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第11話 ワールドクエストが早すぎる!

 死に戻り(リスポーン)はスタート場所に関わらず噴水前(そりゃ混みあうわ)。

 翌日も同じメンバーで東の草原で狩りをする。

 だんだん効率が落ちてくるので、ちょっと森を覗きに行ったら、狼の群れに遭遇してしまって、ついに死に戻る羽目になったけど。


 流石にねえ!パーティ人数の倍の推定格上狼はねえ!無理!

 リンクする奴いないんじゃなかったのここ!?


 今日もものすっごい人混みの噴水前から大急ぎで移動した、冒険者組合の窓口でそうぼやいたら、熟練っぽい冒険者NPCさん達が数人、職員さんと顔を見合わせるや、飛び出していった。


「普段はあの森には狼は出ませんから、確認しに行ってます。

 調査結果次第では、明日は森は立ち入り禁止になるかもしれませんね」

 わあ!イベントが!生えた!?


(問題ない。追い散らしたから……いや、痕跡は残っておるか、警報は出てしまうな)

 実は死なずに取り残されていて、自力で歩いて帰ってきてここで合流した朔夜が、狼の群を半壊させたと白状したけど、狼の群の痕跡があるなら警報は出るな、と自己完結。


 むしろ問題なのは、普段いないものがこんな町の近くまで来ていることの方だと思うよ!


(……あー……何かに追われてきた、か)


 ミュー:あの狼変だったよね?確か草原エリアに出るモンスターはノンアクノンリンクだけのはずだし、あそこマップ上ではまだ草原3だったよね?

 ひまり:うん、多分もっと強いモンスに追われてて、それに怯えてたんじゃないかなあ

 ミケ:つまり、イベントの予感?


 パーティメンバーも同様の結論に至った模様。


 玉兎:あー、フレがやっぱり死に戻ったらしい。南エリアを探索していて、熊にやられたとさ。Lv10でも一撃だったらしいぞ。

 北斗:え、Lv10ってイノっち?あいつが一撃?マ?


 どうやら特殊同盟組の暫定トップレベルの人がやられたらしい。


「おー、いたいた!玉っち!そっちも死に戻ったと聞いたが!」

 そこに現れたのは、めっちゃ剛毛で豚鼻のガチムチ系お兄さん。


「おう、イノ、先に推測は流したがどうよ?」

「熊じゃそこまで感情は読めねえな!オレらが普通にメシにされる側だろ、グリズリーだったぞあれ」

 そんな会話の後で紹介して貰った彼は、大聖野猪たいせいやちょという特殊種族のイノ・シッシーという、完全にネタ全振りネームのプレイヤーさんだった。


「おう、イッノ、お前が死に戻るってレアだな!」

「ミッケこそ、そうそう死なないボディって自慢してたじゃん」

「Lv10の狼がダースで来られたら無理」

 あれ?ミケさんモンスターのレベル見えるんだ?


 ミュー:レベル見えるのか、えれぇダメージ痛いと思ったらLv10はえぐくない?

 ミケ:やられる直前に【モンスター鑑定】取った!

 ひまり:えっ、鑑定ってカテゴリ別取得なんですか?!

 玉兎:総合の、もしくはシンプルな【鑑定】が出てないんだ。全部取ったら統合されるタイプの可能性?


(あーすまぬ、総合鑑定は未実装じゃ……ネタバレ回避で……)

 そしてパーティ会話も検知している朔夜からはネタバレが飛んできたけど、これは秘匿しとくべきかしら……


 相変わらず私のスキルポイントは使い道が出てこない。

 特殊種族だとスキルの発現が遅いらしいんで、10レベルまでは気にしないつもりではいるんだけど。


「すみません、グリズリーなのは確かですか?」

 そこに組合の職員さんが、イノさんに質問する。


「グリズリーに倒された!って通知が出たからな……レベルまでは判らないが」

「うわあ……最低でもレベル15のモンスターですよ!

 そりゃあ、現状の漂流者の方ではひとたまりもありません!皆さん、非常事態です!」

 イノさんの回答に受付嬢が対応した瞬間に、冒険者組合全体が蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。


 そりゃそうだ、初心者の町周辺にいてはいけないレベルのヤツが出たんだから。


 ミュー:メタるけど、ベータテストのリアル初日にレイドイベントとかありうる?

 ミケ:明日からじゃねえかなあ……でないと夕方ログイン組が涙目になるぞ

 玉兎:あるとすれば、高レベルだとこうなりますよって未来のお披露目イベントかな。


 玉兎さんの推測がなんか近い気がする。これを目指して頑張りましょうイベ。


(リアル知性の高い集団は怖い)

 そして朔夜が謎の一言。

 うん、うすうす感じてはいたけど、君、運営側のナカノヒト、いるね?


(運営ではないぞ。雇われ、ともちょっと違うが……)

 そして朔夜の回答は、ナカノヒト疑惑自体は否定しなかった。



《ワールドクエストが発見されました!》

 りんごーん!と鐘の音が鳴り響き、視界の端のログエリアでワールドクエスト!の文字が躍る。


 つっても流石に早すぎるんだよなあ!?


《【始まりの町・黄金桜防衛戦】の準備フェーズが開催されます!

 本イベントはプレイヤーにレイド参戦可能レベル到達キャラが存在しないため、準備フェーズのみの開催となります!》

 まさかの:レベル制限に到達しないままのワールドクエスト解放!


 玉兎:誰だトリガー踏んだのwwwww

 ミケ:ありそうなのはイノだろ


「もしかして:俺トリガー踏んだ?」

 フレンズに我々のパーティ会話で言及されたイノさん本人も首を傾げている。


「こっちもLv10狼の群れに襲われたから、トリガー踏んでないとは言えないかも」

 イノさんにも聞こえるように、一般会話で流す。


「いや、どっちも違うね」

 そこに割り込む声。全員がきょとんとしたから、誰のフレンドでもなさそう。


 声の主は、背の高い、でも妙に細い、茶髪茶目のヒューマン男性だ。

 丸い、推定伊達メガネをかけて、初期服よりちょっといい感じの紺色のローブっぽい服を着ている。

 これ確か古着屋さんで売ってた服だな。


「あー、君もしかして質問スレの1か」

「うむ。ああいうのは最初に立てておくに限る。ああ、お初の方がた、僕はこういうものだ」

 ぴっ、と名刺のようなものを手に取りかざす男性。


 おお、プロフィールカードだって!

 なになに……ヒューマン族の得里 空院さん?えるり・くういん……ミステリマニアか?


 ミュー:質問スレの1とか判るんだ

 玉兎:スレ立てした人間だけはIDもしくはキャラクター名で検索できるんだ。一般書き込みには無効だが


 へー、と、掲示板メニューで試しに玉兎さんを……わあ、検証スレの半分くらいと種族スレ全部この人だよ!!


「で、結局トリガー踏んだのって?」

「僕だ。南エリアを潜伏で進んでいたら境界にぶち当たって、そこにどうもトリガーがいたらしい。

 ただ、一撃死する前に逃げてきてしまったんで種族が不明のままだ。ロストがないなら情報の為にやられておくべきだった……」


 いたぞ主犯!!!

 探偵じゃなくてニンジャだこの人!!!


「えぇ……Lv8で南の境界まで行ける、ですって……?」

 我々の通常会話を聞き続けていた組合職員さんが呆れ声だ。


「仕様かバグかは判らんが、ステルス系技能は街中でも育つんだよ」

「要らんことを聞いた……多分修正対象になるぞそれ」


(要修正じゃなあ……いや、理論的には第三者から隠れる技能は街中で育成できてもおかしくはないんじゃが……倫理的にダメなんじゃないか……?)

 玉兎さんが呆れ、朔夜もひっそり呆れ声だ。


「理論上は確かに育成の余地はあるだろうけど、倫理的にっていうか絵面がダメな気がするから多分修正入ると思います」

 多分だけど、と述べたら、やった本人を含む周囲の全員から賛同された。


「そもそもこの手のゲームの場合は、街中では戦闘技術に分類されるスキルや技能は発動しなくていいよなあ」

「いやでもシティアドベンチャーとかもあるじゃん?」

「始まりの町ですることじゃない気がする!」

「始まりの町だからいいんじゃん!」

 周囲の野次馬勢まで話題に乗っかって来たので、ごっちゃごちゃになりはじめたよね!


「あ、掲示板にGM謹製ワールドクエストスレ立った!検証はそっちでやれとさ!」

「じゃあ休憩ついでにちょっと見てくるか」

「死に戻りのペナルティが経験値ロストじゃなくてフィールドにゲーム内30分出られない、だったのは想定外」


 そんなわけで、今回は冒険者組合に設置されている仮眠所を借りて一休みだよ!

 元気な人たちは、安全確認がされた草原1と2のフィールドに出て素材採集をしたり、街中のクエストや納品クエストをやることにした様子。


 私たちも納品クエストだけやっておいた。

 生産者組が素材が減るぅ、とぼやいてたけど、それでも納品はきっちりしていたのは、ランク上げ用のポイントがとっても美味しかったからだ。


 ランクもね、Ⅾには最低でも上げないとね、次のエリアに出ていけないらしいんでね!


(南下ルートはCランク以上が推奨だ。まだまだ早いな)

 わあ、ベータテスト中に行けるかどうかギリギリぐらいでは?


(んなこたーない。二か月くらいで何割かはCになるだろうという計算だそうだぞ)

 なにせ、そこからが長いからな、と朔夜は述べて、何となく納得する私です。


 というか、南の道の先、もう実装されてるのか……ちょっとわくわくしてきたぞ!

なおグリズリーはLv20の最強個体が出たのでそりゃ一撃ですよねって。

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