再会
気がつくと私は列車の中にいた。
「来てしまったんですね」
「……うん」
目の前には車掌らしき50代くらいの男性が立っていた。
「ねぇ、お父さん」
彼は返事をしない。
「さっき言ってた言葉は本当なの?」
「……」
「それとも嘘……?」
「嘘じゃない!!」
男性は初めて声を荒らげ叫んだ。
するとハッとしたかのように顔を上げるとまるで自分自身の言葉に怯えているかのように不安な瞳で私を見つめてきた。
「お父さん」
「き、来たらダメです!」
「お父さん」
「傷つけたくないッ」
ゆっくりと彼を抱き寄せ改めて触れた彼の体はとても冷たかった。
「寒かったんだね」
彼はビックリしていた。
「怖かったんだよね」
震えが伝わってくる。
「でも、もう大丈夫。大丈夫だから……泣いてもいんだよ?」
彼が言ってくれた言葉。私が言われたかったように彼も誰かに「大丈夫」って言って欲しかったんだ。
子供のように泣き叫ぶ彼は私の優しいお父さん。
「明里……ごめんッありがとう」
「うんッまたね、お父さん。大好きだよ」
公園で目が覚めた私はそのまま実家に帰宅した。
母にはこの事は秘密にしようと決めた。
そして渡された日記帳には父の葛藤や後悔、私たち二人への謝罪、最後に「“幸せになっていてほしい”」とゆう願いが書かれていた。
読むと鼻の奥がキンとして、視界が滲む。
私はこの日記に手紙で返事を書くことにした。
「お父さんへ。
あなたに夢の中で再会して色々な話をしてあなたの死を知って受け入れて改めて思いました。
人生は楽しい事ばかりではないし自分の言動で相手を傷つけてしまったり一生の友人や大切な人を失う事だってあります。
自己嫌悪に陥ってつらくて苦しくてもう消えてなくなってしまいたいと願った時だってあると思います。
ゆっくり自分のペースで生きていけたらいいのにね。
それでも、頑張ってる自分を認めてあげて「大丈夫」って言ってくれる誰かを見つけたいです。
その誰かを見つけて大切に出来れば私の人生はきっと今より素敵に見えると思うから。
だから私なりに頑張って生きていこうと思う。
どうか、そちらで見守っていてください。
あなたの娘、明里より。」
どうか、あなたに届きますように。