9Cクリスマス・カプリチオ〈上〉
祝、PV7000以上、ユニーク3000以上! 来てくれた人に感謝をしつつ、頑張ろうと思うよ。
今回は視点切り替えを重視してるので一人一人の視点が短いんだべさ。ついでに小説も五千字未満なのさ。その代わり付録が2つあるんだぜ。口調が変わるのには突っ込まないんで欲しいんだ。
12月25日未明。
◇気狂い視点
「等々力将吾だな?」
歩道橋の上。そこで走る車を見ている男にオレは言った。包帯を頭に巻いた男は血にまみれた服をたなびかせながら、オレを見る。そして言った。
「……だったらなんだ?」
「殺す」
迅速に答え、オレはナイフの切っ先を等々力に向ける。等々力は歯をむき出しにして笑った。
「……ヒャハハハハ! 殺す!? 殺すだってぇ!? ヒャハハハハ! やってみろよ! ……俺を捕まえれたらな!」
そう言って、歩道橋の手すりを乗り越え、落ちる等々力。着地する場所にはトラック。
軽い音を立ててトラックの上に等々力は着地した。そしてこっちを見てにやりと嗤う。
「――チッ」
舌打ちし、オレはナイフをしまう。今追った所で無駄だ。追ったらあいつは事故を起こし足止めするだろう。とりあえず、コートのポケットからいちごミルクを取り出す。
「確かあのトラック……日向市行きって書かれてたな」
12月25日朝
◇柊木信視点
日向市西。閑散とした住宅街の路地で、俺は華葵と戦っていた。
「先輩! 早く私に愛の接吻を!」
「誰がするか!」
「じゃあ愛の抱擁を!」
「無論、拒否だ!」
「ええ!? 私と先輩は「好きですっ!」と言えば、「じゃあ結婚しよう!」って言う仲でしょう!?」
「……言わねえよ」
無茶振り過ぎる華葵の言葉に突っ込み、俺はため息を吐いた。
「……大体なんで俺はお前と一緒に歩いているんだ?」
「それは勿論、デートに決まってます!」
「……デートっても昨日お前が強引に言った事だけどな」
……まあそれに付き合う俺も俺だが。
再度ため息を吐いて、俺は歩き出す。
とりあえず、日向広場にでも行くか。
◇日向日向視点
反対側の歩道に、華っちと柊木先輩が並んで歩いて居た。一瞬、声をかけようと思ったけど止める。人の恋路を邪魔する馬鹿は馬と鹿に蹴られてアンドロメダ星雲にでも行ってしまえってお母さんが言ってたし。
「……で、どこに行くんだ、姉さん」
「ん?」
あたし達とは反対の方向を歩く華っちと柊木先輩を見ているとマイブラザーこと氷司がそう聞いてきた。デフォルトされたパンダの顔がプリントされたニット帽を被り直しながらあたしは言う。
「ん~言って無かったっけ? 親友の家」
「姉さんの友達?」
「うん。四季って言うんだ。なんか風邪引いちゃったらしくてね。だからちょっと見舞いに」
「……とりあえずその人の安泰を祈る」
「あれ? どうして?」
◇百棟弧赤視点
「……えーっと。どこに行くんだっけ、メリー」
可愛らしくデフォルメされたパンダの顔が目立つニット帽を被った女の人が、灰色のマフラーをした男の人に何か言っているのを車道を挟んで見つつ、僕は縁と話しているメリーに聞いた。
「む? 言って無かったか?」
くるりとメリーが縁から僕に顔を向ける。
「うん。のんびり寝ている所を、さっさと着替えろー! とか言って腹にダイビングした縁に起こされて、言われるままに厚着して今現在に至るんだ。だから今現在お腹が空いてる」
「む。すまん。……妹殿。もう少しまともな起こし方は無いのか?」
「あれが一番面白、いや有効なんだぜ」
「……今、面白いって言いかけなかった? 縁」
「き、きのせいだぜ」
「……まあいいや。で、どこに行くんだっけ?」
「日向デパートだ」
「日向デパート? 何かイベントでもあるの?」
「うむ。世界のスイーツフェアが開催されているそうだ」
「ふうん。まあとりあえず、まずはどっかの喫茶店に行こう。腹が減っては戦は出来ぬ、って言うし」
「それもそうだな」
「わかったぜー!」
○
「……で? どうするのさ。これから」
時を同じくして日向市南。開店したオープンカフェにて。
カルボナーラを巻きつけたフォークを真正面のノワールに突きつけ、ルージュは言った。
「……しばらくは様子を見る。下手に動いたら払魔師に見つかってしまうからな」
「そう言ってもう1ヶ月以上じゃん」
カルボナーラを食べながら反論するルージュ。
「仕方がないだろう。あちらは一人とはいえ払魔師だ。もうしばらく様子を見るのが無難と言える」
「……ならせめて魔力でも集めようよ」
「駄目だ。感づかれる恐れがある。それに。あの女がなんなのかまだ解ってない」
「あの女? ああ、あの夜、アタシたちの邪魔した女ね」
「ああ。あの女、普通の人間には無い物の気配がした。……何かは解らんが、警戒した方が良い。故に様子を見る。解ったな」
その言葉にルージュはしぶしぶ頷き、
「……解ったよ。様子を見れば良いんだね?」
むくれながらそう言い、カルボナーラを食べ終えた。そして明るい声で言う。
「ま、様子を見てるのもつまらないし、とりあえず人間の食事でも楽しも? ……えっと、すいません、このアラビアータって奴を一つ!」
「……ふむ。それもそうだな。よし、ではチョコパフェでも頼むか」
◇矢神統夜
食後のコーヒーを飲みながら俺は目の前に居る響歌の横顔を見る。響歌は赤毛の少女――キャロルの髪を真剣な表情で見つめ、――唐突に白い手袋に覆われた右手で、その髪を掠めるように薙いだ。
僅かに切れる赤。揺らいだ赤毛から見える僅かに傷がついた小さな角。それを見て響歌は顔をしかめる。
「……やっぱワタシじゃこの角は斬れない。気狂いの『断剣』なら話は別だろうけど……あいつの事だから髪ごと斬るだろうな」
「……どっちにしたってもうしばらくはキャロルの外出は無理か」
「そうだな……すまんキャロル」
「……」
かくん、と首を傾げるキャロル。
言葉が解らない……訳では無い。ただ単に喋れないだけだ。
首を傾げたままこっちを見るキャロルを眺め、俺は呟く。
「……やはり言葉は覚えさせた方が良いか」
「小学校には通わせないのか?」
「それはまだ検討中だ。校長のコネが有るから通わせる事は出来る。だがな……」
「馴染むかどうか解らない……か」
「ああ。言っちゃあ悪いがキャロルは人の形をした化け物だ。上手く学校生活を送れるかは解らない。だからまだ検討中なんだ」
「……ふむ。まあ、どっちにした所でやはり角はどうにかしなきゃな」
「まあな」
そう相槌を打ち、キャロルの頭を撫でてると、響歌が思い出したように聞いて来た。
「ところで華葵……だったかはどこ行った? 昨日の夜から帰ってきて無いけど」
「ん? ああ華葵ね……。あいつなら確か昨日の夜から今日の朝まで仕事らしいぞ」
「ふうん。バイト……ね。あの気性の荒い奴が働けるバイトってあるのか?」
「あるさ。あいつが働いている焼き鳥屋――極楽寵。お勧めは焼き鳥パラダイスだ」
「へえ。いつか行ってみるか」
「……本当にいつまで居座るつもりだ、響歌」
呆れながら俺は響歌にそう言った。
その傍でキャロルは不思議そうに首を傾げた。
◇美端西姫視点
「ったく、聖の奴め」
ぶつぶつと呟きながらあたしは歩く。その先には日向デパート。
なぜあたしがこんな寒い日に日向デパートに行こうとしているか。それは昨日の夜にさかのぼる。
☆ ジリリリリ
居間で寛いで居る最中、備え付けの電話が鳴った。
「……はい。美端ですが」
「……あ、姫? ワタクシだけど」
「聖?」
あたしは耳を疑った。
石堂聖。あたしの友人だ。今日から北の親戚にお邪魔していると言っていたけど……。
「何? 何か有ったの?」
「いえいえ、北線上異常無しよ。ただ、ね。姫に言い忘れたことが有って」
「言い忘れたこと?」
「うん。実は今日、にっしーに「姫がクリスマスプレゼントをあげるらしいよ」って言っちゃって。冗談だったんだけどにっしー、本気にしちゃってねー。訂正しようかなーと思ったけどもう出発しなきゃならなくなったから訂正出来なくなっちゃってさー。仕方ないから姫、にっしーにクリスマスプレゼントよろしく! お詫びに今度日向デパートにあるbaroqueのスペシャルケーキ奢るから。じゃ!」
「え、ちょっ、ま――」
がちゃ。つーつー。
あたしの静止も虚しく、通話は途切れた。
「……さて、どうしようかなあ」
見えてきたデパートを前にあたしは呟く。あいつが好きな物って何が有ったか。……や、まずあいつ自分の事はほとんど話さなかった。
……仕方ない。デパートを散策して決めるか。
◇華葵美鈴
「……ふう。やっと解放された。全く。店長の奴め。こんな時間になるまで突き合わせやがって……」
日向広場。中央の噴水を眺めながら奇怪なオブジェに挟まれたベンチに座り、オレは呟く。自販機で買った缶コーヒーを両手で弄びながらさて、どう過ごすか、と考える。昨日たっぷり昼寝したため、眠くはない。
しばらくコーヒーを弄ぶ。仁の喫茶店にでも行くか。確か今日はなんかのキャンペーンをやっているらしいし、と考えをまとめ、ようやくコーヒーが普通に持てる熱さになったのでプルタブを上げる。
口元にコーヒーを運んだ所で、不意に殺意を感じた。
殺意の先に視線を巡らす。自販機のそばに怪我でもしたのか、頭に包帯を巻いた男が居た。
男はゆっくりと茶色のジャケットのポケットに手を伸ばす。
強まる殺意。
男がポケットから手を抜く。その手には光る物。オレはそれを視認し――。
手に持っていた缶コーヒーをぶん投げた。
○
響く轟音。当たりにまき散らされるネジや金属片。
投げられた何かによって壊れた自販機を横目に男――殺人鬼、等々力 将吾は何かが飛来した方を見る。
そこに居たのは一人の修羅。
ざわめく周囲を後目に憤怒の表情でその男は言う。
「……テメエの所為でよお」
がしり、と男の右手がベンチのそばの奇怪なオブジェを掴む。みしり、と何かが軋む音。
なんの音だ、と周囲が思う間も無く、
「テメエの所為で、コーヒーが無駄になったじゃねえかああああぁぁぁ!」
根元がコンクリートで埋まっていた筈のオブジェを男は等々力に向かってぶん投げた。
クリスマスカプリチオ〈中〉につづく。
★★付録~これからの登場人物について~★★
……重大な事実が判明しました。
8→9番外までのにちひにに登場した人物の合計が……75人以上になってたのです。そしてこれからも増えます。このままでは読者様も自分も混乱します。
だから今回、登場しない人物、登場するか解らない人物もしくは名前のみ、登場する人物、メイン、に分けようと思います。ちなみに登場した人物の合計にはモブ、死んだ人、名前のみも入ってます。
では、登場した順にまずは登場しない人物を発表しましょう。ちなみに死んでる人や捕まった人、には(故)や(死)や(補)などが付け加えてあります。あ、疑問などは感想でお願い申し上げます。
●登場しない
1B 少年
3A 不良ズ(名前のみ)
3B 異形(死)
4B 狼男(死)、瑞舟 将門&瑞舟 真由(故)
5C 文化祭荒らし(補)、ロボ
6B コンビニ強盗(補)
7B 悪霊(死)
8B 化け物♀(死)
○解らない
2A 華葵ファンクラブ
5C 詐欺師、ミハエル、松平ズ、門川(名前のみ)、松平 門人
◆登場する
登場しない、解らない、主要人物以外の予定です。
◇主要人物
◇華葵 美鈴
◇柊木 信
◇美端 西姫
◇神社 仁
◇百棟 弧赤
◇八崎 京仁
◇矢神 統夜
◇御手洗 断悟
XXX登場予定(変動有り)XXX
草薙 樟葉、稲荷 群葉、ロウ、グリュウ・レインレイテイア、羽対 一葉、ユウ
……大体こんな物ですね。どうにか70人以下にはなりました。……え? 最後に変な物が有った? それは多分、幻覚か見間違いか気のせいかもしくは伏線です。
その二
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽仮想倶楽部の成り立ち
二年の春。唐崎がふと部活を創ろうと思い立つ。名前はなんとなくで仮想倶楽部。
だが、許可を取れず断念。仕方ないので非公認に作ろうと決意。そのために部員集めを開始。
とりあえず昔の事を盾に、郡山を強制入部。
部活を作るのに必要な最低人数は四人。変人で名を轟かす唐崎に友人などいないため、無愛想だが少なからず友人が居る郡山に部員集めを命令。郡山、幼稚園の頃の恥ずかしい写真を破棄する事を条件に、命令を実行する。
まず郡山は友人であるぴよりを勧誘。ぴよりは面白そうと言ってあっさり入部。
他に当てが無いため郡山は、ぴよりに任務を引き継がせ、帰宅。
ぴよりは何を思ったか、廊下に(鳥を捕まえる奴)を設置。
何故か通りすがりの壱木がそれに引っかかる。
隣に居た御手洗がそれに突っ込む。
ぴより、菓子を餌に壱木を攫う。
あっさりと攫われた壱木に突っ込みながら御手洗も追う。
紆余曲折あって、ぴより屋上に逃げ込む。
何故かそこに唐崎が居た。
郡山によってぴよりが入部している事を知っていた唐崎は丁度良いと壱木とぴよりを追ってきた、御手洗を勧誘。
壱木は一旦は断るが、菓子に釣られて入部。
御手洗は直感的にこの男、放っておくと何かやらかしそうだ、と思い入部。
それによって仮想倶楽部誕生。空き部屋が無かったため屋上をたまり場に。必然的に雨の日は活動無し。
三年生の秋には春日も入部。屋上はある意味で賑わう。
ちなみに仮想倶楽部は三年生だけで成り立っているため、三年生が卒業すると自動的に消滅。つまり仮想倶楽部は春まで。
以上終了。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ 次回予告。
華葵 美鈴VS等々力 将吾。
奇術師VS気狂い
柊木 信VS華葵父
矢神 統夜VS華葵父
メリーVSお菓子の山
美端 西姫VSクリスマスプレゼント
the next title
「クリスマス・カプリチオ〈中〉」
さて、どうしよう。




