1A 日常の放課後
よろしければみてください。
○
「だーかーらー! 良いじゃん別に!」
放課後の教室。外を橙色の光が包む時刻。
その橙の光に照らされ学校内で破壊者と恐れられている少女は言う。その言葉に反論を返す声が一つ。
「良くねえ! 絶対の絶対に却下だ!」
反論の声を上げたのは彼女の奇行を抑制しているため、対破壊者最終防衛壁などと呼ばれている、少年である。
「なーんーでーよー!」
「……よーし、今からシミュレーションして見よう。お前聴かれる人、オレ聴く人。OK?」
「OK!」
「よーし。じゃ、行くぞ……。あなたは恋人が居ますか? もしくは恋人が居た事はありましたか?」
「居ません! 幼なじみ何だしそれぐらい解ってるでしょ?」
「……ああ解ってたさ! こういうコトになるのはな!」
「じゃあ何でやったの?」
「もしかしたら違う答えを言ってくれるかなぁ、って思ったんだよ。淡い思いだったけどな! ……後幼なじみなんかじゃねぇ。ただの腐れ縁、つー呪いだ」
吐き捨てるように言い放つ少年に対し、少女は言う。
「……で、聞いてきていい?」
「無論駄目だ」
「だからなんでよー!」
「駄目な物は駄目だ。駄目駄目で駄目駄目でもう何回駄目って言ったんだろうってくらい駄目」
「ぷー。……あ、そうだ、これで決めようよ」
「何でだ? ジャンケンとかか?」
「何故かワタシとアンタがやると必ず引き分けになるのよねー。そうじゃなくてあれ、社会主義的な決め方」
少女の言葉に少年は首を傾げる。
「社会主義的な決め方……もしかして多数決か」
「そう! それそれ、多数決!」
びしりと少女が人差し指を少年に突きつける。
「人に指向けちゃいけないって母さんがに教わっただろ。……まあ、お前にしちゃあ良いアイデアだな。ただし、俺が勝ったら諦めろよ?」
「良いわよ。その代わり、ワタシが勝ったら、止めないでよ?」
「ああ」
少年が言葉と共に頷く。
「じゃ、いっせーのーで、聞くとしよう」
「「……いっせーのーで、」」
「アンタはどう思う?」
「お前はこれについてなんか意見は?」
◇
――……同時に振り返って私に尋ねた。
その問いに私は溜め息と共に答えた。
「どうもこうも思わない」
「なんでよー」
「なんでだよ」
途端に起こるブーイング。
……全く。こういう時にだけ仲良くシンクロする。……それに。彼らは傍観すると云う私の在り方を知っている筈だ。なのに何かあるとことごとく私に意見を求める。
……本当、困る。
再度溜め息を吐き、私はこのブーイングを止める事にした。
「そんな事より、良いのか。もう、こんな時間だぞ?」
壁に掛けられた時計を指差す。彼らはそこに示された時刻を見て騒ぎ出した。
「……! やっっべ!もうこんな時間じゃねぇか!」
「あー! お母さんに買い物頼まれてたんだっけ!」
大慌てで支度をする彼らを尻目に、私は鞄を持って立ち上がった。歩き出すと、彼らも支度し終えたようで慌て立ち上がり、私を追い越して廊下に出て行く。……必然的に鍵をかけるのが私になってしまった。まあ、何時もの事なので気にしないが。
黒板の横にある鍵を取ってから、廊下に出る。
ドアを閉め、鍵をかける。
廊下は窓からの橙色で幻想的に照らされていた。
廊下の先で彼らが私に向かって、手を振っている。
私は口元を緩め、彼らへと歩き出した。
登場人物紹介
彼女。
何でも知りたがるため、学校内では破壊者と呼ばれている。
多分B型。
彼。
何でも知りたがる、彼女を常に抑制しているため『対破壊者最終防衛壁』と呼ばれている。
多分A型。
私。
傍観者。
性別不詳。
多分AB型。




