8→9番外クリスマスイブの酔っ払い上村さんとクールビューティー仲村君。
「仲村ぁ~」
日向市南。焼鳥屋、極楽寵。カウンターの端っこでスーツ姿の男女が飲んでいた。
酔いで顔を赤くしながら女は自分と同じ量を飲んでいるにも関わらず、素面の男――仲村にやや呂律の回らない舌で言う。
「……明日はクリスマスよねぇい」
「はい、そうですね上村さん」
無表情でそっけなく相槌を打つ仲村。
「クリスマス。それぇは恋人がイチャイチャしてバカップルはより一層イチャイチャする日よねぇい」
「まあ。そうですね」
表情を変えず、やっぱりそっけなく相槌を打つ仲村。そのまるっきり適当な返答に女――上村は机に突っ伏し、嘆く。
「なにょに……なにょに……! どぉぉぉぉしてあたしには恋人が居ないのよ~! 同僚の辿理もこの前付き合い始めたというのに~!」
「さあ。この前別れたからじゃないですか。と言うかそれくらいしか考えられません」
「うう~。……なんであたしの部下はこんにゃに冷徹なのよ~」
「運命だからです」
「そんなときめかない運命は嫌~!」
「と言うかそんなに嘆くのなら別れなければ良かったじゃないですか」
仲村が無表情でそう言うと上村はやや潤んだ眼で、きっ、と仲村を睨みつけた。そして言う。
「だってだって! アイツ、あたしの胸を――」
「はい、ストップ。衆人環視の中、堂々とそんな事言わないでください。品性が疑われます」
生々しい事を言おうとした上村の言葉を、仲村は素早く遮る。
「疑われたって構わないもんっ!」
そう言ってジョッキに入ったビールを飲み干し、赤ら顔で上村は叫ぶ。
「どーせあたしなんかを好きになる奴にゃんかにろくな奴は居にゃいんだし」
「……そうですか」
「……でぇ? あたし、あんたと何の話してたんだっけぇ?」
「胸の話です」
「あー、ひょうひょう。アイツったら高校時代、ちょっぴりキュボンの上村と呼ばれたあたしのおっぱいを――」
「だからストップです、上村さん。と言うかなんですかちょっぴりキュボンて。ボンキュボンじゃないんですか?」
「――……ハッ! そう言えば!」
「……気づいてなかったんですか」
仲村が呆れたように言う。上村はぐいっと仲村の手にあるジョッキをぶんどり、呷った。そして口元を拭い、叫ぶ。
「……も~! 今日はアルコール中毒になるまで呑んでやる~!」
「止めてください。明日の仕事に支障が出ますよ」
「構わないもん! 親父っさ~ん! 生ビールもう一杯! 後ついでに焼き鳥パラダイスも~!」
「あいよ! 美鈴~、三番席のお客さんに焼き鳥パラダイス一丁!」
「あいよ。ところで店長。前々から思ってたんだが焼き鳥パラダイスってネーミング、おかしくねえか?」
「細かいこたあ気にすんな! ほらほら。さっさと行け」
「――来年はもっと良いオトコを見つけてやる~!」
なみなみと生ビールが入ったジョッキを掲げ、宣言する上村。その横で仲村はぼそりと呟く。
「横に居るじゃないですか。……っといけないいけない。つい本音が。どうやら飲みすぎたようですね」
この2人はちょいキャラですぜ。なので登場は未定。




