第10話 レベルアップと周囲の目。
その日はいろいろなことを試しながら、延々デカ兎を殴ってた。
ちゃんと日が暮れる前には町に帰ったけど、なんか遠目でこっちを見ている見物人が結構いたなあ……
ミュー:人が増えたと思ったのに誰も狩ってない件。
玉兎:ただの見物人!
ひまり:そりゃまあ……目立つよね我々……
ミケ:違いねえ!ワハハ!
そう、あんなにヒューマン種族の多いプレイヤー陣だったのに、本日のパーティ、ヒューマン種がいません!
一番フォルムが近いミケさんが一番素材がヒトっぽくないっていうね!
ミュー:私が一番普通だな!
アン:私だって種族としては普通のキャラクリ組ですよ?
玉兎:女ドワーフ激レアなんだよなあ、多分髭のせい……?
ミケ:いや、トー〇キン先生リスペクト!みたいに盛り上がってる集団はいたはずだが
ひまり:あー、ドワーフスレそんな感じでしたよね!
ベータ専用掲示板はなかなか盛況で、基本種族スレとか特異種族スレなんてのもあって、隙間時間にちょっとだけ覗いたりはした。
ログイン時間終わる前にもっかい見とこう。
ミケ:ログイン時間が掲示板見られる時間と共通なのが辛いところ
北斗:だがログイン中以外閲覧できない制限にしないと多分外部に漏れるから、選択できないのは判らんでもない。
アン:正式版が出たらその辺は多分緩和されそうですね。
ミュー:現行スタイルのものとは別に、正式版用の外部閲覧可能な掲示板作るってよ?
北斗:あ、そうだ。俺のリアフレが裁縫職人目指すらしいんで、毛皮買い取りしたいって。
ひまり:毛皮、裁縫なんだ?
自分は生産職やるつもり微塵もないから、そこらへん、調べてもいないのよね。
北斗:毛皮から毛を引っぺがすのが裁縫、なめしたら皮革だってよ。つまり奪い合い?
ミケ:裁縫は皮革の技能も多分使うからセルフ奪い合いなんだよな……
ひまり:生産技能って複数持てるんだ?
ミュー:初級は全部持てるよ!中級は3つ、上級に上がれるのはひとつだけ!……ところで紙漉きってジャンルは何になるの……?
玉兎:ファイトファンシーだと木工でウッドチップ作って錬金術で製紙だったよな。
ミケ:ああ、そこらへんの草刈り取って持ってけ。初級の『草の紙』が雑草からイケるぞ
ジャンルは忘れた!と大雑把なことを言うミケさんだけど、ミューさん、目の色を変えて雑草毟りを始めた。
ひまり:手伝うか……
アン:街中の雑草を大人が毟ると子供の仕事を取るなって怒られるそうですしね。
あー、Fランク向けクエストの邪魔はしちゃいけないんだ。
私も気を付けよう……
ひまり:種別自体が雑草、なんだ……
北斗:先帝陛下に窘められそう<雑草という名の草はない。
ミュー:生えてる時の見た目自体は雑多なのに、採取すると全部同じ草になるwww
草原に生えている草は単一種ではない。見るからに、大小いろんな草が生えている。
大きいものが少ないのは多分兎が食ってるから?
でも収穫すると全部『雑草』で1スタックだ。
仕分けしないでいいのは楽だけども。
ミケ:ここの収穫はスカがなくていいな……『何も得られなかった……』で鎌が壊れる悲劇!
北斗:草むしりに道具が要らないのもいい。
玉兎:鎌や斧が消耗品なのマジ解せぬ。
男性キャラ勢が言ってるのは、多分ファイトファンシーの時の話ね。
花枝さんがやっぱり職人コースで、似たようなことをぼやいてた。
アン:ピザカッターが消耗品なことを知った時は衝撃でした。
玉兎:調理人暴れたよなあ、あれw
ミュー:ファイトファンシーやってた人ばっかりか……!
ひまり:そりゃ新作MMOに、それもベータ版に飛びつく人たちならそうでは?
ミュー:いえすみーとぅー
雑草の引き抜きにスキルや技能は不要だけど、サイズによってはちぎれたり、引っこ抜けなかったりもする。多分力と器用で判定してるな?
引っこ抜きが多いのは北斗さんとミケさんで、千切れるのが多いのもこのふたりだ。
ミケ:根っこは要らねええええ
ミュー:いや、その草の根っこは欲しい。判定が違うから素材だ!
ミケ:俺の技能だと判定出ないぞ?
ミュー:多分呪符用の素材にしかならんやつ!
へえ、根っこが必要な素材もあるのか。
あ、私にも判るぞ!今ミケさんが抜いた草だけ『メッテの根が付いている』ってキャプションがある!
玉兎:お、『メッテの根が付いている』だってよ。呪符関連の魔法や技能を持ってると判別できるらしい。
ミケ:抜くのは俺でもいいんだな?じゃあ同じ奴纏めるか。
たまたま群生している場所に遭遇していたらしく、さっきまで見かけなかったメッテの根表示の草が結構たくさん採れたので、ミューさんに渡す。
ミュー:これインクの素材だわ!雑貨屋で買うと高いから助かる!
自分で作れなくても、素材を納品すると値引きがあるんだって。
これは食材を屋台や食堂NPCに売ったりするときも同じだって。買い取りと値引きを選べる。
そんなこんなで採取でもわちゃわちゃしていたら、閉門時間ギリギリになっちゃった。
流石に見物人もだいたい引き払ってて周囲はすっかり静かだ。
……門を通った途端に取り囲まれたけど。なんだなんだ?
「あーあーあー!そこのエルフ!なんで希少種族ハーレムなんてやってんだ!ずりぃぞ!」
うわあやっかみキター!
「あ?やりたかったら呪符作成スキルでも取ってくればいいと思うよ。取れればだけど」
そしてミューさんは売り言葉に買い言葉!おいおい!
ミュー:呪符作成スキル持ち他にもいないか知りたいのよ。わたしだけだといずれ生産が破綻するわよ!
言われてみればそれもそう。
そして、周囲からそのスキルまたは技能があるという声は上がらない。
「呪符?なんですかそれ、ボクのライブラリにないんだけど」
最初に声を上げたヒューマン男性の反対端くらいにいたエルフの女性がそんな質問を投げてくる。
「特殊種族の一部にデフォルトで付いている職の符術師で使う、所謂お札だね。
初期状態で3種持っているモノ以外の作成に専用スキルが要るんだ。
……そして符術師は基本その技能を持っていないんだよ……」
「符術師持ってると生産スキルを持てないらしいのよ」
玉兎さんの解説が尻すぼみになったので補足しておく。
そして私たちの解説を聞いた人たちの過半数が納得顔、もしくは『うわぁ災難』って顔になった。
多分後者は選ばなくてよかった!と思ってる勢じゃなかろうか?
「特殊種族全員が持ってるわけでもないぞ、俺は現に魔法系技能は取得自体が不可だ」
ミケさんが符術師持ってないのは、そもそも石人が魔法を使えない種族だから、な気もする。
あ、でもノの字の法則にも当てはまってないね、石人。
「女ドワーフの人とかあんまりその辺関係ないよね?」
最初の人がなおも食い下がる。
「単なるリアフレですが何か」
まあこの一言で終わる話だよね。
「ぐは……ッ!リアル……うわああんすいませんでしたあああああああ!」
そして最初のおにーさんは、わざとらしくも、笑いをヨコセ!っぽいオーバーリアクションと共に走り去っていった。
ミュー:もしかして:茶番
玉兎:ヘイト抜きの為に解説の機会をくれるのは助かる?
ミケ:確かに俺ら今日は完全に悪目立ち集団だったもんな
アン:でも明日もできたら宜しくしたいです。まだLv6とかですからね。
北斗:ほな今日は一回パーティ組んだままで寝てみるかぁ。
ひまり:解除されるかどうか、気になりますもんね。
就寝ログアウトでどのくらいのデータがカットされるかとか、まだ検証開始したばかりだそうなので。
そりゃそうだ。まだベータテスト初日だものね。
冒険者組合でクエスト報酬をゲットして、戦利品の方も分配したら今日はおしまい。
屋台でばんごはん買って、昨日のお宿に参ります。
今日は朔夜はずっと服の中で静かだったねえ。
(そりゃあ、ただでさえ目立つパーティに実装数自体が少ない従魔までいたら面倒だろうが)
確かにその通り!オキヅカイカンシャシマス!
*****プレイリザルト*****
プレイヤー:稲見ひまり Lv3→Lv6
種族:狐ノ命
体力 18→26
魔力 40→70
SP 19→34
力 5→6
耐久 5→6
敏捷 12→18
器用 8→11
知性 13→18
知識 20→22
信仰 -
運 -
呪符魔法 Lv4→6
攻撃符:炎x99
攻撃符:水x99
攻撃符:雷x99
攻撃符:土x99
攻撃符:風x99
攻撃符:光x99
護身符:光x99
治癒符:光x99
一般魔法 Lv1
称号
[漂流者]
[使い魔を労わるもの☆]
[聖魔のあわいを征くもの☆]※秘匿
[Eランク冒険者]
※札は明日も使うからと再補充されているので増減なし。
護身符は光闇以外は未実装。
……やべぇ、魔力成長計算ミスった……?増えすぎる気が……
※1Lvで魔力自体が+6、知性が1Lvで2上がるので+4なので1Lvで10増える。
いや代わりに力と耐久が他の種族より上がらん(奇数レベルで1上がるだけ)のでバランスは取れてる……はず……
毛皮は毛をむしったあとで鞣すのでセルフ奪い合いにはならないよ。




