第106話 ティトゥット君と一緒に。
配信回は基本的にLv120での話ですが、それ以外はじわじわ時系列が前後しながら進んでいく予定です。
時系列:104話の少しあと。なのでまだ40キャップの頃からのスタート。
製品版になったら、案の定ティトゥット君をレンタル乗り場で見かけなくなった。
ベータ版の間は気が付くと最寄りのレンタル乗り場にいて、借りるとだいたい彼だったんだけどなあ。
いや、騎獣契約は残ってるな……?
でも召喚術部分はグレーアウトしたままだ。なんでだろう?
(我が時折相手をしておった故、主の事を忘れたりはしておらんはずじゃが……)
朔夜によれば、どうもプレイヤーがログインできてない間はサーバーは八割がた止まっていたようで、時間経過で不利になる召喚契約系なんかへの影響は最低限らしい上に、朔夜が時々声掛けなどしてくれていたそうなのだけど。
「こんにちはー、最近ティトゥット君を見ませんけども、どうしてます?」
判らない時にはレンタル乗り場の係員さんに聞く!
黄金桜ではなく、白金樺の方の係員さんは個体名ティトゥット君を把握してるのはベータの間に確認済みだよ!
「あー、嬢ちゃんあいつと契約してたっけ。
実はあいつさ、どうも聖獣化しそうだってんで、地元の牧場に帰してるんだ。
聖獣になっちまうと、レンタルには応じてくれなくなっちまうし、走鳥からの聖獣化だと、係員の方も契約を維持できなくなる可能性が高くてね。
お嬢ちゃんもレベル的に契約維持はきつそうだが、浅葱菫の牧場にいるから、会いに行ってみるとよかろうさ」
そして係員さんは思いもかけない情報を教えてくれた。聖獣化?
(ああ、普通の動物から幻獣へ、そこから更に聖獣に進化するものがおるんじゃな。
我も進化するタイプだと以前説明したことがあろう?似たようなものじゃ)
朔夜からの解説。なるほど?朔夜は幻獣聖獣とはまた別なのね。
(地元民からの分類は同じじゃがな、厳密には違うものじゃ。主とて地元民とは似て非なるものじゃろう?)
うんうん。そういえば忘れそうになってたけど、我々も進化するって話、あったしね!
ありがとーございます!と、係員さんにはお礼を言って、ポータルで青玉槿に飛んでからレンタル走鳥で浅葱菫だ。
私が知ってる牧場はベータの時に行った、馬の飼育がメインのコボルト村だけだけど、走鳥さんが自分ちだよ!とばかりに走鳥牧場への道を知っていたのでさっくり到着だよ!
(あ、ごしゅじーん!あいにきてくれたん??)
到着するなり、ティトゥット君の念話が飛んできた。そうだよ!会いに来たよ!
だけど、牧場の柵の近くに姿はない。はて?
「おや?お嬢ちゃん、こんな田舎の牧場にどうしたい?」
そこに声を掛けてきてくれたのは、コボルトのおっちゃんだ。見慣れない大型犬種だけど、声がおっちゃん。うーん、レオンベルガーかなあ、この絶妙なふっさり加減……?
「契約してる子がこっちにいると聞いたので久しぶりに会いに来ましたー」
「あーん?……あー、ティトゥットかあ!あいつどうも聖獣化しちまいそうでなあ。
聖獣様になっちまうと、牧場も出て自力で生きていく感じなんだが……
嬢ちゃんとの契約、残るかなあ?今の嬢ちゃんだと、呼びだすための魔力がまだちょっと足らんよなあ……」
なんと、NPCの皆さんは契約聖獣の呼び出しは魔力で行う、らしい。
いや、召喚師もそういう仕様だったな?あのジョブだとステ補正なくて魔力にプラス補正が付くってアランヴィーズさんが前にどっかで言ってたし。
でも私は召喚師にはなれないから、戦闘呼び出しはしないんだよねー。
「一緒に戦うとかはしないので多分そこまでは大丈夫かな、と思うんですけど」
「ああ、職業召喚師さんじゃないんだな。だったらあいつの気分次第だなあ」
(きてくれたのはーうれしー。でもいまはねー、はげはげなので、あえなーい)
そこにティトゥット君の念話だ。
「はげはげ?」
「羽毛が全部抜け替わるんだよ。だから今は直射日光に当てないように厩舎の中なんだ。
本鳥も禿げ散らかしてる姿は見られたくないって言うしね!」
「わかりましたー。じゃあまたお見舞いに来ますね」
「ああ、そうしてやってくれ。多分来月くらいには終わってる……と思うが……
如何せん走鳥の聖獣化ってこの村では三百年以上起きてないらしくてねえ……」
どうも聖獣化は滅多に起こる事ではないらしく、コボルトのおじさんの言葉もキレが悪い。
百年以内の事なら走鳥達自身が結構知ってるそうなんだけど、三百年ともなると、村の人も走鳥さんも知らないんだって。
(おわったらー……あいにきてね)
判った!必ず会いに来るよ!
そんなわけで今回は実質空振りでご帰宅だ。
製品版になったら、神殿で帰還符という、登録ホームポータルに帰れるお札を販売しだしたので、今回はこれを利用する。
なお1枚8000エンだ。お高い!
そうそう、レガシー鯖に関しては、お金は一定金額以上持っている人だけ半額スタートだった。それ以外は全部持ち越し。
クランハウスや店舗の為にお金貯めこんでた勢のおよそ半数が悲鳴を上げましたね!
それ以外の半数?ちゃんとアイテム買ったりお布施したりして調整してた。
なお私はギリギリ半額持ってかれた組です。もう一桁緩いと思ってた。不覚。
玉兄さんとアンファルはきっちりお布施と高額アイテム取引で切り抜けましたね……
そして気が付いたら50キャップが来て。
種族名自体は変わらないけど、ひまりちゃんは進化した。朔夜もね。
なんと、知性と魔力と尻尾が増えたよ!ふたつめの尻尾は隠せるんで普段は隠してるけど、衣装がとうとう地紋入りの狩衣風になりまして。
どっちみち目立つのであります……
で、レベルカンストしたところで、レンタル乗り場の係員さんに呼び止められた。
「お嬢ちゃんに浅葱菫から手紙が来たよ。あいつ、聖獣化に随分手間取ったらしいなあ」
「わあ、ありがとうございます!」
ティトゥット君のところにはあの後も2回くらいお見舞いに行ったんだけど、最終の抜け替わりがなかなかうまくいっていないとかで、会えてなかったんだよね。
受け取った手紙には、やっと終わりそうだから来てください、というご招待。
聖獣化って私が思ってたより、大変だったんだな……
(そうじゃのう、途中で失敗して命を落とすものも稀にいるというぞ。概ね、せっかちなタイプが怪しいんじゃが……
走鳥は走るのは早い癖にのんびりものばかり故、逆にゆっくりしすぎたのやもなあ)
朔夜が怖い事を言うので、ぶるぶるしてしまったけど、取り急ぎログイン時間はまだあるから、ポータル経由して青玉槿からまた走鳥でダッシュだ。
(あっご主人だー!!来てくれたんだねー!!)
牧場に近づくなり、念話が飛んでくる。
のんびりした走鳥のそれより、きっちりはっきりした言葉遣い。でも声はティトゥット君のそれだ。聖獣化、完了したんだね?
レンタルしてきた走鳥さんから降りて、牧場に近づく。
ひょこん、と柵の上から、クチバシとくりくりおめめが大きな鳥の顔。
お、色が白黒になったし、クチバシの上と後頭部に冠羽が生えたね?
ちなみに走鳥さんは全身茶色で、飾り羽とかも全然ないよ!尻尾はあるけど!
(みてみてー!ディアトリマになりましたー!)
柵をぴょんっと飛び越えて、全身を見せてくれるティトゥット君。
おお!構造色ってやつかな?光の加減で緑や紫に見える羽根もある!全体の色目はカササギに近いね。羽根の模様がちょっと違うかな?うん、尻尾も伸びて、全体に、かっこいいぞ!
「ひさしぶりー!二回りおっきくなったねー!色もイケメン!」
(えへへー!ほめられたー!すっごく時間かかっちゃったけど、また一緒にいてくれるー?)
「もちのろんよ!これからもいろんなところ、行こうね!」
(わあい!嬉しいなー!)
《クエスト:『信頼の絆:疾駆鳥』クリア!評価:Exellent!!最高評価を得たため、スキルポイント及びステータスポイントにボーナスを得ます。
【召喚術:走鳥】が【召喚術:疾駆鳥☆】に進化しました。》
え?え?これ、クエストだったの?しかも報酬がまさかのステータスポイント?!
SPは例によって4ポイントだけど、ステポは3ポイントだった。まああとで知性に振ればいいよね!
そして走鳥から疾駆鳥に変わった召喚術には、走鳥の時にはなかった☆が付いている。
うわぁこんなとこにもワールドファーストの☆付くのか!!
後で確認しましたら、そもそも疾駆鳥……ディアトリマ種自体がこのサーバーではティトゥット君が初の個体らしくてですね……わあ……
ちなみに召喚術での聖獣呼び出しだと、呼び出し時に魔力消費、乗ってる間もちょっとずつ魔力消費だったりする。騎乗のみだと10分に1とかだけど。
レンタル、つまり幻獣だとこの魔力消費は発生しないので、使い分けしないとだめかも?
なお聖獣化しても、契約相手は別に一人とは限らないらしいので、何人かフレンドを紹介したら、なんかファディさんを気に入って彼女とも契約していた。
独り占めはしませんよー!
というかですね、私しか契約者がいなかったのが、聖獣化が遅れた原因だったらしいのよね。
契約者の魔力も参照するんだってよ……なんたる……もっと早い段階でファディさんとかアランヴィーズさんを紹介しておけばもうちょっと待たずに済んだのかもしれない……?
まあifの話は置いておこう。
学園とかでも呼べるらしいし、ティトゥット君と一緒に、いろんなとこ行くぞー!
この話の間でもいろいろ変動があるのでリザルトはなし。
職業召喚師だともっと消費が多い(やってもらえることはその分多い)。




