第65話 やっぱ行っとくか
「ふう。つっかれたぞ~」
テフラ湖の近くの林で明日使う枯れ木を拾ってから、ゴルデバの街へと戻って来た。
少し早い時間だ。日没までまだある。
「折角早く帰って来たんだから、夕飯を買って、宿でゆっくりしようぜ」
「賛成だが、折角薬草を取ったのだ、ギルドに寄ってみたらどうだ。依頼があるかもしれんぞ」
「えー」
「美味なるものを買うには金が必要だろう? 資金が心もとなくなって来てると言ってなかったか?」
「ぐ! そうなんだよ! わかったよ。夕飯買ったら、ギルドに寄ろう」
仕方がない。金がなければ、飯が食えぬのだ。
またも小腹が空いて来た。冒険者ギルドに行くなら、少しつまみ食いしないと持たない。
ティティは屋台が並ぶ下町広場へと足を向けた。
ああ、屋台もいいけど、店でも食べたいよな。
でも、チビだし、夜はやっぱり危険だ。
今は金を稼ぐのに、昼間は採集に励まなくてはならない。
ここを出るまでに、気軽に入れる店を見つけたいな。
そう思いつつ、下町広場までやって来た。
「さてと、まずは何を買うかな」
きょろりと屋台を見回す。そこら中から旨そうな匂いが漂っている。
「まずは焼き鳥から行くか」
小腹には丁度いい。
「お兄さん、それを10本ちょうだい」
「がはは! おめえさん、口が上手いな! 銀貨1枚だ!」
これも孤児院の教えだ。男も永遠のお兄さんなのだ。どんなにむさいおっさんでもだ。
「一本おまけしてやる!」
「ありがとう!」
鞄から出した、皿に11本入れてもらう。
そして路地横に身を寄せると、スヴァの専用皿を出して、2本ばらして入れてやる。
「ほら、お前も小腹が減っただろ?」
「うむ」
スヴァはすぐに食いついた。
やはり、空いていたらしい。
本当に2人してすぐにお腹がすく。
2人で焼き鳥を分け合うと、夕飯の買い出しをした。
おむすびと串焼き、パンとそしてスープ。早速保温ポットの出番である。
「明日の朝、市場で新鮮な野菜と果物が欲しいよな」
山や森で採った木の実もあるが、それも残り少ない。
しかし果物は少々お高い。食費でかなりの金が飛んでいく。
「うーん、余裕ができたら、少し遠出ができるように、テントや寝袋も欲しいんだけどな」
これじゃ、いつそちらまでお金が回るかわからない。
「依頼をこなすしかない! ギルドに行こう! よい依頼が残ってますように!」
今朝は受けられそうな依頼がなかった。
午後から、よい依頼が出ているとよいが。
ティティはそう願いつつ、冒険者ギルドへと向かった。
お金って使うのは、あっという間ですよね。。




