プロローグ:助けを求める者と、救いの手を伸ばす者
夕暮れのユニシティ、寂れた商店街の裏路地。
一人の少女、キャサリン・テレスコープは帰路についていた。
そのとき、獣のような唸り声が聞こえた。
「……!」
キャサリンが振り向く。
路地の奥で、一人の青年が何か巨大な影に襲われていた。
黒い鋼のような身体、むき出しの牙。
それは完全に殺すための動きで、青年に飛びかかろうとしていた。
(あれは......まさか、ガーディアン!?)
「た、助けて……!」
青年が必死に手を伸ばす。
「ポチ、お願い!」
キャサリンの声と同時に、白い閃光が駆ける。
突如、白い狼のような獣が現れた。
このポチと呼ばれた狼は、その黒い獣の牙を弾き飛ばした。
地面に転がった青年は、呆然と彼女を見上げる。
「大丈夫ですか!?」
「な、何なんだ、あの化物は……!?」
青年は口を開きかけ、しかしすぐに唇を噛んだ。
その獣はまだ殺意を捨てていない。
黒い影が再び動き出す。
その前に、キャサリンが立ちふさがる。
「話はあとです!
ポチ、もう一度!」
白い獣と黒い獣。
白と黒の獣がぶつかり合い、火花と共に瓦礫が吹き飛ぶ。
(……どうしてガーディアンが......?)
キャサリンは確信する。
何か大きな事件が起きている。
そして、これがすべての始まりだった。