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5D!~トップゲーマー観察日記?~  作者: うしさん@似非南国
第一部 オープンベータ編
114/124

第94話 大きなお船でどんぶらこ!

 移動するよー。

 本日の3ログ目は、港町の神殿仮眠室からスタートだ。

 起きた途端にあっという間にアライアンスログ。皆早いな?!


 メレット::だいたい挨拶おわりましたか……

 ひまり::おはよー。

 サウル::おはよう諸君!だいたい揃ったかな?

 ディ::うちのが全員いるし大丈夫じゃね?

 ミュー::うちもそろったー。


 早めにログインして、喋るまでログ切ってるっぽいな、メレットさん。

 アンも似たようなことをしていると聞いてるし。


 全員揃ったとのことで、神殿を出て港に向かう。

 あ、レンタル騎乗場がある。冒険者組合の支部はないらしいのにね。


(おはよ~)

 ティトゥット君から念話がくる。そこにいるな?おはよ!


 サウル::レンタル乗り場があるな?

 玉兎::船で往復させてもらえれば、帰りは騎乗で戻れるね。

 ディ::仮眠室でログアウトして翌日に各自で帰還になりそうだがな。

 ひまり::目的達成にどのくらい時間がかかるかよね。

 天童::要リアルラックなんだぜ。


 港の話をして以降、地図には港のある場所が緑の点で表示されている。

 あれ、赤金鉱山の港、南部にもあるんだ。代々柑子との境目のとこ。

 って、あそこは河口だからない方がおかしいね?

 なお翡翠山茶や代々柑子の川の河口は滝だそうだ。港とか、無理。


 朝の港町には、人数こそ少ないけれど、働いている人たちがいる。

 港近くになると、露店もあって、おばちゃん達がお弁当を売り捌いている。


 ん?んんんんん?

 この香りは!!白いお米の気配がする!!

 そして屋台には、『名物おにぎり弁当』の文字が!!

 やった!おにぎり!つまり、お米がある!!!これはゲット一択だよ!!


 サウル::米だ!

 玉兎::ついにおにぎりと遭遇!

 ディ::俺ら全員分買えるかなあ?


「おばちゃーん!おにぎり弁当くださーい!!」

「あ、俺も!」

「この状況で買わない奴いるか?おらんだろ?」

「まとめるからちと待て。全員買うよな?」


 皆で口ぐちに喋りつつ屋台に迫りそうになったけど、どうせ全員買うよね!と、団体扱いで取りまとめることになりました。

 アラリダが買うと全員にお金と引き換えに分配できるシステムがあるらしいよ!


 おにぎり弁当は海苔の付いたおにぎり3つと、塩焼きの魚とごぼうと蓮根のきんぴらっぽいものがセットになった純和風のお弁当。

 地元の人が先に買っているのを見たら、おにぎりは竹の皮で包まれていて、魚ときんぴらは何かの葉を折って作った器に収まっていて、買うとそれらを合わせて小さな風呂敷で包んで、竹筒に入ったお茶と一緒に渡してくれる。

 風呂敷はお弁当代に含む、そうな。


「あいよー!団体さんだねえ、ちょっとだけ待ってくれたら準備するよー!」

「ありがとうございます!お米、この辺で作ってるんですか?」

「このあたりと王都の近隣、それに紫菖蒲や白銀百合でも作っているよ!」

「精米前の玄米って売ってますかねえ?南のほうでは、お米自体を見かけなくって」

「この町だと他所から来た人には売ってないねえ。菖蒲や百合なら売ってるかもだけど」


 翠玉茶花は水は豊富だけど、山がちで平地が少ないので耕作面積も少なくて、税として納める分と地元の人が消費する、そして加工してから売るものくらいのぶんしか生産してないんだって。


 アン::紫菖蒲で確認しましょうか。

 玉兎::南部に出回ってない時点で量は期待できない気もするね。

 ディ::試作分が手に入れば当面は問題ないさ。

 サウル::ベータ版だものな。製品版で入手経路が増えればいいが。

 ギュンタ::内容豊富過ぎて時々ベータなの忘れる。

 北斗::それな。

 アン::それにしても、白銀百合の町をちゃんと調べてないのは失敗でしたね。

 ディ::ここんとこFM巡りの通過地にしかしてなかったもんなあ。

 グレナ::あそこ百合の香りが強すぎて、あんまり長居したくないんだよね。


 あれ、グレナールさんは強い香りが苦手かあ。

 でも確かに花の姿が見えないのに、香りだけが強く印象に残る町なのは確かだね。


 幸い、おにぎりを握る時間待ちしただけで、お弁当は全員分買えた。

 兵隊さんが昨日のうちに、今日は客人がいっぱいいるからたくさん用意しとけ、って伝えてくれていたみたい!感謝だねえ!


 お弁当は代引きで収納にオートでしまわれたので、そのまま歩いて港に到着だ。


「お待ちしておりました!冒険者の皆様ですね!

 わたくし良仙船舶のリョウセンと申します!本日は紫菖蒲行きをご希望とのことですが」


 港で早速声をかけてきたのは、恰幅のいいおじさんだ。

 多分船主さんなんだろう。


「はい!おはようございます。少し普通より重い人を含む18名で紫菖蒲までお願いします!」

「かしこまりました。戻りはどうされますか?」

「あちらでの用事にかかる時間がまだ読めないので、現状未定ですね……」

「もし戻りもご用命いただけますなら、港から通信鳥を飛ばすことができますから、あちらの港の係員にお申しつけください」

「ありがとうございます!帰り予定が決まったらお知らせしますね!」


 交渉らしい交渉はないまま、話は進む。

 今回の渡船、行きは実はお金は兵隊さんたち持ちらしいんだ。

 我々自分で払いますよ、と言ったけど聞いてもらえなかった。


(そりゃあ自分らが矢面に立って、最悪死ぬかもしれん状況をひっくり返したんじゃ、そのくらいの礼はしたいということだろうよ)


 朔夜もそう言うのでね!

 でも帰りはちゃんとお金払うぞ!


 案内された船は、甲板の上に物を載せるタイプらしい、平たいイメージの貨物船だ。

 まあ普通の客船だとミケさん乗ったらバランス崩れて最悪ひっくり返るしな、多分。


「本当ならこんな船じゃなくて、ちゃんとした客船もあるんですがねえ」

「それだと乗れない人がいるんで……うちの都合なんで……気にしないでくださいね」

「すまねえなあ、客船だとうっかり沈めかねねえんだわ俺」

「……あんれまあ。確かに石像を運ぶならこっちの船ですが……喋る……動く……?」


 わあ、船主さんが宇宙猫。称号とか見えないとこうなるんだな?


 ミケ::久しぶりに新鮮な宇宙猫をみた

 藤古ふじこ::黄金桜の方がたはもう皆さま我々を見慣れてしまっておりますものね。

 ギュンタ::そういや石人って今何人いるの?

 ミケ::3人。俺とベルともうひとりレオレオって奴がいる

 ひまり::レオレオさんって会ったことないなあ多分。


 多分なのは、たまにバイトという名のクエストで噴水や神殿の彫像に紛れてるからだ。

 動いてないと、注目してプレイヤー判定しないと判らない!

 そして普段そこまで背景になる部分は注視しない!


 ミケ::レオーネ・レオーニから名前取ってるのに姿がヴェロッキオのダヴィデ

 玉兎::ローマ彫刻姿でミケランジェロから名前取った奴に言われたくないだろうなあ!

 ひまり::ベルさんもベルニーニから取ってるけど、あれミケランジェロのピエタよね?


 石人、そういう特性でも持ってるの?

 ……パーソナライズ種族だからなあ、ありそう。

 後で聞いたら、スクショサイトとかで情報を得たレオレオさんがミケさん達にネタを合わせたらしいんだけどね!



 貨物船は、のんびりと進む。

 船に乗ったら時間がかかるのはファイトファンシーでも同じだった。ホームポータル以外のショートカットは基本存在しないのはお約束ではある。

 もっとも、あちらだと実際に進んでいる距離よりは到着時間の方が早かった、そんな気はする。


 玉兎::海産物とかどうなっているのか。

 ひまり::おにぎりの具が貝の佃煮と煮魚ほぐした奴とあらめの煮物だって。

 サウル::茶色いな?

 ディ::醤油はあるってことか。

 アン::あらめは魚醤で炊いているようですよ。

 ギュンタ::梅干しないんだ……

 ディ::梅がまだ見つかってないんだよなあ!

 アン::材料さえあれば漬けられるんですけどねえ。


 アンファルはリアルでも梅干しと梅酒は毎年作ってるからね……お手のものだろうね……


 航路は波も穏やかで、時折遠くにトビウオやイルカっぽい生き物が飛び跳ねていたりする。

 グンカンカモメみたいなアクティブがいないかなあと少し心配だったけど、空を飛ぶのは浅葱菫でも見たアマツバメやユリカモメ、それにでっかいアルバトロスくらいだ。


「静かですねえ」

「この湾にはアクティブモンスターは出ないからねえ」

 なるほど納得。アクティブ居ないエリアかー。


 まだまだ時間がかかるというので、お弁当を船上で頂く。


 サウル::茶色くないのがいた。が、ツナとは違うんだな。

 ディ::煮魚って言っていたけど、潮煮とでもいうやつなのか。塩味だな。

 アン::でもいいおだしが効いています。美味しいですね。


「おう、嬢ちゃんらも屋台のおにぎり弁当か。あそこのカアチャンたちのおにぎりは絶品だろう?」

 皆でもぐもぐしてたら、船員さんに声をかけられた。人気屋台なんだな?


「はい!美味しいです!きんぴらもちょうどいいお味で」

「あそこは煮物が旨いんだよ!焼き魚はたまに塩っ気がきついがね!」


 そんな風に船員さんとも軽く交流しながら、紫菖蒲の港の一つ、イリスに着いたのはもう夕方だった。


 サウル::こりゃ神殿で一泊してまた明日のログインからだなあ。

 ディ::こればかりはしゃーなし。

 シング::明後日までなんてことにならないなら平気……

 ユー::ああ、リアル木曜ですか。多分大丈夫だと思うんですが。

 玉兎::予定があるのかい?

 シング::そう、病院行く日だから1ログくらい遅れる。検査で半日丸っと使うんだー。

 ひまり::平日なのにたいへん……

 シング::でも最近状態良くて、当分検査入院まではしなくていいからねー、楽なもん!


 玉兎:そのレベルの健康状態の人をアルファテスターにしてたのか……


 おもむろに玉兄さんがパーティチャットに切り替えてそんなことを言う。


 ひまり:小企業で人数が少ないのが一つ、ちょうど身内に非常条件テスターに出来る人がいたのが一つ、ってとこでは?

 アン:本人も全力で楽しんでおられるようですし、問題ないんじゃないですかね。


 そんな風に内緒話もしたりしながら、船員さん達にお礼を言って、紫菖蒲の港に上陸だ。


 このイリスの港にもちゃんと神殿はあるので、そちらの仮眠室におじゃまして本日はログアウト、おやすみなさーい。

 長いわりに買い物と移動で終わった。

 南北に長い湾をタテ移動するんで時間かかるんすよここ。

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