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第8話 短期ログアウトとお宿。

「冒険者組合近隣と商店街と職人街の宿はだいたいもう満杯らしいから、素泊まりか民宿だなあ」

 その場で相談したら、玉兎一号さんから残念な情報が。


 そりゃそうよね、一斉スタートなら、皆同じくらいの時間に活動限界が来るよね。


「クローズドでもクランハウスは作れるって情報だけだったから、オープンベータでも同じかなあ……あー、同じだってよ……未実装っ」

 ディギーさんもそう言うってことは宿不定かと思ったら、既に泊まりの予約は済んでるそうだ。

 流石クローズド組、要領判ってるな!


「おーい、玉兎ー!宿取れたぞー!雑魚寝だが!」

 そこに知らない声がして、現れたのは、見事な銀色の鱗に覆われた肌も綺麗な、どうみても爬虫類系獣人さんだ。尻尾がごっつくて長い。ワニっぽい?

 なになに……?「銀鱗転輪ぎんりんてんりん和邇わに族」?この人もレア種族組か!


「おう、月夜見つきよみか、助かる。だが雑魚寝宿だと女子は無理だな?」

「何?ナンパでもした?ってレア種の子達か。女子以前に、流石に二人以上追加は無理だよ!」

 そう答えた彼は、月夜見 北斗という名前だと名乗ってくれた。

 この人も呪符使い……符術師なんだって。持ち札は水と光と風だと言ってた。


「種族名にカタカナのノが入ってる種族、全部呪符使いかひょっとして」

 ディギーさんが呆れたような声だけど、否定できる要素が今のところ存在しない。


「その可能性は高いな。そろそろかなり眠いんで離脱する、またゲーム内明日あたりに」

 そう述べると玉兎さんはふわふわした歩き方で、月夜見さんに連れられて去っていった。


「できるかなー、お宿検索、女性向けー?」

 そしてミューさんが何か呟いたと思ったら、ちょっと顔が明るくなった。


「近くに三人まで泊まれるとこあるみたい。行ってみよう」

 おお!そんな検索もできるんだ?


(んー……?検索系技能じゃなあ、女エルフは商業系技能を2つ、最初から持っておる故、それじゃろうか)

 へえ?エルフって物語や他のゲームだと森の人イメージだけど、このゲームだとそうじゃないんだな……?


「検索ってキャラクター以外でもできるんですか」

 アンファルもそこが気になったらしくて質問している。


「このゲームのエルフ、なんか商人適正が高いみたいで、女性だと商業関連技能が二つランダムで付いてくるんですよ。男性だとゼロか一つらしいですけど」

 わたしのは【店舗検索】と【顧客判定】ですねー、とミューさんは軽く言うけど、後者が気のせいか、ぶっ壊れ技能な気配が……それって食いっぱぐれないってことよね?


 案内されたお宿は、女性エルフ経営の民宿で、泊り客も女性限定ってタイプだった。

 三人で部屋を取って、お金を余分に払ってお湯を貰って朔夜を洗って、一般魔法の〈微風〉で乾かしたら、皆でお布団に潜り込んで一旦ログアウトだ。


 朔夜はきちんと洗って乾かしたら、予想通りふっかふかのふわふわの真っ黒毛玉になりました!かわいい!

 同室ふたりにもベタ褒めされたので朔夜自身もすっかりご機嫌だよ!


 お肉を買ってもらったおかげで今日の宿代はありまーす!

 今日は時間が遅くて、そもそもご飯なしの素泊まりだからお安いんだけどね。



 このゲーム、リアル1時間がゲーム内のまるっと一日だけど、リアル45分を超えると、一回ログアウトして15分休憩する事が必須になっている。

 取らないと眠くなって、強制ログアウトで路上でぱたりとかしてしまうらしい。


 それやると住民に通報されちゃったりして名声が下がる予定なので、宿に泊まる習慣をつけてください、ってさ。


 つまりプレイヤーキャラである冒険者は一日6時間睡眠、健康的だな?

 そして割とガチめにお金を稼がねばならない予感。



 リアル側で一旦ヘッドセットを外して、軽くストレッチ。

 うん、やっぱり横になってプレイする方がよさそう。ソファだとちょっと首が疲れるわ……


 そうだ、ついでにトイレ行っとこうトイレ。プレイ中に尿意サインとか、見たくない!


「わ」

「ですよねー……」

 ……トイレ前で花枝さんとばったりしたのは仕様だね。考えることは同じ。


 トイレ前でちょっと譲り合いしたりして(流石にトイレは一つしかないんですよ、この家)、ちょっと時間は食ったけど、休憩時間自体はは充分余裕ね。


 さて再度ログイン!お宿で朝を迎えているはずね。


「おはよーございまーす」

「おっはよー」

「おはようございます……ふふっ」

「「あはははは」」

 ミューさんも最短休憩で戻って来たらしく、三人一斉に挨拶したのでみんなで爆笑した。


 こういうの、なんだかいいな!



 さて、ゲーム内二日目の朝です。

 お宿代金は500エンという破格のお安さだったので、お財布の中身は……ほぼ空でーす……

 朔夜洗うお湯に100エン払ったのでね!残り200エン!


 お湯が割高?そうかも。でも森が遠くて薪が高いんだよと言われたら納得するしかない。

 なにせ水を出すのは魔法で出来るけど、お湯は魔法じゃ出ないんだよねえ!


 一応初期状態の倍にはなってるので、マシな方でもあるけど……次の宿代がやばい気が!


「今日はどこから行く感じかなー?」

「私は木札返しに門までいって、そのまま兎でも狩ろうかと」

「それだったらパーティ組んでクエスト受けてから皆で行こう!

 生産職やるにも基礎体力は必要っていうか、正規に生産職やるには、レベル15まで上げないとだめみたいでね」

 聞かれたことに素直に返事をしたら、ミューさんから魅力的な提案。


「あー、そうらしいですね。やっぱり戦闘もちょっとやらないとだめかぁ」

(それもじゃが、我の朝飯と、あとスキルポイントの割り振りがまだではないか?)

 そして前のゲームでも戦闘職には後ろ向きだったアンファルがぼやいたところで、私限定で朔夜からツッコミが入った。


「二人はスキルポイントもう振った?」

「生産職予定だからもう振りました」

「生産もバトルも兼業したいんで保留してたけど、今ある分は振ろうかな」

 聞いてみたらアンファルは朝起きたところで振り分け済み、ミューさんはまだ。


「私もまだなんだよね。そもそも取れるものをまだ見て……わあ」

 スキル取得可能リストが、なんもない!!


(……あー、一部種族のスキル取得制限って、パーソナライズ種族の事であったか……)

 な、なんだってー?!


「あーレア種族だとスキル取得が遠いってタマが言ってたのホントなんだ」

 ミューさんからも情報が、って、玉兎一号さんのことタマって呼んでるのか。


「確かに力が全然伸びてないから、体力勝負系のスキルには縁遠そうだとは思ってたけどぉ……観察とか鑑定も出ないのか!」

「まあまあ、行動で生えるスキルもあるそうですから」

 流石にぼやいたら、アンファルからフォローが入った。確かにそう聞いたわね。


「そもそも符術師って完全後衛ですよね現状」

「多分?月夜見クンは元の種族の体力が余ってるっぽくて、殴ってもイケたって言ってましたけど」

 なんだとー!

 まああの銀色の鱗とガタイの良さで、ひまりちゃんみたいな力4とかだったら笑えないもんなあ。


 あとで聞いたら、ワニさんの月夜見北斗くん、私の力と敏捷、耐久と知性を入れ替えたようなステータスだった。

 素手だと力7以上ないとダメージ通らないんですってよ!


 3人でパーティを組んで、朝ごはんは朔夜共々、きのうNPCのドワーフおじさんたち相手にサンドイッチで荒稼ぎしたアンファルにおごってもらう。


 今日のお宿、朝ごはんもオプションだからね、しょうがないね。


「よーし、借りの分も稼ぐぞー」

「でも生産職x2と術師ってバランス悪いよね」

「そうかも……」

 そんな感じで会話しながら町の最初に入った門へ、まず私の木札を返しに行きます。


「おう、昨夜はちゃんと寝られたかい?」

「ありがとうございます!ちゃんと友達と泊まれました!」

 木札を受け取る門番のおじさんにニッコリ答えて、そのまま出ていこうとしたら、何故か出られなかった。


(あ、人数制限越えておるな。兎肉目当てで草原に大人数が繰り出したんじゃろう)

 わー、エリア人口制限とかあるのか!


「ああ、今日はこっちの草原に出ていく人がやたら多くてね。クエストなら他の門から出るといいよ」

 門番さんから教えられて、そうだ!クエスト受けてない!と慌てる私たち。


 どたばたしても、友達と一緒だと楽しいねえ!


 なおクエスト受注しに戻ったら、玉兎さんと北斗さんがセット売りしてたんで一緒に行くことになった。


「術師ばっかだな……?」

「俺体力あるから前衛っぽいことも初期エリアならできると思う」

「リンクとかなかったら平気かなあ」

 わいわいとパーティを組みなおしながら、ついでに依頼掲示をチェックする。


 なるほど、個人依頼で兎肉希望の料理人の卵がいっぱいいるから草原1エリアが大人気なのか。

 チュートリアルであそこに羽根兎が居るのはだいたい判ってるもんね。

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