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5C=Ⅲバンクウィット〈文化祭、波乱〔一日目〕〉

大っっっ変遅くなりました! その上あまり出来は良くない……。

 ~松平マツダイラ視点~

 日向高校に着いて、数分後。

 オレは木元キモト小森コモリの二人を引き連れて歩いていた。石原イシハラは木元と喧嘩になるため、別行動。乃崖ノガイは石原に連れ攫われた。澄代スミシロは別行動。何か用があるらしい。

「……で? どこに行く」

 木元がオレに聞く。オレは暫し思案し、言った。

「あー……そうだなあ。喫茶店……はまだ昼時じゃないから後にまわして、……射的辺りでも回るか? お前射的得意だろ?」

「得意だな。腕が鳴る」

「……鳴るのはお前だけだけどな。オレはそういうシューティング系は全然駄目なんでね」

「あたしも無理だね。ああいうちまちました奴のどこが面白いのかさっぱり全然解らない」

「意外だな。小森は性格上納得出来るが、松平も苦手だとは。……ふむ。ならば俺一人で行こう」

「あー。そうしよう。……すまんな」

「別にいい。俺は俺がしたい事をするだけだからな」

 そう言って木元はオレ達に背を向け歩き出した。

「んー。和人カズヒト。ああいう男の後ろ姿はかっこいいと思わないかい?」

「……向かっている先が射的じゃなければな」



 ~華葵美鈴ハナアオイ ミスズ視点~

 オレの事を構わずどんどん階段を上るアイツ。オレはその背後に追従する。

「ここだな……!」

 階段を上りきったオレの目の前で奴は二年C組のドアをガラリと乱暴に開けた。

ずんずんと教室に入るアイツ。少し遅れてオレも入る。

「い、いらっしゃいませ……ピョン」

 珍妙な出迎えの言葉。どうやらウサギ耳をつけたドレスの少女が発した台詞らしい。

 じろりと見ると少女は赤い顔でキャー叫び、とどこかに走り去った。

 ……そんなに恥ずかしいならやらなければいいんじゃないか?

 そう思ったがまあ、当事者にも事情があるのだろうと自分を納得させ、喫茶店となった教室に入る。

 アイツを探すと、アイツはカウンターのような場所に並んでいた。

 こういう時だけは行動が早いと思いながらアイツの隣にオレも立つ。

 オレが隣に来て数秒後、列の先頭に着くとナースの服装をした女が出迎えた。

 何故にナース? 先ほどの少女はウサギ耳だったよな? そう思い周囲を見回して納得する。

 要は制服でなければ何でもいいのだ。

 その証拠に従業員らしき生徒は絶対に制服を着ていない。

 納得し、視線を前に戻すとアイツがナース服の従業員に注文していた。

「コーヒー2つ、サンドイッチは……ホットサンドを一皿頼む」

「かしこまりました。注文を繰り返します。コーヒー2つにホットサンドですね。コーヒーに砂糖、ミルクは付けますか?」

「いらん。ブラックで淹れてくれ」

「……かしこまりました。少々お待ち下さい」

 丁寧に頭を下げ、ナース服の少女は去った。

 手持ち無沙汰なオレは再び周囲を見回す。

「……お」

 見回した周囲に見知った顔を見つけた。

ひとまずアイツに一言いう。

「悪い、ジン。ちょっと外出る」

「別に構わないが……どうした?」

「妹に会ってくる」



 華葵架恋ハナアオイ カレン視点

華葵架恋です。今私は混乱しています。

なぜなら目の前にお姉ちゃんがいるからです。

 何故でしょう。何故か先程前担当のウサ耳の羽美ハネミさんがどこかに逃げ出したため、もう少し後の出番だった私がいらっしゃいませーと言う役になっただけなのに。

「よお。三週間振り……か? 架恋」

「お、おおお姉ちゃん!? 何でこんな所にいるの!?」

「なんだそのツチノコを発見したような顔は。……ってこの例えは微妙だな。まあいいか」

「質問に答えてよお姉ちゃん! どうしてこんな所にいるの!?」

「こんな所とは失礼だね。仮にもお前が働いている所だろう。……で、どうしてオレが居るかだったな。その答えは簡単だ。オレはここのOGなんだ。来る理由はあっても来ない理由は無い。お前だって、柊木ヒイラギとか云う奴に付きまとうななどと言われない限りは付きまとうだろう?」

「う、ううー」

 反論出来ない……。

 いつもの言動や行動はがさつなのにどうして時たまこういう風に頭が回るんだろう……?

「あー……そんなことは置いとくぞ。今オレがお前に話しかけたのは連れのせいだ」

「連れ……? ……! 何、お姉ちゃん彼氏居たの!?」

「居ねえよ。恋人居ない歴=年齢だ。……で、まあ、アイツなんだが――今、緊急警報が鳴り始めた」

「は? 何言ってるの、お姉ちゃん? とうとう日本語も喋れなくなったの?」

「よし、お前がオレの事をどう思ってるか解ったからお礼に後でぶん殴る」

「やめてよ。お姉ちゃんの腕力は馬鹿としか言えない程に強いんだから。そのぐらい常識で解るよ、ね?」

「オレが常識だ。よってオレが殴りたいと思ったらオレだけ殴れる。オーケー?」

「全然OKじゃ無いというか、何その俺の物は俺の物、お前の物も俺の物、な考えのガキ大将的思考!? ていうか明らかに本題からずれてるよ! 緊急警報がどうしたの?」

「ああ、そうだったな。……ほら、あれがオレの連れだ」

 そういってお姉ちゃんは喫茶店になっている教室の中を親指で指した。指した先に居るのは席に座っている若い男の人……あれ?

「ねぇ、あれってもしかしてノクターンのマスター?」

「うん? 知っているのか?ああ、そうだ。アイツはノクターンのマスターをやっている奴だ」

「……ねえ。なんとなくこれからの展開が解ったんだけど」

「……そうか」

 私とお姉ちゃんがそう話している間にマスターさんはコーヒーを啜り、飲み干した。

 そして立ち上がり、足早に私とお姉ちゃんの傍を通り、キッチンとして使用している二年C組へ。

「……へ?」

 C組の引き戸が閉まる音を呆然と聞く私。

 お姉ちゃんが言う。

「あー……追いかけた方が良いぞ。仮にもお前、ウエイトレスなんだろ?」

「……解ってるわ」

 あっさり行った理由は2つ。

 一つはお姉ちゃんから逃げるための口実。

 2つめは先輩のため。

 私は引き戸を力強くガラリと開いた。



 ~木元視点~

 射的などのアクションが必要な物はすべて校門から入って左側に密集しているらしい。

 パンフレットを見て俺はそう思った。

「……」

 現在地点は日向高校校舎前。右手には何かに使うのかステージが見え、左には沢山の屋台が連なって見える。

 パンフレットを閉じ、ゆるゆると周囲を見回しながら歩く。

 数十秒後。

「……あれか?」

 俺は射的の屋台らしき物を見つけた。

 近づいて確信する。射的だ。

 更に近づき、俺はおかしな物を発見する。

 黒いポニーテールの、小学生ぐらいのガキがその前で騒いでいるのだ。

「むうう~! 当たらないですっ! これはなんですか、そうです何らかの陰謀を謀られたと考えましょうっ! そう、例えるならばお姉ちゃんによって楽しみに取って置いたプリンを食べられたくらいのレベルっ!」

 低いのか高いのか解らないな、その例え。

 そう思いながら俺は近づく。

 本音は近づきたくないのだが、ここは高校の祭り。射的が他に有るとは思えない。

 まあ、目を合わせなければ関わる事は無いだろうといつもの俺にしては楽観的な考えで射的の屋台に並ぶ。

 そしてすぐ、俺は自分の考えを悔やんだ。

 ――そうだ。いくら俺が目を合わしたくないと思っても、あっちがこっちの顔をのぞき込んだら何の意味も無い。

 そう思ったがもう何もかも遅い。

 完璧に目が合った。

 すぐさまガキは叫ぶ。

「むむむっ! そこの植物に例えると柳な青年っ! あなた、今琥金と目を合わせましたねっ!? お姉ちゃんの友人の、自称お姉ちゃんの生涯の伴侶さんが言うには、目が合った時点でそれは運命であり必然なのだそうですっ! つまり、あなたは琥金に運命りましたと言う事ですっ!」

 ……突っ込みたい所が盛り沢山だがスルーしよう。

 取り敢えず無視しようとしたのだが、

「むむっ!? スルーですか!? スルーするのならば琥金を倒してからにして下さい!」

 何故かこのガキは無視しても構わず俺に構ってきた。

 無視は無理……。ならば他の方法だ。物で釣る。

 屋台の中で椅子に座っている店番らしき男子に言う。

「何円だ?」

「え? あ、ええっと一回三百円です」

「そうか」

 まあ、安い方だろう。俺はそう納得し、銃を取った。

 無論本物の銃では無い。コルク栓式空気銃だ。

 構え、片目を閉じる。狙いは……そうだな、大きさも手頃だしあのうさぎのぬいぐるみにするか。

 神経を集中させる。……発射。

 パン、ドサッ。

 銃弾コルクは見事うさぎのぬいぐるみの顔面に当たった。後ろに倒れるうさぎ。

 店番の男子が驚いた表情を浮かべながら、俺が今し方打ち倒したうさぎを拾い、俺に渡す。

 俺はそれを横で呆然とした顔で見ていたガキに渡す。

「ほら」

「あ……ありがとうございます……ってハッ!」

 礼を言った後、何故か目を見開いたガキ。

「まさかあなた、琥金を物で釣ろうとしてますねっ! ふふん、あなたの考えはお見通しですっ! これは貰って置きますが釣られませんよっ!」

 ……。

 俺は押し黙る。

 ……押し黙る以外にどうリアクションをとればいいんだ? 貰って置くのかよって突っ込めば良いのか?

「あの……」

 悩む俺に射的の店番が話しかけてきた。

 面倒くさかったが無視されるのは気持ち良く無いので、俺は返答する事にした。

「なんだ?」

「後二回、打てますよ?」

 ……そういえばまだ射的の途中だった。



 ~森和シンワ視点~

 様々な人で溢れる喧噪の中、ぼくはアイスクリーム屋の前に居た。買いに来たわけじゃない。ただ単にモアがここを離れないのだ。一人で行ってもいいのだけど、そうしたらモアはぼくの名を言いながら探すだろうし、第一モアは一人にすると危険だ。

 ため息を吐き、無駄だと知りながらもモアに聞く。

「まだ決まらないんですか?」

「う~、もうちょっと待って! ……この抹茶はどんな味なのかしら。……食べてみたいわね。でもやっぱり濃厚クリームバニラも捨てられない……。このオレンジレモンも良さそう……あ、このティラミスクリームってどういう味かしら。これも気になるわ……」

 ……モアがこんな状態に陥るのはもう何度も見ている。

 勿論、陥るのは決まってアイスクリームを選んでいる時だけだけど。

 真剣に選んでいるモアを見てぼくは思った。

 ――ぼくがしもべになる前もモアはこういう風に悩んでいたのだろうか。

 そうであって欲しいと言う気持ちとそうでなければいいと言う気持ち。2つの矛盾した気持ちが心に浮かぶ。

 ぼくはゆるゆると首をふる。

 ――……らしくない考えだ。ぼくがどう思ったってモアはモアだ。それ以外の何物でも無い。

 思考を強制的に断ち切りぼくはまたモアを見る。……まだ悩んでいる様だ。再度ため息を吐き、ぼくは周囲を見渡す。

 焼きそば、わたあめ、たい焼き……。

 視線を一巡りさせ、最後にアイスクリーム屋の隣のクレープ屋。結構な行列が出来ている。

「あれ?」

 その列の中にぼくは異彩を放つ一人の少女を見つけた。

 ……否、見つけたと云うよりも感じたと云った方が正しいか?

 ぼくは静かに少女を観察する。

 髪は腰まである黒のロング。片目は何か怪我でもしているのか眼帯を着けている。眼帯を着けている以外は普通の可愛い少女だ。

 ……ただ――やはり何か違和感を感じる

 首を傾げていると、ようやくアイスクリームを決め終えたモアが近寄ってきた。

「待たせたわね。……どうしたの?」

「……えっと、モア。なんかあの人に違和感を感じませんか?」

「あの人?」

「……ほら、あそこのクレープ屋の列に並んでいる眼帯の女の子」

「……眼帯?」

 ぼくの言葉に何故か訝しげな表情になるモア。

 ぼくはそれを怪訝に思いながら、眼帯の少女の位置を示す。

「あ、今クレープ屋の一番先頭に行きました」

「……あの黒髪の?」

「あ、はい」

「……あー。なるほどね」

 どうやら見つけたらしく、何故か納得するモア。

「……知り合いですか?」

「まあね。見知った仲よ」

 見知った仲。つまり彼女も――。

「人じゃない、ってことですか」

「そ。彼女、メリーって言うんだけどね。彼女は死神よ」

「死神? 死神って……あの、鎌を持った、骸骨の?」

「うん、まあね。……しかしおかしいわね。メリーは仕事優先の人間の筈なのにこんな所で油を売ってるなんて。……どうしてかしら? ……ま、聞けば解るか」

 そういいながらモアはクレープを買い終えたらしい眼帯の少女に向かって歩き出した。少し迷い、ぼくも続く。



~メリー視点~

「久しぶりね。メリー」

 たった今買ったクレープを食そうとしたらいきなり声をかけられた。

 渋々私は声がかかった方を見る。そして眉を顰めた。

「……久しぶりだな。モア」

「そうね。……で、何してるの?」

「見て解らないのか? クレープを食べようとしている」

「それは解るけど」

「……ところで。後ろに居る怪しげな男は何者だ?」

「後ろ? ……ああ。紹介するわ。ワタシの僕」

 それを聞いて私は驚く。

「……ほう。僕とな。ようやくモアにも僕が出来たか」

 感慨深くそう呟き、私はクレープを齧る。

「……で? メリー。アンタ何しているの? 仕事は?」

「仕事か。今現在仕事など無い」

「仕事が無い? ……もしかしてアンタ死神を止めたの?」

「……近いと言えば近いな。死神を止めてなどいない。今も肩書きは死神だ。ただ――冥府めいふに帰っていないだけだ」

「帰っていない? どういう事よ」

「……少し言いにくい。モア。お前いつこの街を出ようと思っている?」

「え? ……えーっと冬になったらこの街を出ようと思っているわ」

「そうか。ならその時に話そう。……所でなんだ? そのアイスは」

「あ、これ?」

 私が先程から気になっていた事を言うと、モアは得意気な表情で言った。

「ふっふ、素晴らしいでしょう! アイスクリーム愛好家であるこのワタシが厳選したトリプルアイス! 一番上の濃厚クリームバニラ味! 次にその甘さを打ち消す抹茶味! 最後にその苦さを包み込む甘さで打ち消すティラミスクリーム! これぞ最高のアイスクリーム!」

 ……。

「で? アンタはなんなの?」

「クレープだ」

「……クレープ? ……クレープとはお子様ねメリー! あなたもアイスクリームを食べて大人になりなさい!」

「これから寒くなりそうな時期にアイスなど食えるか」

「など? 今アンタアイスクリームになどって言ったわね!」

「たかが食べ物であるアイスクリームになどと言ってなにが悪い」

「むきー! 勝負よ、メリー!」

「望む所だ」



灰谷ハイタニ視点~

「……む?」

 なにやら前方が騒がしいので私は焼きそばを作る手を中断し、前方を見た。

「……なんの騒ぎだ?」

 前方は何故か人集りが出来ていた。

黒木クロキ、これなんの騒ぎだ」

 しばらく眺めてみたが一向に原因が解らないので私は隣の黒木に聞く事にした。

「あ? ……なんだこりゃあ!?」

 どうやら彼もこの異状に気付いていなかったようだ。目を丸くして叫んでいる。

 その叫びに彼の隣にいる白木シラキも反応した。

「……ええ!? 何この人集り! わたしが激辛焼きそばを作っている間に一体何が!?」

「って、お前はお前で何してるんだよ!? 激辛!? 激辛ってまさかお前買い出しの奴らが間違って買ってきたあの激辛ソースを使ったのか!?」

「そうだよ?だって勿体無いじゃない」

「焼きそばにかける方が勿体無えよ! はいはいその焼きそばはゴミ箱に捨てる!」

「えー」

「白木、黒木、前」

「えーでもやーでも捨てろ。ん? なんだ灰谷、ってなんか俺達の前にも人が集まって来ている!? なんでだ!?」

「多分、小腹が空いたんじゃないかな? この通りでまともに飯になるのはここだけだから」

「いや、俺は理由を聞いてるんじゃない。この世の不条理を叫んでいるんだ!」

「ねえねえわたしもあの人集りに入っていい?」

「だめだ! ただでさえ俺達以外はサボタージュしてやがるのに余計な事をするとはいえお前が抜ければもうここの営業が成り立たない!」

「えー」

「……二人共言い争ってないで早く手を動かす」

「ああ」

「仕方ないな~。その代わり後で何か奢ってよ?」

「……この焼きそばならやるぞ」

「いらない」



 ~柊木ヒイラギ視点~

「ただいま。おーい調理組大丈夫か……ってなんだこりゃ」

 PM4時30分。

 調理室にしているB組を訪れた俺はそう呟いた。

 ぼうっと突っ立っていると華葵が俺を見つけ近づいてきた。

「……せんぱ~い、早く私に愛の言葉と婚姻届と指輪をプリーズぅぅぅぅ」

「いつもよりも元気が無いな華葵。馬鹿な事を言うのは変わらんが。……で、この状況はなんだ? なにやら台風が通過したような惨状だが。テロリストでも襲来したのか?」

「あー、テロリストと言うべきかは解らないけどある人が来ましてねー。急遽お料理教室が始まったんです~。わたしもその煽りを喰らいましたー」

「……親切な人も居たもんだな」

「……でー? 先輩は今まで何をしていたんですかー?」

「宣伝だよ」

「せ~ん~で~ん~?」

「そう宣伝。ほら俺今日こんな服装だから目立つだろ? だから宣伝に行ってたんだ。……まあ宣伝って言っても即興で作ったビラとかを配ったりしただけなんだけどな」

「そういえば先輩の服装は何故かタキシードでしたねー。わたし的にはスーツがいいんですけど。でー? 明日はどうするんですー?」

「明日はここで雑用だ」

「えー。そーんーなー。わたしの先輩とラブラブデート計画はどこいったんですかー!」

「最初からそんな計画無い」

「そんな~!」

 叫ぶ華葵。それを眺め俺は思い出した。

「そういえば華葵。今俺の手には食べ物が有るんだが」

「屋台で買ってきた物ですか?」

「違う。嫁入りした俺の姉が今日この学校に来たんだよ。廊下であった時に土産として貰った。ちょうどうちのクラスと手伝いの一年二人分有る。食べるか?」

 ちなみに俺が朝暗かった理由は苦手とする姉が来ると知ったからだ。華葵が頷き、言う。

「じゃあ頂きます」

 俺は持っていた紙袋から袋に包まれた饅頭マンジュウを華葵に渡す。

「おまんじゅうですか?」

「そうだ」

 袋を破り、饅頭を口に入れる華葵。

「美味しいですね。先輩に食べさせて貰えばもっと美味しくなるんですけど……」

「誰がするか」

 そう言い返しながら俺も袋を破り、饅頭を口にする。

 教室にいた外の奴らも目ざとく饅頭に気付いたらしく、俺等の周りに群がってきた。

 一気に騒がしくなる教室。

 その中で俺は栗栖を探していた。が、一向に見つからないので華葵に聞く。

「おい、栗栖知らんか?」

「せ、先輩がわたし以外の女の人の名前を呼ぶなんて……浮気!? 浮気なんですか!? ……そうですか。もうわたしなんかいらないと言うのですね? ならわたしはあなたを殺すわ。そしてわたしも死」

「すまん。お前に聞いたのは間違いだった」

 なんかおかしな方向に暴走し始めたのですぐさまその場を離れる。

 再度辺りを見回し栗栖を探す。

「栗栖? 居るか」

「居るけど」

「うお!?」

 無駄を承知の上で呟くと後ろから返答があった。

「な、なんで後ろに居るんだよ」

「ただ通りかかっただけ。で?何」

「あ、ああ。服装の事なんだが」

「制服の返却は明日よ」

「いや、そうじゃなくて。明日もこの服装で行くのはさすがに無理が有ると想うんだ。ほら模擬店とは言え俺達がやってるのは飲食業だ。服装は清潔にしたい」

「ふむ。そうね。……解ったわ。明日の服装も用意しておく」

「あ、ついでに今日帰る時用の服も頼む」

「……あのねえ。わたしを何だと思ってるの?」

「忍者擬きコスプレ集団のリーダー」

「その通り」

「……納得するのかよ。……あ、そうだ、先程廊下を歩いてたらなんか騒がしかったんだが。なんかあったのか?」

「む? ああ、わたしも又聞き故よくは知らないけど強盗騒ぎがあったらしいわよ」

「……強盗? 何を盗まれたんだ」

「売上金よ。当事者によると数瞬の隙をつかれたらしいわ」

「……大事件だな。で? 教師とかはどう言ってた?」

「しばらくは様子を見るらしいわ。その強盗が二日目にも来るとは限らないからね。と言うか来ない確率が高いわね」

「……ふうん。強盗……ねえ。ま、気を付けるか。情報提供ありがとな栗栖。帰りの服も頼むぞ」

「まかせて。全身全霊を込めて面白いのを選ぶわ!」

「……頼むから普通の格好にしてくれよ」

 俺はそう言い返し、なんか叫んでいる華葵を止めるため歩き出した。

 歩き出した瞬間、学校中にチャイムが鳴り響く。

 それは文化祭一日目の終わりを告げる鐘。

 鐘の音を聞きながら俺は明日を思い描く。

 誰もが楽しく過ごす文化祭。そこに強盗の影が浮き上がる。

 ――俺が願う事は唯一つ。

 文化祭が無事に終わる事だけだ。


……ううん。最後が納得いかない……。

まあ、それは書き直す事でカバーしましょう。

と言う訳でようやく最新しました文化祭!しかしまだこれで一日目何ですよ……どの行事に置いても盛り上がるのは一番最後です。竜頭蛇尾にならないように尻に火が付いた勢いで行きたい、なあ……。

ま、とりあえず一日目終了! 二日目に続く!

まあ適度に早く頑張る所存であります! たぬきつも無理矢理完結させたから一点集中出来そうだしね!

では!



次回予告

文化祭二日目。

詐欺師、小学生、吸血鬼、中学生など様々な人間が集う日向高校。

果たして文化祭は無事に終わるのか!

そして詐欺師はどこで登場するのか!

そして文化祭荒らしの目的とは!?


the next title

「セレモニー〈文化祭、波乱〔二日目〕〉」

最新、頑張るぜ!


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