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2A daily destroyer juniorVSsenior

主人公VS後輩=恋愛攻防戦

 ◇

 朝。

 おれは用心深く辺りを見回しながら登校していた。おれと同じ生徒は苦笑か若しくは微笑みながらおれを見ていて、通り過ぎる人達は、おれを変な目で見つめていた。

 何故、おれが用心深く登校してるかって?その理由は――。もうすぐ来るだろうな。

「せ~ん~ぱ~い~~♪」

 ほら来た。おれはその声の方向に手を突き出し、

「おはようござぷぎゅる!?」

 そこに奴は勢い良く突っ込んで来て、見事鼻を打ち付けた。

 そいつは涙目になりながら、鼻を押さえ、言う。

「な、何するんですか~。先輩~」

 華葵架恋ハナアオイカレン

 おれの日常を崩す敵であり、後輩であり、そしておれに片想いしてると言って憚らない女である。


 華葵にひっつかれながら、おれは教室に入った。

「ひゅう♪ あっつあつだね御両人♪」

 入って来たおれ等を見て、冷やかすバカが一人。

 光村三珠ミツムラミタマ。剣道部部長で自称、二年のマドンナであり、一人称が「ボク」の性悪女。そしておれとは悪友であり、好敵手である。

 因みに一年のマドンナはおれの腰に引っ付いているはなあおい

「誰が熱々だ。この性悪女」

 からかうような口調の奴に冷静におれは言い返し、華葵は照れながら言った。

「聞きました? 聞きました? 先輩! 私達熱々のカップルなんだそうですよ! これはもう結婚するしか有りませんね!」

 無視。席に着こうとする。

 が、華葵が邪魔で座れない。

「離れろ」

「いーやーでーすー。私は先輩との愛を再確認する重要な作業をしてるんです! だからはーなーれーまーせーんー!」

「いいから離れろ。三珠。コイツを引き剥がしてクラスに送ってくれ」

「解ったよ。その代わり、後で何か奢ってよね?」

「ああ。奢ってやるから連れてけ」

 そう言うと、三珠は満面の笑みを浮かべて、奴を引っ剥がした。流石剣道部。

 連れ去られる奴を見ながら、おれは背もたれに寄り掛かり、一息吐いた。

そんなおれに話しかけてくる女が居た。

「大丈夫ですか?」

「……三浦ミウラか」

 三浦くるみ。クラスメイトであり、三珠の友人。

 心配そうな三浦の顔を見ていると、もう一人、話しかけてきた。

「なんや。痴話喧嘩かいな?」

「……菱谷ヒシタニ。何度言ったら解る。あれは痴話喧嘩じゃ無い」

 菱谷絵理ヒシタニ エリ。怪しげな似非関西弁を喋る女であり、三浦と三珠の友人。

 因みに、三珠と三浦と菱谷を合わせて、二年生ガールズトリオと呼ばれている。

 ふざけてると思ったのはおれだけではあるまい。この学校にはそんなふざけたあだ名を持つ奴が沢山いるのだ。

 破壊者とか防衛壁たいはかいしゃさいしゅうぼうえいへきとか狂科学者マッドサイエンティストとかそんな変なあだ名が。

「ほな、痴話喧嘩じゃ無いんならなんやねん」

 菱谷が言う。

「……何でも無い」

「そうかいな。んじゃあまだチャンスは有るわな」

「何のチャンスだ」

「別に何も有らへんわ」

「そうか。なら良い。まあ、有ったとしても聞かないがな」

「そうしてくれると助かるわ」


 昼休みまで華葵の襲撃は無かった。ホッとしながら弁当を食していると。

 ガガッと黒板の上にあるスピーカーから音が鳴り、声がした。

「あー、テステステス只今マイクのテスト中、です! 隣りの柿はよく客喰う柿だ!」

 怖いな、オイ。

 そう内心で突っ込みながら、おれは耳をそばだてる。

「えー、二年B組の……って、あ、ちょっと、マイク取らないで!」

 何か騒いでるようだ。

 そう思いながら茶を啜って

「せ・ん・ぱ~い~! 早く私に愛と愛の言葉、もしくは婚姻届プリーズ!」

 ……吹き出した。


 走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る。

 一刻も早く目的地に着くために。

 一刻も頭上を流れている声の主の息の根を止めるために。

 ――放送室と書かれたドアを蹴破るように開けた。

 最初に見えた光景はマイクを取り合っている、女とバカだった。

「あ、先輩~! 何でここに来たんですか~~? ……はっ、まさか私に愛の告白を!? キャー! やっと積年の想いが実を結んだんですね! ならば、早くプロポーズして下さいっ! すぐ式場と日程を考えまぷきょ!?」

 取り敢えずその腐った頭に思いっ切りチョップを入れた。

 奴の後ろにいる女を見ていると、事情を察したのかマイクのスイッチを切ってくれた。ナイス。おれは涙目になる奴を見る。

「うう~。痛いですよ、先輩~。これは愛の鞭ですか? それとも照れ隠しですか?」

「残念ながらどっちでもねぇよ。あるのはただの殺意だ」

「ああ、そうですか。照れ隠しなんですね。解りました!」

「聞けよ」

 おれはため息を吐き、奥の手を出すことにした。

「……あんまり迷惑掛けてると、美鈴さんに言うぞ」

 効果覿面。華葵はぶるぶる震え始めた。

「お、お姉ちゃんに……? うう、それだけはやめて下さい、先輩! お、お姉ちゃんがこんな事知ったら……。……チャーハン攻撃はやめてぇぇぇぇぇぇ!」

 ……覿面すぎたようだ。チャーハン攻撃ってなんだ? と思いながらおれは意識をとっぷりトリップさせている、華葵の肩を慌てて揺すり始める。

「は、華葵!? 眼を覚ませー!」



 華葵を保健室に送り届け、教室に戻る。

「やア、大変だったネ。君は本当に不幸の星に生まれてきたのかナ?」

 戻るとおれに話しかけてくる奴が居た。

 真っ黒な髪に青い目。丸い眼鏡。ニヤニヤと笑っている口元。

 ハロルド・ディスクレイス。

 日本人と外国人のハーフであり、おれの友人。そして、狂科学者マッドサイエンティストと言うあだ名を持つ。

 と言ってもコイツ言動がおかしいだけでまともな方だ

 一年に居る、破壊者と呼ばれる女はこの前二年の教室に恐れもせず、突貫してきやがったからな。

 そう思いながら、ハロルドの問いに答えを返す。

「そうかもな。いや、もしかしたら、前世のおれは金持ちだったのかもしれない」

「つまリ、前世で今世の運を使い果たしたト?」

「まあ、そうだな」

「ふム。それなら不運も納得出来ル」

冗談なんだから納得するなよ。

「まア、この話しは今度にしテ。実は先程、小耳に挟んだ噂があるんだガ」

「どんな噂だ?」

「華葵 架恋のファンクラブが近い内に君を襲撃するらしイ。忠告ダ。気を付けて置ケ」

 ファンクラブ。

 漫画みたいな話しだがこの学校は色色と変わってるので、突っ込まない。

「……穏やかじゃないな。まあ、忠告ありがとう。気を付けるよ」

「あア。そうすると良イ」

 ハロルドがそう言った時、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。



 放課後になった。華葵に見つからないように、そそくさと昇降口に直行。

 靴箱の中から、靴を取り出す。

 履きながら思う。

――華葵はいったい、おれのどこに惚れたのだろう。

 あいつに優しくした記憶は無い。むしろ普通に接していた。求愛されてからは尚更だ。

 靴を履き終わり、歩き出す。

――あいつと会って、2ヶ月未満。

 求愛されて、1ヶ月近く。

 普通、1ヶ月近くも冷たくされれば恋も冷めるはずなのに。

 諦めるはずなのに。

 なのに彼女は諦めない。

 おれはどうすれば良い。

 そんな事を考えながら、校門を通り過ぎる。

 校門前の車道を渡った所で後ろから声がした。

「せ、ん、ぱ、い~!」

 ……華葵だ。

「先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩~!」

「連呼しすぎだ!?」

 突っ込んだせいで、車道を渡り、突っ込んできた華葵の抱き付き攻撃というか、タックルを躱し損ね、激突。歩道に寝転がるように折り重なって倒れる。

 咳き込みながら言う。

「抱き付く時は周りを見ろ……」

「はひ? 解りました」

「じゃあ退け」

 華葵が退き、おれも起き上がり、立つ。

華葵を見る。

 何時もと変わらない様子。

 言うのは今しか無い。

「華葵」

「はい?」

 おれは華葵を見つめ、言った。

「話しがある」



 夕日が沈む河原にて。

 手頃な石におれ達は並んで座っていた。

「で? 先輩、お話しって何ですか?」

「ああ。単刀直入に言おう。……お前は何でおれの事が好きなんだ?」

 そう言うと、華葵は目をぱちくりした。

「やっだなぁ、先輩! 好きだからに決まってるじゃ無いですか!」

「……じゃあ、質問する。もし、おれが優しい性格だったら、お前はおれに惚れるのか?」

「解って無いですねー、先輩。私は先輩のそのドライな所が好きなんですよ」

「……ドライ?」

「若しくはツンツンした所が」

「……」

 おれは沈黙した。沈黙する以外にどうしろと?

 だが沈黙したままでは何も進まないので、おれは言葉を紡いだ。

「おれはお前の事は唯の後輩だと思っている」

「はい」

「それでお前はおれを好きだと言う」

「はい」

「……おれはどうすれば良いんだ?お前の求愛に答えるべきなのか。それとも嫌いだと答えるべきなのか」

「……どっちでも良いですよ」

「……?」

「どっちでも良いんです。私は先輩の事が好き。先輩は私の事が嫌い。それでも良いんです。どうすれば良いかは自分で考えて下さい。……まあ、そうやって考え抜いて出た結論が私の決別だとしても私は幻滅なんかしません。

むしろ今より愛してみせます」

 華葵がそう言うのをおれは馬鹿みたいに眺め、そして、笑い出した。

――なんだ。こんな簡単な事だったのか

 おれは自分の想いを即座に言葉に変える。

「……おれはお前を愛さない。」

「……はい」

「……けれど。……後輩としてなら可愛がってやっても良い。それがおれの結論だ」

「……はい! 結構ですよ先輩!」

 満面の笑みを浮かべる彼女から目を逸らし、おれは夕焼け空を眺める。

 華葵に何か買ってやろうと思いながら。



 ◆

 ……彼らに見えないようにこっそりとその様子を見ながら、ボクは隣のハロルドに話しかける。

「上手くいったみたいだね」

「あア、そのようだナ。……しかシ」

 そう言いながら、ハロルドは足下に自然を向ける。

「人の恋路を邪魔する奴らハ、馬に蹴られて死んでしまえと言う諺があるガ……。」

 ハロルドの足下にいるのはゴミといっても差し支えの無い程、ボロボロになった、人間だった。

 何もハロルドの足下に限らない。この辺りの土手は人が文字通り死屍累々と倒れている。華葵 架恋ファンクラブの皆様方である。大半はボクが木刀で叩きのめし、残りは奴が、スタンガンで気絶させました。がっしょ~。

「これハ、やりすぎなんじゃないカ?」

「ん~。そうかも。でも恋路を邪魔しようとしたんだし、むしろこの程度ですんだ方に感謝して?」

「まア、剣道部部長であル、お前の技を食らってこの程度で済んだのは確かに奇跡だガ……。それでもやりすぎダ」

「ん~まあどちらにしたってやっちゃったモンはしょうがないじゃん?」

そう言ってボクは伸びをする。

「……あ~、お腹空いた~。ねぇどっかのレストランに入らない?」

「まア、賛成だナ。但し今僕は金欠だかラ、お前が奢レ」

「せ、せめてワリカンにしてくれない?」

「断ル」

「ええ~。なんでだよう」

 そう言い争いながらボク達は土手を去った。



恒例の登場人物紹介。


柊木ヒイラギ マコト

日向高校二年生

やや、ツンデレ?

よくよく見てみると名前を呼ばれてない可哀想な主人公。


華葵ハナアオイ 架恋カレン

日向高校一年生

日向高校一年生1のマドンナ。信にデレデレのラブラブである。実はラブラブな理由は過去にあるそうなのだが、めんどくさいので略。

姉である華葵 美鈴が苦手。


光村ミツムラ 三珠ミタマ

日向高校二年生

剣道部部長であり強い。二年生ガールズトリオのリーダー格。結構暗躍した。ハロルドとは良いコンビである。信と華葵の関係を応援している。

初期の名前はタマキだった。


三浦ミウラくるみ

日向高校二年生

大人しい性格で、二年生ガールズトリオのブレーキ役。

最初にしか登場しなかった。おとなしい性格。


菱谷ヒシタニ 絵理エリ

日向高校二年生

似非関西弁を喋る。二年生ガールズトリオの火付け役。


ハロルド・ディスクレイス

日向高校二年生

語尾が必ずカタカナになる、狂科学者マッドサイエンティスト。武器はスタンガンであり、常に2つ持っている。

信と華葵を応援している。


書き直しました。


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