃんは荷物問題どうしてるの」
「装備品が枠取らない分だけマシかなあ。お札の材料は都度お店で買ってるし」
「それで済むならそれが最強だよなあ」
「どうせ上級の素材は自作できないからね……それしかないなら無理に買いだめなくていいかなって……」
流石にねえ、上級符用の紙とインクは私じゃ作れないのよ。
メイン符術師スタートだと、錬金とかのスキルにマイナス補正が入るんじゃよ……全く取れないわけではなかったんだけど。
なので紙とインクは買うしかないのだ。
まあおばあちゃん師匠もミューちゃんも上級用は専門の生産業者さんから買うそうなので、取引先が増えただけですけどね!
一応個人チェストにある程度ストックは持っているけどねー、どうせ書くのは9割おばあちゃんとこでなので……
……そんなこともあったなーとしみじみ思い返す、なう50キャップ到達済み。
かばん容量?変化なし!!
「結局なんもないんですかー!」
「メインプログラマに謎のこだわりがあるらしくてなあ……」
「せめてパペットのチェスト制限なんとかしてー!」
「そっちなのか……いや確かにそれも要望は出ているな……?」
今日も開店前の『SEADS』の店舗に試食要員としてお邪魔して、同じく試食役らしいパンダに文句を垂れる。
いやね?私だってね?もうちょっと容量欲しいんですよ?
渋々手放したパペットとか、あるんですよ?
叢雀のドロップがランダムすぎてですね!!
いっぱいいるのもかわいいのに手元に全部は置いておけないっ!!
今日のご試食はかき氷各種だ。チープなやつから高級品まで!
ゲームではアイスクリーム頭痛は起きないし、カロリー低いものはお腹に溜まらないのでいっぱい食べられるのよね、これ。
ちなみにサンバーに変異体がいないかと狩りまくったり、流石にボンゴはないよなあって言いながらも猫又さんから苦情が入る寸前まで狩り倒したりはした。
どっちもだめでした!!流石に車ネタの天丼はなかった!
「やあやあお邪魔するよー、儲かってるかーい?」
「いらっしゃいませ。ぼちぼちってところですかねえ」
「あ、ソロモンさんこんにちはー!今日はあんよ青い子かー」
アンたちとレガ鯖調理人のトップ層を構成しているひとり、ソロモンさんは今も店舗は持っていない、オークションオンリースタイルだ。
そういやこの人クラン無所属なんだよね、なんでだろ?
そうそう、あんよが青い云々は、連れているパペット・ブービーのことだよ!
こいつもレアドロのくせにカラバリというか種類のバリエーションがありまして。アカアシとアオアシとブラウンとマスクド!
ソロモンさん、全種確保してて、日替わりで違う子を連れてるんだ。
ブラウンは茶色い顔と黄色い足の日本語だと無印なカツオドリ、マスクドはアオツラカツオドリっていう白っぽい子だね。
「おう、そっちは新作できたかい?」
「取り合えずブルーハワイベースでひとつと、フルーツピューレでひとつ」
「ブルーハワイかあ、実装時には散々試したがまだネタある?」
「他にもやりたいけど、かばん問題がねえ」
今日はソロモンさんもかき氷新作を持ってきてくれたようなんだけど、やっぱりかばん問題は深刻らしい。
「お邪魔します」
「アランヴィーズさんこんにちはー!」
「そういやアランは幻獣さんやパペットは連れ歩かないタイプなのかい?」
「パペットは全部売り払ってしまってるねえ。かばんの空き、130でもさっぱり足りない」
「足りないよねえ……って、130???」
ちょっと待って?私ライトバンの☆あっても120だよ?!
なおアランヴィーズさんはあ、という口の形で固まっている。ギルティ!!
「ちょぉーっと、その話、聞かせてもらおうかぁ?」
ディギーさんが悪い顔でニヤリと笑うけど、他のメンバーも大体悪い顔してる。
多分私もね?
「これ言っても大丈夫な奴なんですかね?」
「うん?情報を口にできるなら問題ないんじゃないか?」
アランヴィーズさんがそう言いながらシンシンさんを見たけど、パンダの回答はそれだけだ。
確かにそれはそう。
「そもそも130ってどういう内訳だ?」
「ライトバンで+10、スタンプラリーで+20だねえ」
「すたんぷらりー?」
そしてそのまま説明してくれたところによると、幻獣さんだか聖獣さんだか巡りをすると、スタンプのようなものが溜まって、みっつ集めるとかばん容量が増える、のだそう。
いきなりやることが!生えた!!
試食会なんてやってるから2話になるんですよ!という訳でつづくっ。




