表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/496

第71話 デルコが2人?

今日は朝から投稿します。

「うーなんか、気が乗らないなあ。やっぱ行かなきゃダメかな?」

 スヴァにユースラの実を投げてやりつつ、自分も頬張る。

 ユースラの実は直径2センチほどの赤い実だ。市場で日持ちしないからと安く売っていたのを買ったのだ。甘酸っぱくて、おやつ代わりにちょうどよい。

 さっき朝ごはんを食べたばかりだが、少し動くだけでも腹が減る。

 こまめに補給だ。

<だめだろう。保温筒も追加で頼んでいるのだ>

「だってよ。商業ギルドに登録なんて、俺した事ないし」

<デルコに任せておけば、間違いあるまい>

「そうなんだけどさ。俺は自分が欲しいだけだし」

<彼が折角しっかりしたものを作ってくれたのだ、それに報いる為にも、ちゃんとするべきだろう>

「なんだよ。やけに熱心だな」

<定期的に収入があるのはいいことだろう>

「なんだよ。お前お金のありがたみに目覚めたのか」

<この体になって、食べ物が上手いのだ。もっとたくさん、美味なるものを食べたい>

 スヴァが素直に白状する。

「そっか!」

 それを聞いて、ティティはテンションが上がった。

 まさに自分も同意見だからだ。

 やっぱ生きてるっていい。食はその代表格だ。

「うん! スヴァの言う通りかもな! 約束したし、デルんとこに行くか! そんで、ぱぱっとすましちまおう! コマルナ湖にも行かないとだしな」

 そうだ。デルコもいるし、きっと商品登録なんて、ぱぱっと済んでしまうに違いない。

 面倒なのは最初だけ。それで、定期的な収入が得られるなら、少しの我慢だ。

「よっしゃ! そうと決まれば、急ごうぜ!」

 ティティは気合をいれて駆け出した。

<単純で助かるな>

 スヴァの呟きは、ティティの耳には届かなかった。


「おはよう! デルおじ! 少し早いけどいいかな!?」

 ドリムル武器屋の扉を、勢いよく開ける。

「こら! もっと静かに入ってこんか! 扉が壊れるじゃろうが!」

「ごめん、ごめん。つい」

 勢いって大事だから、そのままに入ってしまった。

「何がついじゃ! 全く!」

「元気があっていいじゃないか、兄者」

「ふお?」

 デルコの後ろからもう一人デルコが出て来た。

「わしはデルコの弟で、マルコというよろしくな」

「マルコさんですね。初めまして、ティティルナです。ティティと呼んでください」

「じゃあ、わしの事もマルでいいぞ」

 デルより若干ではあるが優しめの顔しているが、ごついことには変わりない。

 マルおじのほうが性格は穏やかなようである。マルおじって感じじゃないな。

「それで、どうしてマルさんがいるんですか?」

「それは、商業ギルドに、商品登録するために決まっとろうが!」

「わしは、木工職人じゃから、ほれ、お前さんの保温筒の外側を作ったのさ」

「ああ、そっか」

「それにバンブールの皿もな、ほれ」

「うわあ」

 それはつるりとバンブールを節と節で切った皿。大人の手のひらを横に広げたくらいの長さ。横に切られたそれの上をぱかりと開くと、中が真っ白な白い皿だ。蓋の部分は、小さな杭できっちりと閉まるようになっている。

「これに米と具材をしこんで、蒸し器で蒸せば、いっぱしの売り物になるじゃろ。もう知り合いの屋台には話を付けてある」

「うわあ。すごいね。デルおじ! 早いよ!」

「兄者は儲かるとなれば、やる事が早いんじゃよ」

「がはは! 商機は逃さんぞ! さて、雑談はこのくらいにしていくぞ! 時間がもったいないからな!」

「了解! デルおじ頼りにしてるよ!」

 どうやら、すべてデルコ、マルコ兄弟に任せておけば、大丈夫そうだ。

 端にちょこっといれば、十分だろう。

 少しホッとしつつ、ティティは2人の後ろをついて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ